おもちゃ箱 第17話
神田桂子の苦悩
<桂子 side>
神「お疲れ様でした~」
私はバイトを終え、帰り道を歩いていた。
私の作ったクッキーは店長にも好評で、明日からお店で新商品として出してもらうこととなった。
神「(これも深堂君のお陰かな?)」
私の頭には深堂君の顔が浮かんでいた。
両親を亡くして、お姉さんと2人で助け合って生活してきた彼。
彼はいつも笑顔を絶やさない。
そんな彼が私の憧れでもある。
しかし、そんな彼が最近暗い顔をすることがある。
原因は最近話題になっている事件のことだろう。
彼も被害に遭ったという。
神「(……大丈夫かな?)」
彼は弱音を吐かない。
いつも笑顔で周りを元気にする。
少しでもそんな彼の力になってあげたい。
同じ店で働く仲間として。
神「ただいま~」
母「おかえりなさい」
家に着いた私を母が迎えてくれた。
私は着替えを済ませると、直ぐに母の夕食の手伝いをした。
程なくして夕食が出来上がり、机に料理を並べていく。
すると、リビングのドアから誰かが入ってきた。
神「あ、ただいま由梨ちゃん」
由「……」
神「あの、ご飯どうす……」
私が言い終わる前に、由梨ちゃんは自分の部屋に戻ってしまった。
神「……はぁ」
由梨ちゃんは本当の子供ではない。
児童養護施設で母が里子として連れてきた子だ。
直ぐに仲良くなれるだろう。
そう思っていた。
しかし、現実はそう甘くなかった。
母とは普通に話すのに、私とは話をしてくれない。
今では部屋に引きこもり、滅多に部屋から出てこない。
母には「好きにさせてやりなさい」と言われてしまい、食事も一緒に食べられない。
神「(どうやったら仲良くなれるんだろう……)」
私は頭を悩ませた。
翌日、私は仕事が休みということもあり、買い物に来ていた。
今まで休みはあったが、こうして羽目を外すことは無かった。
由梨ちゃんがいつか部屋から出てきてくれるかもしれない。
そうなったとき、たくさん話をしたり、一緒に出掛けたりしたい。
そう思うと外に出ることはできなかった。
神「(…たまには良いよね)」
正直、今の生活には限界があった。
気分転換でもしないと、頭がおかしくなりそうだった。
私は、この日は家のことを忘れて楽しむことを決めた。
神「ふぅ~」
時刻は夕方の4時を迎えようとしていた。
私の手には買い物袋がたくさんあった。
その中には、由梨ちゃんへのプレゼントも入っていた。
神「(喜んでくれるといいなぁ)」
私はプレゼントを渡すことを楽しみながら、家路を歩いていた。
神「……ちょっとトイレに行こう」
私は近くにある公園で用を足すことにした。
この公園はあまり人が来ない。
近くにゲームセンターやデパートがあるため、子供もあまり寄り付かないのだ。
神「なんか怖いなぁ」
私は怖がりながらも、なんとか無事にトイレを済ませることができた。
私は手を拭いてトイレから出た。
バチッ!!
神「うっ」
急に身体中に電気が走った。
バタッ。
神「(からだ……が、うご……かない)」
薄くなる意識の中、誰かの足元が私の視界に写った。
それを最後に私の意識は闇に落ちた。
