赤マント 第8話
接触
須「ありがとうございました~」
大樹は自分の店で接客をしていた。
最近はテレビに出ていることもあり、店の売り上げは順調だった。
今日も忙しかった午前の仕事が一段落したばかりだった。
ウィーン。
須「いらっしゃいませ~」
女性が一人入ってきた。
女性はスタスタと大樹の元へ歩いていく。
須「?」
秋「久しぶりね。須藤くん」
須「え?」
秋「覚えてない? 私、秋元茜」
須「秋元? ……あっ」
秋「思い出してくれた?」
須「……あぁ」
大樹は少し怪訝な表情を浮かべた。
大樹と茜は中学時代仲が良くなかった。
秋元はクラスの委員長をしており、クラスの細かなことに目を向けていた。
授業中に喋っているものがいれば注意し、制服の着方についても注意していた。
大樹も良く注意されていた。
大樹はそんな茜を鬱陶しく思っていた。
大樹は茜を連れて店の外に出た。
須「……一体何のようだ」
秋「随分な言い方ね。久しぶりに会ったのに。……まぁそこまで仲良かった訳じゃないけど」
須「……」
秋「取材しに来たの」
須「取材?」
秋「私、記者の仕事してるの」
茜はそう言うと名刺を差し出した。
須「週刊近代……。店の取材なら事前に連絡もらわないと」
秋「お店の取材じゃないわ。貴方に聞きたいことがあるの」
須「?」
秋「10年前のこと」
須「!!」
大樹は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに真顔に戻った。
秋「最近話題になってる『赤マント』知ってるでしょ? 中学の時の同級生たちが次々と亡くなってる。それも貴方が入ってたいじめっこグループの仲間たちが」
須「……」
秋「私は10年前のことが関係してると思ってるの。貴方もそうなんじゃない?」
須「……今回の事件が関係してるかどうかは分からない。ただ、10年前のことは秋元の知ってる通りだよ」
秋「……認めるのね」
須「あぁ。……聞きたいんだけど、一真(かずま)のことも調べてるのか?」
秋「えぇ。それなりにだけど」
須「気を付けろ。アイツは自分の地位を守るためならなんだってするやつだ。せめて警察に逮捕させてから記事にした方がいい」
秋「それじゃスクープにならないじゃない。……それに、警察は信用できない」
須「まぁ、アイツ警察とも繋がってるらしいしな」
秋「えぇ。警察に卯野崎くんがいたわ。『赤マント』の事件を調べてるみたい」
須「卯野崎……」
秋「彼なら事件を隠蔽する可能性がある。そうなる前に記事にしないと」
須「そうか……。まぁ俺は止めるつもりはない。話が聞きたくなったらいつでも連絡してくれ」
秋「以外ね。てっきり「止めろ」とか言われると思ったのに」
須「俺も殺されるのは嫌だからな。それに、一真のことは俺は好きじゃない。アイツだけ助かるのは納得できない」
秋「……」
須「悪いけど今日は予定がある。話はまた今度にしてくれないか?」
秋「……分かったわ。とりあえず時間が出来たら名刺の電話番号にかけて」
須「あぁ」
大樹はそう言うと店に戻っていた。
秋「……」
茜は無意識に強く拳を握っていた。
大樹の後ろ姿を見つめるその目は怒りに満ちていた。
笠井繁
俊介は部下とある人物の家に来ていた。
卯「ここか……」
その家はごく普通の2階建ての住宅だった。
ピンポ-ン。
俊介はインターホンを押した。
?『はい』
卯「すいません。警察のものなんですが笠井繁さんはご在宅でしょうか?」
?『警察の方が繁ちゃんに何のご用ですか?』
卯「ちょっと2、3お聞きしたいことがあるんですが……」
?『繁ちゃんは今出掛けております』
卯「何処に行ったか分かりますか?」
?『さぁ。帰りもいつになるのか分かりません』
卯「そうですか。では……」
ガチャ。
俊介が言い終わる前に通話を切られてしまった。
卯「切りやがった……」
部「これじゃあ話を聞くのは難しそうですね」
卯「あぁ……」
俊介は2階を見た。
そこにはこちらを睨み付ける男性の姿があった。
男性は俊介と目が合うと素早くカーテンを閉めた。
部「今のって……」
卯「あぁ。笠井繁だな」
部「どうしますか? もう一回いきますか?」
卯「……いや、母親が応じない限り中にも入れないだろう。令状も取れないだろうしな」
俊介は腕を組んだ。
卯「取り敢えず張り込むか」
部「じゃあ電話して誰かに張り込ませます」
卯「いや、俺が張り込むよ。中学からの顔馴染みだし。俺だからこそ話してくれることもあるかもしれないからな」
部「? 分かりました」
部下は不思議そうな顔をしながら納得した。
俊介は再び繁の部屋を見ると、ゆっくりとした足取りで家を離れた。
