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【祝J1昇格!】ブランド・マネジャーとしての小林慶行試論


はじめに

2025年12月13日、私が長く応援しているJリーグのサッカーチーム、ジェフユナイテッド市原・千葉(ジェフ千葉)が、17年ぶりのJ1昇格を果たした。

もともと私はスポーツ観戦全般が好きで、10代から20代はラグビーを最も熱心に観ていたが、30歳を過ぎた頃に千葉に転居したことをきっかけにジェフ千葉(当時はJ1)の試合を頻繁にスタジアムで観戦するようになった。

現在はホームゲームは基本的に全試合スタジアムに足を運び、年に数回アウェイゲームへも遠征をしている。いわゆる「サポーター」であると自認している。

J1昇格プレーオフ決勝戦もスタジアムで観戦し、ゲーム中は終始チャント(応援歌)を歌い、時に絶叫し、タイムアップの笛と共に歓喜の涙を流した。

本稿は、チームをJ1昇格に導いた小林慶行よしゆきという監督に関して、自分のための記録としてまとめておくものになる(有料コンテンツからの引用は「正当な範囲」に留めたつもりだが問題があればご指摘願いたい)。

はじめに断っておくと、本稿は小林によるチームの戦術や采配、戦評的な記事ではない(私のサッカー知識やゲーム理解のレベルではそのようなことは書けない)。

強いて論点を記せば、「ジェフ千葉の小林慶行は、男子トップチームの監督であると同時に、クラブ(現在は実質的には男子チームの範囲)のブランド・マネジャーとしても大きな成果を生み出している」という仮説についての考察になる。

一般的なビジネス用語としての「ブランド・マネジャー」の定義や役割は個々の企業や業界によって異なるだろうが、ここではひとまず「あるブランドについて、そのブランドのアイデンティティを定め(維持し)、顧客にとってのそのブランドの価値を高めるマーケティング活動(あるいはより広義の事業活動全体)を指揮監督する役割〈*1〉」としておく。

言うまでもなく、拙稿における「ブランド」とは、「ジェフユナイテッド市原・千葉(略称:ジェフ千葉)」というブランドのことである。

そのため拙稿では、小林慶行という監督の「クラブ」や「チーム」へのマネジメントに関わる発言を中心に、主にブランド・ビルディングやマーケティング(それはビジネスパーソンとしての私の“本職”でもある)の観点から、小林の特長を見ていく。

なお、本文中は敬称略とすることをご容赦いただきたい(文体については、よりカジュアルなエッセイ風で書くことも試みのだが、どうしても自分の感情だだ漏れの文章になってしまうため、硬めの文体を選択した)。

(拙稿はプロサッカークラブ〈多くは株式会社〉の組織に関わる部分もあるため、念のためその組織レイヤーについて予め下図に整理しておく)

(筆者作)


小林慶行とは何者か

まず小林慶行というプロサッカーチーム監督のプロフィールを簡単に記しておく。
1978年生まれで、1999年からプロサッカー選手。選手時代はヴェルディ、大宮、柏、新潟でプレー。指導者としては2014年から仙台において渡邉晋監督(当時)の下でコーチを務め、2021年シーズンからジェフ千葉のコーチ、2023年から監督を務めている。つまり、ジェフ千葉の監督就任時は、サッカーチームの監督として完全な「新人」だったことになる。

私見だが、小林はJリーグの「界隈」においても、それほど「有名」な監督ではない。Jリーグにおいては、数々のタイトルを獲得している「名監督」や、(戦術の面や人間性の面で)独特の個性を持つ「名物監督」が幾人もいるが、現時点では小林はどちらの枠にも入っていないだろう。

就任後の戦績、および後述する“ブランド・マネジャー”的な言動から、ジェフ千葉のファン・サポーターの間では高い「評価」と「人気」を得ているように思うが、J2リーグ全体の監督の中でみれば、(そもそも新人監督だったこともあり)そこまでの知名度や評判を得ていたわけではない。

小林は、指導者の系譜としては國秀くにひでの門下生になるようだ。は高校サッカー界の名門である桐蔭学園サッカー部の監督を長く務めた指導者で、小林は高校時代の教え子になる。

以下の記事(有料会員制)では、からサッカーの戦術面だけでなく人間性の面で大きな影響を受けたと語っている。

おそらくサッカー選手って、身体能力が高ければなれるという部分もあると思うんですけど、選手としての日々が終わったあとの人生で、たとえば強化部だったり、もちろん指導者もそうですけど、やはりそこで認められていくには、まず人間性が絶対条件になると思うんですよね。それこそさっきの話のように、じゃあ誰に評価されなくてはならないのという部分で、監督になるためにはこういう振る舞いが必要だとか、GMとか強化部長になるためにはこういう振る舞いが必要だ、そういう言動ができる人間でないと選ばれないよねというところを、高校時代の3年間で、なんとなく感覚としてですけど、育ててもらったんだろうなと感じます。

(太字強調は引用者による。断りなき場合は以下同様。)

「2025Jリーグ前半戦のサプライズ監督#8」 https://www.footballista.jp/feature/201884


「ジェフを愛する人を増やしたい」

熱心なサッカーファン以外ではご覧になった方は多くないと思われるが、プレーオフ決勝戦に勝利しJ1昇格を決めた直後の小林のスタジアムでのインタビューが、Jリーグの「界隈」では少しだけ話題になった。

全文は以下の報知新聞の記事にあるが、一種の「定型文」としてのファン・サポーター、スポンサーへの感謝を述べつつ、それを超えて「ジェフがJ1で戦っていくためには、サポーターの力が必要だ」「ジェフを愛する人を増やしたい」と極めて強く意思表明している。私見では、この思考はサッカーチームの監督としての小林の大きな特長の一つであるように思う。


一般論として言えば、プロスポーツクラブの「経営」にとって最も重要なのは、ファン・サポーターである。収益として小さくない比率を占めるスポンサーの獲得においても、ファン・サポーターの「数」、具体的にはホームゲームへの観客動員数やファンクラブ等の会員数は大きなファクターになっているはずだ。

それを踏まえて、多くのプロスポーツチームの監督や選手はファンや応援してくれる人(つまりは顧客)への感謝の言葉を常に口にする。
そのような中で小林の言葉が特徴的なことは、ファン・サポーターを「顧客=感謝の対象」に留めず、チームの「強み」であると本気で信じ、それをファン・サポーターに対しても積極的に発信することにある。

先日の決勝戦の前には、「引き分けの場合はリーグ戦順位が上位のチームが昇格」という規定よりも「ホームで戦えるのが一番のアドバンテージ」だとの発言をしており、それを聞いた(私を含めた)多くのファン・サポーターは、スタジアムでの「応援」への動機をさらに高めたはずだ。

やっぱり(年間)3位の一番のアドバンテージはホームで戦えるということだと思います。 今はずっとホームゲームにおいては1万7千人を超えるサポーターの皆さまに来ていただいて、本当に熱量のある応援をいただいているので、「週末もしっかりとチーム一丸となって、一体感を持って、ともに戦いましょう」と。

https://jefunited.co.jp/matches/contents/1323


そして昇格を決めた直後には、上述の通り「(J1で他クラブに伍して戦っていくために)ジェフを愛する人を増やしたい」という熱量のある言葉を発している。多くのファン・サポーターは、この言葉に強く胸を打たれた。

著名な経営学者であるピーター・ドラッカーは、「企業の目的は(売上げや利益ではなく)顧客の創造である」という言葉を残しているが、「ジェフ千葉というクラブ(企業)」にとってもまさに同様であり、クラブの「経営」という視座からも、きわめて重要で示唆に富む発言だったと感じる。

ジェフを愛する皆さんを増やしたい。サポートしていただける、スポンサーの皆さんを増やしたい。そうじゃないとJ1で絶対に戦っていけない。自分たちの目標、今後何ですか?っていうところが、しっかりと皆さんと共有されて、来年以降、それに向かってしっかりと積み上げていく。そういうことがクラブにとってめちゃくちゃ大事なんだと思います。

2025年12月13日 16時8分スポーツ報知


2023年、「一体感」というコンセプト

ここで少し時計の針を戻す。

前述したように、小林は2021年のシーズンからジェフ千葉のコーチとして活動し、2023年のシーズンから監督としてチームを率いている。

2021年当時のジェフ千葉の監督は、Jリーグで実績のあるユン晶煥ジョンファン。この時期にユンを支えるコーチとして小林を招聘したのは、GM(ゼネラルマネージャー)の鈴木健仁たけひとのようだ。

鈴木は2020年シーズンからジェフの強化部に籍を置き、1年目はテクニカルダイレクター、2021シーズンからゼネラルマネージャーとなっている〈*2〉。

後述のように、小林が就任以来掲げているキーワードに「一体感」があるが、鈴木自身もユン監督時代の2021年、小林をコーチとして招聘する時点から「一体感」をキーワードとして掲げていた。

ジェフの一員として戦うこと、このチームの一員としてすべてを懸けて戦うという覚悟を持った選手やスタッフの集団にしなければ、チームとしての一体感は生まれません。もちろんチームの編成も、そういった部分を強く意識しました。

JEF TALK!ジェフトーク!#52「“一体感”の仕掛け人」


この時点で鈴木の語る「一体感」は飽くまで「チームの中のこと(基本的には選手とスタッフ)」を指しているように読める。しかしこの言葉は(後述するが)徐々に「ファン・サポーターを含んだ、ジェフというクラブに関わるすべての人」までを対象とする概念へとアップデートされていくことになる。

そして、小林はその後2年間コーチとして務め、2023年シーズンからジェフの監督に就任する。ただし、クラブからその発表があった時点では、小林の監督就任は当時の(私を含めた)多くのファン・サポーターから必ずしもポジティブに受け取られたわけでは無かったように思う。

ジェフ千葉というクラブのファン・サポーターは、過去のイビチャ・オシム監督による強烈な「成功体験」もあり、(私自身も含めて)「監督ガチャに当たれば昇格できる」と思っているような節があったことは否めない。

目標を達成できずに任を解かれた前監督時代のヘッドコーチの「内部昇格」からは、その時点では(私を含めた)ファン・サポーターの多くは「クラブの本気」を感じることが出来ていなかったと思う。

そんな中で、2023年1月にジェフの新体制発表会が行われ、私はそれを現地会場で観覧した。小林に対しては、その実直そうな人柄、理路整然とした話し方に好印象をもち、それまでに感じていた「不安」はいくぶん「期待」へと変わったのだが、それでも、この時点で外国人選手の補強がゼロだったことなどもあり、(クラブは公式には「今年の目標は昇格」としてはいたが)事実上「2~3年スパンで考えている」のだろうと受け止めた。

そして、この発表会で、GMと新監督の二人の口から出た言葉は「一体感」だった。このコンセプトは結果として、「小林ジェフ」を象徴するキーワードとしてチームに大きな推進力をもたらすことになるのだが、この時点では私は(そしておそらく多くのファン・サポーターも)そこに特別な意味や価値を見いだせてはおらず、率直に言えばあまり「心を打たれなかっ」た。

また、戦術面についても、小林が仙台時代にコーチとして「(当時のサッカー界の“トレンド”でもあった)ポジショナル・プレー」を実践していたらしいことからの期待はあったものの、口から出た言葉としては「当たり前のことを当たり前にやる」といったもので、語り口から強い情熱を感じたとはしても、大きな期待までは感じられなかったのが正直なところだった。

鈴木健仁GM
今シーズンは小林(慶行)監督を新たに迎えてJ1昇格に向けてチャレンジしていきたいと思っています。(略)そのために一人でも多くの方にフクアリに足を運んでいただいて、フクアリを一つにして一体感をもって、選手やスタッフの背中を押していただければと思っています。

【レポート】2023キックオフミーティング [第1部] 鈴木 健仁 GM、小林 慶行監督 挨拶

小林慶行監督
自分の中ですごく大切にしているポイントが二つ。一つは“一体感”、そしてもう一つは“当たり前のことを当たり前にやる集団になっていく”。そのことをみんなの前で話しました。シーズンが進むにつれて、皆さんとも大きな一体感をスタジアムで表現して勝てるようなチームを作れるように精いっぱい努力していきたいと思います。

【レポート】2023キックオフミーティング [第1部] 鈴木 健仁 GM、小林 慶行監督 挨拶


しかし、改めて今これを読み返すと、小林体制の新体制発表会時点においては、「一体感」という言葉が、「フクアリ(ホームスタジアムの愛称)全体」、「(会場に集まっているファン・サポーターの)皆さんとの一体感」というように、より大きな概念へと変化していたことは感じられる。

「一体感」は、小林自身やクラブスタッフによるピッチの内外でのさまざまな実践を通じて、少しずつファンやサポーターに理解、共感され、ジェフ千葉というクラブ全体の原動力になっていったのだと思わされる。

ただし「一体感」については、1年目の序盤の成績が振るわなかった(10節時点で2勝3分の勝点9、折り返しの21節時点で6勝6分の勝点24)ことから、小林の中でも葛藤があったことも語られている。
その背景には、ジェフのOBでもある元日本代表監督岡田武史が、(ジェフとはまったく関係のない文脈で語った)「一体感」についての発言にもあったようだ。

岡田は、2023年の8月のあるイベントの中で「一体感を目的にしては、チームは勝てない」という趣旨の発言をしていた。

私自身はたまたまこの記事を目にし、ジェフ千葉というクラブが掲げている「一体感」というコンセプトを、その“大物OB“である岡田が否定的に語ることに苦笑した記憶がある(岡田の発言にしても「目的と手段の混同」への戒めが趣旨であり「勝利のための一体感」自体を否定してはいなかったと思うが)。

大体、勝つチームを分析すると一体感があるって出んだけど、サッカーも野球も日本代表チームを見てると、お互いの違いを認め合って、結果が出だしたら、だんだん一体になってくるんだよ。一体感から作ろうとしたら大体失敗する。そんなもんなんだよね。

【100周年特別OB対談】岡田武史×兵藤慎剛 〜ア式の未来、大学サッカーのこれから〜〈第2回〉 https://note.com/wasedasoccer/n/nc5b34cd67510


この岡田の発言を小林が目にしたかどうかは外部のいちサポーターに過ぎない私には知る由もなかったのだが、同時期に発刊されたファン・サポーター向けの公式マガジンのインタビューで、小林自身がこの記事について触れていた。

インタビュー中で小林は、当時のチームの結果が出ていないことも背景に、自分が「一体感」という言葉からチームをスタートしたことについて、岡田の言葉に「心をグサッと刺された」と述べながらも、そこから「絶対に変えてやる(結果を出してやる)」と決意したと語っている。

結果として2023年シーズンのジェフは、31節から37節への怒涛の7連勝もあってリーグ戦を6位で終え、昇格プレーオフに進出するところまで盛り返した(プレーオフは準決勝で東京ヴェルディに敗退)。

今から3週間くらい前、清水戦後のオフ明けのミーティングに付け加える形で、選手たちに2つの記事を見せました。(略)記事の中で岡田さんは「一体感からチームを作ると失敗する。それが目的になって仲良しこよしになるから」とおっしゃられていて(略)」

『UNITED AUG 2023 VOL310』https://jefunited.co.jp/my/uoplus/detail/c/book/id/21/

岡田さんが言うところの“よくある”典型例”に自分が属していることがわかっていたから、心をグサッと刺された気がしました。心の奥で「俺はそうじゃない」と思っていても、現実としての結果は間違いなくそっちを向いている。受け入れざるを得なかった。悔しくて、悔しくて、「絶対に変えてやる」と強く心に決めました。

『UNITED AUG 2023 VOL310』https://jefunited.co.jp/my/uoplus/detail/c/book/id/21/


ジェフ千葉の「アイデンティティ」

小林は監督の就任に当たり、ジェフ千葉というクラブの「スタイル」について深く考えたと明かしている。これは「(サッカーのスタイルにおける)ジェフらしさ」と言い換えられるものであり、更には「(サッカーチームとしての)アイデンティティ」という言葉に置きかえられるものだろう。

小林のいくつかの発言からは、新任の監督としてジェフ千葉の「アイデンティティ」を過去の歴史から探り出し、さらに世界のサッカートレンドやJ2カテゴリーの競争環境を分析した上で、それを再構築しようとしていた姿が窺える。

この小林の姿は、一般のビジネスにおける新任ブランド・マネジャーが、低迷している自社ブランドを蘇らせようとしている姿そのもののように感じられる(ちなみにこの種の活動を「ブランド・リバイタリゼイション」と呼ぶ)。

そこに至る経緯については、監督2年目にあたる2024年シーズンイン時に発行されたイヤーブックで語られている。(少し長くなるが)拙稿の論点における核心部分なので引用させていただく。

それに加えて「そうしたスタイル(引用者注:攻守両面の戦術に「主体性」を持ったスタイル)がジェフにふさわしいか」についても慎重に考えました。長くお付き合いさせて頂いている清雲栄純さん(引用者注:元ジェフ千葉監督)、それから身近にいるサカ(坂本將貴/ヘッドコーチ)に「ジェフのサッカーとは?」という質問を投げかけると、2人からほとんど同じ答えが返ってきたんです。相手を上回る走力、粘り強さと泥臭さ、ダイナミックでアグレッシブなスタイル・・・・・・」。自分自身が現役時代に対戦相手として体感したイビチャ・オシム時代のスタイルとも照らし合わせて浮かび上がる“ジェフのサッカー”は、僕自身の頭の中にあった「現代サッカーのトレンド」や「J2リーグを勝ち抜くためのスタイル」と完全に合致していました。背中を押されているような気がしましたし、「これしかない」と確信しました。
(略)
シンプルに言えば「ハードワーク」。初めてスタジアムでサッカーを観た人が「何このチーム!」と驚くチーム、「すごい躍動感だね」と感じてもらえるチームを作らなければならないと思いました。

『2024 OFFICIAL YEAR BOOK』P.8-9 https://jefunited.co.jp/my/uoplus/detail/c/book/id/24/


さらに、2025年の夏に掲載されたサッカー媒体『footballista』の記事でも同様のことを語っている。ここではさらに、アカデミー(小学生から高校生年代までのプレーヤーからなる下部組織)との連携についても強調されている。

自分自身、やはりクラブのスタイルを明確に作り出したいとどこかで思っていました。自分がやりたいことは、このクラブの育成のコーチたちが何年も何十年もずっと地道にトライを続けていることに近いんじゃないかと感じ、そういうところでもリンクしていたと思います。そうすることでアカデミーの選手たちがもっと上に上がれるチャンスが増えたり、評価基準が少し重なってくる部分も出てきたりするんじゃないかと。
(略)
そこにジェフの歴史やジェフのアカデミーがやっているサッカーなどいろんな部分を重ね合わせると、自然と自分の中に目指すべきサッカーが浮かび上がってきて、それが自分のやりたいサッカーと思い切りリンクしていたんです。

「2025Jリーグ前半戦のサプライズ監督#8」 https://www.footballista.jp/feature/201884


ブランドの歴史を紐解き、現在の競争環境を分析し、そしてもちろんそれだけに終わらずに、このブランドはこうあるべきだという自分自身の「意志」と組み合わせていく。

さらには、下のインタビュー記事にもあるように、予算(具体的にはクラブの収益や強化費)の観点からの全体的なサイクルを冷静に視野に入れ、「ブランド価値〈*3〉」を高めることが顧客や多様なステークホルダー(利害関係者)との関係性を良好にし、クラブ全体により多くの成果もたらすことまでに言及している。

まさにビジネスにおけるブランド・マネジャーの見本のような思考と行動であると言える。

もう一方では個のクオリティで相手を上回れるようなタレントを加えることも必要で、それを実現するためには当然ながら予算が必要です。その資金をどのように生み出すかというと、まずは自分たちが魅力的なサッカーを見せてファン・サポーターを増やし、もっと多くの人にスタジアムに足を運んでもらう。スタジアムの雰囲気が変わればスポンサーの皆さんに新たな価値を提供できると思いますし、そのサイクルをうまく回すことができれば必ず予算は増えるはずです。

――(インタビュア)お話を聞いていると、監督の仕事は“チーム”だけでなく“クラブ”を意識したものでなければならないと感じます。

英語で「マネージャー」と称される意味がようやく分かってきた気がしますし、僕自身もそのつもりで勉強させてもらっているところです。
(略)
それによって得られた手応えが多くあったからこそ、2年目の今シーズンは“クラブ”という単位で未来を考える、本当の意味での「マネージャー」にならなければいけないと思っています。

『2024 OFFICIAL YEAR BOOK』P.10 https://jefunited.co.jp/my/uoplus/detail/c/book/id/24/


「観客動員が自分の評価」

さらに、小林の発言に特徴的なことは、(上の「予算」の話とも関連するが)チームの「観客動員」について積極的にコミットし、それを自らの「評価基準」とまで言い切っていることだ。

一般的に、プロスポーツクラブの観客動員はそのチームの「強さ=試合での勝利数」に影響を受ける。優勝争いに加わることが出来れば、(クラブのマーケティング努力とは直接には関連せずに)自然に観客数が増えていく傾向がある。

そんな環境に身を置くプロスポーツチームの監督において、「勝利」だけではなく直接的に「観客数」に強くこだわり、それを対外的に発信している人間を、私は寡聞にして小林以外には知らない(私が知らないだけで、他にもいるのかもしれないが)。

(略)やはり入場者数のことは気にかけていました。僕が監督をするようになって、前半戦は本当に5000人台から6000人台。フクアリが1万8000〜1万9000人のキャパの中で、この伝統ある歴史あるクラブにとってはすごく寂しい数字だったと思います。なので、サポーターの方々には毎回足を運んでもらいたい。そのためには、見ていて面白いサッカーをする必要がある
(略)
毎回、それこそホームゲームのたびに、広報の方に入場者数を確認したりして。僕自身がそこに自分の評価を重ね合わせていたんです。観客動員が自分の評価だと。もちろん勝敗も関係してくるんですけど。当然、負ければ観客はいなくなる存在ですから。だからこそ観客、サポーターのみなさんがどれだけスタジアムに来てくれるかというのが、自分たちのサッカーへの評価だと、そしてそれに応えていかなくてはならないと、強く思っていました。

「2025Jリーグ前半戦のサプライズ監督#8」 https://www.footballista.jp/feature/201884


小林が監督として「観客数」にこだわる理由は、その発言から察するに二つの理由があると思われる(それは相互的・相乗的に関連している)。

一つは、単純に「収益」の面。これはもちろん営利企業としての「利益=儲け」の源泉でもあるが、小林の意図としては、チームの「強化費」の原資としての意味あいが大きいのだろう。いわば、一般企業における設備投資費や研究開発費、卓越した能力を持つ社員の採用・人件費にあたる部分だ。

そしてもう一つは、小林が「ファン・サポーターの力」を「チームの強み」として本気で位置付けていることにある。言い方を変えれば、小林は「勝利」のための「手段」として「ファン・サポーターの応援の熱量」を位置付けている

「スタジアムの応援が凄ければそのチームは勝てるのか?」といった素朴な疑問を抱くのは当然であろうし、どんなにサポーターの熱量が大きかろうと、負ける時にはあっけなく負けもする。そんなことは、議論の余地のない「前提」のレベルの話である。

しかし一方、ほんとうにギリギリのところで、ピッチ上の選手の足を半歩、時には数センチ伸ばさせる力、疲労で止まった脚を再び数分だけでもフルパワーで動かさせる力を、「応援の熱量」が持っているのも事実であろうと思う。時に、その数センチ、数分のパワーが、決定的な試合の勝敗に結びつくことがある。

そして、小林体制下のジェフ千葉では、多くの選手がそうした「応援の力」の「試合結果」への影響を、繰り返し語っている。「顧客」へのリップサービスとして言っているのではなく、(少なくても私の目には)心底から「ファン・サポーターの応援のおかげで最後まで走り切ることが出来た」といったことを語っているように映る。

(さらに、サッカーという競技に関して言えば、例えばカウンター・シチュエーションで相手の攻撃を受ける守備側の選手は、攻撃側のサポーターの大歓声によって、実際以上に「自分たちがピンチである」と感じてしまい、瞬間的に冷静さを失い対応を誤る事もあるらしい。分かりやすく言えば「攻撃側のサポーターの大歓声が、相手ディフェンダーを慌てさせる」ということだろう。選手としての経験のない私でも想像できる話ではある)。

小林は、大きな意味をもつ試合の前にはよく「クラブの総力上げて」という言葉を口にするが、その「総力」に「ファン・サポーター」が含まれていることは、この1~2年の間に、ファン・サポーターにおいては「当たり前」のことになった。それこそが「一体感」というコンセプトのもたらしたものである。

例えば、2025年の昇格プレーオフ準決勝の前にジェフの公式インスタに投稿された「黄色に染まったフクアリが、最大の武器になる」とのメッセージは、小林自身の本心でもあろうし、試合結果から言っても、0-3から4-3への大逆転を現実のものとした最大の要因は「黄色に染まったフクアリ」であったと言っても過言ではなかったと思う。

言葉を変えれば小林は、ジェフ千葉というチームが勝つために、かなり自覚的に「ファン・サポーターを焚きつける言葉」を発してきたのである。

https://www.instagram.com/reel/DR6j6HDii-2/


また、付け加えるならば、直接的な試合結果への影響だけでなく、選手の強化(既存選手の流出防止や新規選手の獲得)の面における「ジェフサポの作り出すスタジアムの雰囲気」の影響についても、小林は実感とともに語っており、それは選手の移籍にも、実際に一定程度の影響はあるのだろうと思わされる。

僕自身、そこ(引用者注:移籍選手との交渉など)に大きく関わっている中で、新しく入ってくる選手たちが、ジェフのスタジアム、あのサポーターの方たちが作り出してくれる雰囲気、そこでやりたいとか、既存の選手では、他からのオファーがあったとしても、ジェフのサポーターの方たちが作り出してくれるあの雰囲気で、やっぱりやりたいから自分は残る決断をするとか、そういうところを凄く言ってくれる選手(がいる)。僕自身がその(選手たちの)言葉の端々から感じる部分って凄くあったんです。
皆さん(引用者注:ファン・サポーターのこと)にはそういう力があるというところを改めて僕自身も感じましたし、皆さんのパワーはそういうところでも本当に必要なんですと、この場を借りてお伝えしたい。実際に皆さんの力があったからこそ、このメンバーが集まりました。

(筆者による書きおこし。読みやすくするために語尾などを整えている。)

ジェフ1 必勝祈願2025インタビュー③ 小林慶行監督(2025年1月10日)


応援の熱量とジェフ成長のサイクル

ここで話は、冒頭の「ジェフを愛している人を増やしたい」に戻る。

拙稿の冒頭に引いた発言は昇格決定後のインタビュー時のものだが、下は2025年シーズン開幕時に発売されたイヤーブックからの引用になる。

シーズンに入る前の言葉と、目標達成直後の興奮の最中さなかに言われた言葉がつながっていることからも、いかに小林の思考がぶれていないかが分かる。

(略)結局はこのクラブを愛していると言ってくれる人をいかに増やせるかに懸かっていると思うんです。相手も死にもの狂いで戦っているなかで、自分たちの戦い方をどれだけ極めても、勝ち続けることは簡単ではありません。拮抗した試合でチームの背中を押してくれるのはそういう人たちの気持ちで、感情移入してもらえるチームにならなきゃいけない。(略)ひたむきさに向けられる応援のパワーには特別な力があって、フクアリの熱量もそれに近いものになってきたとこの2年で強く実感してきました。チームと同様に、この2年でファン・サポーターの皆さんにとっての“当たり前”も変化してきていると思うんです。そうやってこのクラブに関わるすべての人たちの目線を合わせて、全員の力を相手にぶつけて勝利を勝ち取りたいなと思っています

 『2025 OFFICIAL YEAR BOOK』P.10 https://jefunited.co.jp/my/uoplus/detail/c/book/id/29/ 


そして、クラブの中長期的な成長(チームの継続的な強化)を見据える小林の視線も、やはりぶれていない。

得点の多く生まれる、見ていて面白いサッカーをすることで、観客が増え、ジェフを愛する人たちが増え、それによって(強化費の増額という観点と、応援の熱量増の二つの理由によって)チームに勝利がもたらされる。それがまた好循環を生み出す。

やはりサポーターの方たちがたくさん来てくれないと、自分たちが掲げている目標には到底たどり着けない。サポーターの皆さんとチームとがしっかりリンクして、みんなで一体感を持って戦わないかぎり、クラブとして絶対に大きくなれないと思うんです。当初からそういう考えを持っていたので、そのためにするべきことはシンプルに決まっていきました。点を取らなければいけないし、点を取るためにはチャンス作らなければならない。チャンスを作るために相手の背後を取らなくてはならない。守備のところで言えば、やはり点を取るためには前から奪いに行って、相手ゴールに近いところでどれだけ取れるかだよねとか、そういうことを考えながら。

「2025Jリーグ前半戦のサプライズ監督#8」 https://www.footballista.jp/feature/201884


簡単に図にするならば、下のようなサイクルとしてモデル化される。

(筆者作)

この図を用いて言うならば、赤色を用いた「応援の熱量」から「チームの勝利」への矢印のエネルギーを、小林自身の実践(ファン・サポーターへ向けた発言)によって大きくしてきたことが、監督であり、かつ私の言う“ブランド・マネジャー”としての役割も担っていた小林の大きな特長であり成果であったと思う。

付け加えるならば、「一般の観客」を「ジェフを愛する人」に転換させたのはもちろん、一試合一試合を懸命に走り闘った選手たちであり、試合(興行)を運営するスタッフの方々であり、スタジアムの応援をリードしたコールリーダー(いわゆる応援団体)の人たちであり、周囲を巻き込んだ一人一人のサポーターでもあったろう。

ちなみにマーケティングの領域では、顧客とブランドの関係においてブランド・ロイヤルティ〈*4〉が急激に高まる瞬間があるとされ、それは「決定的瞬間=Moment Of Truth」と呼ばれる。それは長く愛してくれるブランドの「ファン」を作り出すための重要な概念でもある。

プロスポーツクラブにおいてのそれは、もちろん「試合の勝利の瞬間」かもしれないし、「スタジアムで応援の迫力を感じる瞬間」かもしれない。「ファンサービスでの選手とのリアルな触れあいの瞬間」かもしれないし、小林がスタジアムで語る言葉自体が「決定的瞬間」を生み出したのかもしれない。

ジェフ千葉が今後より大きな存在になるために重要なことは「ジェフを愛する人を増やす」こと。シンプルではあるが、まさに“ブランド・マネジャー”らしい至言といってよい言葉であったと思う。


おわりに:Yoshiのジェフ三唱!

拙稿を締めくくるにあたって、これ以上の素材はないだろう。

「ジェフ三唱」は、2023年の小林の監督就任の年に、通訳のファブリシオ(愛称:ファブさん)のリードによって何人かの選手とともに考案された、「選手とサポーターの一体感を作りだす」ためのゴール・パフォーマンスである。今ではファン・サポーターの間に完全に定着している。


基本的には試合中のゴール直後に得点者によって行われるパフォーマンスなのだが、2025年12月13日には、J1昇格が決定したスタジアムで小林の勝利監督インタビューが行われ、その後に選手たちによる小林への「水かけ」「胴上げ」と続いた後に、スタジアムが「あおり」を始め、それに小林が「ジェフ三唱」で応えた。

現時点で公式映像が無いので(そのうち出てくると思うのだが※)、ひとまずジェフサポの方が撮影した映像のリンクを貼っておく。小林に寄った映像と、ゴール裏を背景とする映像の2種類になる。

まさに「一体感」を体現した小林(=Yoshiヨシ)の「ジェフ三唱」であり、感涙を禁じ得ない。この映像を置いて、拙稿を閉じることにする。

※クラブの公式映像が12/21にアップされたので追加で貼っておく。小林の胴上げとそれに続くジェフ三唱は1時間04分40秒辺りから。

〈了〉


12月18日追記:2023年最終盤での「一体感」ブーストの記録

拙稿は多くの方にお読み頂けているようで、SNSでもとても嬉しいコメントや貴重な情報を頂いた。

その中に、「小林ジェフの動員増加の転機となったのは2023アウェイ栃木SC戦後の監督インタビュー」だと書かれている方がいて、そういえばと思い、その頃の小林のインタビューを読み直した(ただしジェフのサイトに残っているのは公式の記者会見のものなので、一般のサポーターが直接見聞きしたDAZNの監督インタビューとは異なる)。

アウェイ栃木SC戦は、2023年終盤の「7連勝」の4戦目。8月26日のアウェイ磐田戦を3-2で下したジェフは、その後、ホーム熊本戦(1-0)、ホーム秋田戦(2-1)と連勝した後、9月16日のアウェイ栃木戦を1-0で勝利した。

この試合ではアウェイのチケットが「完売」したとのことで、記者会見で小林は、記者の質問を受けて、アウェイゴール裏を満席にしたサポーターについて語り、「ファン・サポーターの力を借りたい」「サポーターの底力を次のホームゲームで出してくれるはず」といった、直接的に「動員」を呼びかける言葉を発していた。

―― (記者)今日のアウェイゴール裏は満員でした。

いよいよジェフのサポーターの皆さんが本気、底力を出してくれていると思います。あれだけ多くのサポーターが来てくれたのはアウェイゲームでは初めてだったと思います。本当に嬉しいです。ただ、まだまだDAZNで観てくれている人たちがたくさんいて、クラブとしてなかなか難しい時間が長かった分なのか、コロナ禍の影響なのか、やはりスタジアムに足を運ぶことが少なくなってしまった、もしくはまったくなくなってしまったファン・サポーターの方が数多くいると思います。そういう人たちの力をさらに借りたいと。本当にジェフのサポーターの底力を次のホームゲームで出してくれると思うので、その力をお借りして勝点3を取れるように準備したいと思います。

https://jefunited.co.jp/matches/contents/412


次節、ホームに帰ってきての9月23日仙台戦では、フクアリに13,000人を動員し、仙台を3-0で下した後に、記者会見で次のように発言している。

―― (記者)前節の試合終了後の呼びかけに反応する形もあったと思いますが、今日は1万3000人以上の観客動員を記録しました。

最高です。本当に嬉しいです。ただ、やはりスタジアムから遠ざかっていた人がこれだけいたというところはクラブとして考えなければいけないし、逆に、うまくいかない時でも支えてくれる人たちがいたことも改めて実感しました。そういう人たちを増やさなければいけないとも感じました。クラブ、チームが進んでいく中でずっとうまくいくわけではないので。でも、こうしてきっかけとして集まってくれた中で、自分たちが表現したいサッカーをしっかりと表現して、しかも勝点3をもぎ取ることができた。それはすごくプラスだと思いますし、今日来てくれた人たちがまた2週間後に足を運んでくれることを願っています。それがどんどん広がって、「ジェフのサッカーは面白い」と思ってもらえる輪がもっともっと広がって、もっと黄色く、黄色で埋め尽くせるように。ジェフに関わる人たち全員の力でその目標を達成したいと思っています

https://jefunited.co.jp/matches/contents/413

さらに、その次の10月1日アウェイ岡山戦後には、その次節のホーム水戸戦への抱負を求められた田口大志が、「次は14,000、15,000と集まってほしい」と具体的な数値まで上げて語っており、チーム全体で「サポーターのパワー」を強く意識していたことが感じられる。

――(記者) 次節の水戸戦に向けて。

(田口)前節のホームゲームも本当に最高の雰囲気でしたし、今日もたくさんのサポーターの皆さんが来てくれてパワーをもらいました。次は14,000、15,000と集まってもらって、もっともっと大きな力を届けてもらえたらと思います。

https://jefunited.co.jp/matches/contents/415


そして、別の方からは「フクアリの試合後のユナパで監督自らバス待ちしてたサポに(クラブハウスの2階バルコニーから)感謝のことば話してるのがあった」とのコメントをいただき、私もそれは微かにSNSで見たような記憶があり、その時の動画も教えて頂いた。
投稿日が10月30日となっているので、おそらくその前日10月29日のホームいわき戦(ジェフが1-0で勝利)の後のことだろう。

折角なので書きおこしておく。

ありがとうございます!
ほんとうに、皆さんの声援が、俺たちのパワーになってる。これはほんとうに。みんなのパワーが、ほんとに選手に届いているから。それを信じてこれからも、きつい時でも、ひとつになって闘ってほしいなと思ってます。
あと2試合だけど、俺たちは次に行かなきゃいけないから、その目標に向かって、みんなで一つになって、一体感をもって、勝点3を獲り続けましょう。
ありがとう!

〈サポーターの Win by ALL コールが夜のクラブハウスに響く〉

(筆者による書きおこし)

https://x.com/ta2000jp/status/1718774567467200761

このシーズンは6位でプレーオフに進むも準決勝でヴェルディに敗退するのだが、この時期に築かれた「一体感」が、2025年の昇格に結びついたと考えると、ほんとうに感慨深い。

12月30日追記:2023年栃木戦直後のDAZNフラッシュインタビューの記録

以下のYouTube番組「週刊J2」で、オフィシャルライターの細江さんが「小林ジェフ」の3年間を語りまくってくれていた。
その中で、上でも触れている2023年栃木戦後のDAZNのフラッシュインタビュの小林監督の言葉を細江さんがポストしてくれていたことを語っていたので、記録として残しておく。〈*5〉

栃木戦終了直後の小林慶行監督、DAZNフラッシュインタビュー。最後の部分です。

――諦めない選手たちの気持ちが最後のゴールを呼び込みました。
「かなり厳しくタフなゲームでした。その中で、間違いなく選手たちの背中を押してくれたのは、今、声が聴こえますけれど、今日はかなりの数のサポーターが来てくれたんですね。本当に、アウェーでこれだけ来てくれたのは今シーズン初めてだと思うので。ジェフのサポーターの底力というか、覚悟というか、本気というか、そういうものをすごくひしひしと感じたので。それに、選手たちが背中を押されたことは間違いないと思っています」

――残り7試合への思いを最後に聞かせてください。
「ジェフのサポーターの底力を借りたいというところで、まずはホームゲームがありますから。おそらく、ここ数試合は6000人、7000人くらいのファン・サポーターの方たちが本当に諦めずに声を出し続けてくれていますけれど、少し難しい時間がクラブとして長かった分、もしくはコロナ禍があった分、スタジアムから遠ざかってしまったサポーターが数多くこのDAZNを観てくれていると思います。おそらくその方たちが次のゲームは大勢来てくれると思うので、1万人以上のファン・サポーターとともに勝点3を目指したいと思います」
最終更新午後9:46 · 2023年9月16日

https://x.com/Bolchestra13/status/1703027562371567984


〈追記:了〉


[脚注]

*1:一般企業のブランド・マネジャーは、通常は「自分の肉声」で顧客にメッセージを発することは殆どなく(あるとしたら新製品発表などの際の記者発表会の場くらいだろう)、ブランドから顧客へのメッセージ発信は、多くは「広告・広報」の形をとる。小林の場合は基本的に「自分の肉声」でファン・サポーターにメッセージを届けることができ、その点は一般企業のブランド・マネジャーとは大きく異なる点である。

*2:鈴木健仁は、12月16日にジェフ千葉のGM職を退任し横浜Fマリノスの強化責任者の職に就くことが発表された。後任には2025年シーズンの強化担当だった大久保裕樹の着任が発表されている。

*3:本稿の対象領域外なので直接には触れないが、ジェフ千葉というクラブ(企業)の「ブランド価値」を高めるには、「商品」である「チーム」の魅力を高める他に、いわゆる社会貢献活動(社会連携活動=シャレン)や地域密着活動なども重要な要素になる。ジェフ千葉の例でいえば、佐藤勇人CUOが担っている役割もそれに当てはまるだろうし、レディースチームの活動も(そもそものweリーグの理念自体も)その一端を担っている。クラブの社長である島田亮は、そうした点もしっかり認識した上でクラブ経営に当たっているように見える。
なお、クラブ(ジェフユナイテッド株式会社)全体として経営理念は以下のように体系化されている。

*4:「ロイヤルティ」は直訳すれば「忠誠心」だが、拙稿の文脈では「サポーターの熱狂度の度合い」といった意味合いが近い。

*5:
小林による、顧客との直接的および間接的な対話による「物語の共創」は、いわゆるナラティブ・マーケティングの実践として捉えることもできる。
この観点からの背景の理解は以下のポストが参考になる。なお、投稿主のいぬゆな氏によると、こちらのテキストは生成AIによって作成したとのこと(2026.01.23追記)。


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