なぜ漢方は同じ病気でも人によって違うのでしょうか?|30年薬剤師がわかりやすく解説(#158)
「漢方って、同じ病気なのにどうして人によってコロコロ違うの?」
漢方に興味を持った方から、よくいただく質問です。
「ネットでは◯◯病に、▢▢▢って漢方薬がいいと書いてたのに」
その方によっては疑問や、不信感を感じる方もいらっしゃるのでは?
結論からお伝えすると、
同じ病気でも、その人の体質や身体の状態が
一人ひとり違うからです。
漢方は、病名だけではなく、その人自身の体質に合わせて漢方薬を選んでいきます。
今日は、その理由をわかりやすくお話しします。
例えば同じ「めまい」でも、人により漢方は様々
例え話です。
「めまい」でお悩みのお客様が3人いらっしゃいました。
3人とも
「めまいに良いと聞いて◯◯という漢方を下さい」
とおっしゃいました。
ところが、3人とも年齢も体格も違います。
お話を伺うと、3人とも体質が違いました。
👉️Aさんは、
普段から、体の中の水がたまりやすく、フラフラしやすい人。ドキドキしたり、不安になりやすく、体力が少なめの方です。
この方は、
苓桂朮甘湯(りようけいじゅつかんとう)という漢方が合いました
👉️Bさんは、
普段から、胃や腸が弱く、疲れやすい。食欲がなく、気持ち悪さや頭が重い感じがある方です。
この方は、
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)という漢方が合いました
👉️Cさんは、
普段から、比較的体力があり、肩こりや頭痛があり、顔がほてったり、イライラしやすい方です。
この方は
釣藤散(ちょうとうさん)という漢方が合いました。
ではどれが「めまいの漢方」なのでしょう?
実は ある意味全部違うし、全部そうなのです。
これは例え話で、
実際の漢方処方選びにはもっと確認事項があり、複雑ですし流派によっての選択の違いがありますが
東洋医学では、
「同じ病気だから同じ薬」ではなく
その人の体質はどうなのか?を大切に考えます。
だから、同じ「めまい」でも、その人に合う漢方薬は違ってきます。
漢方買うとき「なぜこんなこと聞かれるの?」
漢方薬局などで、
体質を聞かれた経験がある方はいらっしゃいますでしょうか?
「なんでこんなこと聞かれるんだろう?」
って不思議に感じられたことありませんか?
これは
「その人のもともとの体質どんな傾向なのだろう?そして、今はどのような状態なのだろう?」
ということを考えているのです。
これは流派によって違いがありややこしいのですが
実際には
体力
冷え
汗
睡眠
胃腸
便通
尿
食欲
精神状態など
たくさん確認します。
熱が強いのか?
寒気があるのか?
体力はあるのか?
あまり体力がないのか?
などの体質を、
身体の現象から推測していきます。

この体質の考え方を「証(しょう)」
と呼びます。
「証」は病名ではありません。
その人の今の身体の状態を表したものなのです。
なぜなら、
漢方薬は「証」に合わせるからなのです。
西洋医学と東洋医学は、見る視点が少し違います
普段みなさまが薬局で購入されるのは西洋医学のお薬だと思います。
西洋医学のお薬と東洋医学の漢方との違いについても触れてみます。
西洋医学は、
病気を診断し、検査を行い、
薬や手術などで治療することを得意としています。
救急医療や感染症治療など、
多くの命を支えている、とても大切な医学です。
一方、東洋医学は、
病気だけではなく、
その人全体の状態を見ることを得意としています。
どちらが良い悪いではありません。
同じ人を見ていても、
見る視点が少し違うのです。
私は、その二つの視点があることで、
よりその人に合った医療につながるのではないかと感じています。
漢方を選ぶ時には「証」に合わせましょう
薬局に漢方薬を購入に行ったときに
「さっさと選んでよ。色々聞かないで」
と感じられる方もいらっしゃると思います。
具合が悪いときですので、そのお気持ちはもっともです。
ただ、漢方は
同じ病気でも、その人の体質に合わせることが大切なのです。
その人の今の身体の状態を見極める考え方を、
「証(しょう)」 と呼びます。
どうか、
必要最小限の
体質の確認はさせていただけたらと思います。
ご自身で漢方薬を選んで購入する時も
自分自身の「証」はどのような傾向で
証に合う漢方薬を選んでいただきたいと思います。
個性や価値観がひとりひとり違うように
「証」もまた、
ひとりひとり違うものだからです。
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「30年薬剤師がやさしく解説|東洋医学入門」
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※この記事は、東洋医学や漢方の考え方を一般の方向けにわかりやすく紹介したものです。個別の診断や治療を目的としたものではありません。症状がある方や服薬中の方は、自己判断せず医師・薬剤師などの専門家へご相談ください。
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