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休む勇気が、18番の一打を軽くする

『上手に休める人が、最後に残る』

休むことは、手を抜くことではありません。
最後まで自分らしくプレーするための、大切な技術なのだと思います。


日曜の午後、影が長くなる18番ホール

日曜の午後4時過ぎ。

太陽が少し傾いて、フェアウェイに自分の影がすっと長く伸びている。
18番ホール、グリーンまでの残り距離を目で測りながら、ふくらはぎの奥にじんわりとした疲れを感じる。

スパイクが芝を噛む「シャッ」という音。
遠くでカートが行き交う音。
汗ばんだ手のひらに、グリップがわずかに滑る感触。

日焼けした首筋に、少し湿った夕方の風が触れていく。

「あと1ホール」

この言葉には、不思議な魔力があります。
疲れているはずなのに、なぜか「最後くらい、もうひと踏ん張り」と思ってしまう。


「頑張ることが正解」という思い込み

ゴルフをしていると、多くの人が無意識に「頑張ることが正解」だと思っています。

足が重くても、集中力が切れかけていても、「ここで手を抜いたらダメだ」という声が頭のどこかで鳴り続ける。
真面目な人ほど、その声に従ってしまいます。

でも実際には、後半にスコアを崩す人の多くは、前半で体力と集中力を使い切ってしまっています。

私自身、ゴルフを始めたばかりの頃は「疲れても最後まで全力で」と思い込んでいました。

前半から飛ばしすぎて、後半に足が止まる。
スイングが雑になる。
短いパットにも集中できない。

そして18番で大きく崩れて、「なんで最後にこうなるんだろう」と落ち込む。

そんなことを何度も繰り返して、ようやく気づきました。

使い切ってしまった体力は、その日のうちにはなかなか戻ってこないのだと。


私も、休むのがいちばん下手だ

正直に言うと、今でも私は「休む」のがあまり得意ではありません。

レッスンの合間、生徒さんの前では元気に振る舞っているつもりでも、内心では足腰の疲れを我慢していることがあります。

「疲れました」と言ったら、相手に気を遣わせてしまうかもしれない。
そう思って、つい元気なふりをしてしまう。

でも、体力を使い切ったまま夜のレッスンに入り、うまく言葉が出てこなかった日もあります。

生徒さんに「先生、大丈夫ですか?」と気づかわれて、はっとしたこともあります。

指導する立場だからといって、疲れないわけではありません。
弱さがないわけでもありません。

休むことは弱さではなく、技術なのだと。
私自身が、いちばん学ばなければいけないのかもしれません。


Mさんが見せてくれた、力を残す判断

先週末にラウンドしたMさんも、後半の16番ホールでぽつりと言いました。

「もう、クタクタです」

いつもなら、そこで意地でも全力で振るタイプの方です。
でも私はそのとき、こう伝えました。

「残り3ホールだけ、7割の力で刻んでみましょう」

最初は少し不満そうでした。
「ここまで来て刻むんですか?」という顔をしていました。

でも、力を抜いたスイングでフェアウェイをキープしていくうちに、少しずつ表情が変わっていきました。

18番ホール。

Mさんの打ったボールは、派手な弾道ではありませんでした。
でも、無理のない高さでまっすぐ飛び、グリーン方向へ静かに進んでいきました。

フォロースルーのあと、Mさんの肩の力がふっと抜けたのが分かりました。

結果はパー。

ラウンド後、Mさんは首をかしげながら、少し嬉しそうに笑っていました。

「力を抜いたのに、なんで今日いちばんいいホールになったんでしょうね」


今日の言葉が教えてくれること

その言葉を聞いたとき、今日の言葉がすっと腑に落ちました。

『上手に休める人が、最後に残る』

18ホールという長い時間の中で、ずっとフルパワーで戦い続けることはできません。

力を出す場所もあれば、力を残す場所もある。
攻める一打もあれば、流れを守る一打もある。

休むことは逃げではなく、最後まで楽しむための準備なのだと思います。


今日から試せる、たったひとつのこと

疲れを感じたら、次の一打の前に「今、自分には何割くらい力が残っているかな」と問いかけてみてください。

もし残りが少ないと感じたら、その一打だけ7割で振ってみる。

飛ばそうとしなくていい。
取り返そうとしなくていい。

足裏で芝を感じて、少し息を吐いてから、いつもより小さく振る。

それだけで、次の景色が少し変わることがあります。


夕暮れのクラブハウスで

ラウンドを終えてクラブハウスに戻るころ、空はオレンジ色から少しずつ紫へと変わっていきます。

汗の引いた体に、夕方の風が心地いい。
今日は無理をしすぎず、18番まで歩けた。

その事実だけで、なんだか静かに誇らしい気持ちになる日があります。

頑張り切ることだけが、ゴルフの強さではないのかもしれません。

最後まで楽しむために、少し力を残しておく。

それもまた、大人のゴルフの味わいなのだと思います。


あなたが今日、最後まで残しておきたい「力」は、どんな場面のためのものですか?


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