赤マント 第48話
その後
1ヶ月後。
女1「ねぇ!! 見てこれ!!」
女3「これって「めぐみん」のコンサートチケット!?」
女2「それ、結構倍率高いんでしょ?」
女1「うん!! ほんとラッキーだよ!!」
女2「良いなぁ~」
翼「お前ら~。そろそろ帰らないと、生徒指導室に連絡するぞ~」
女1「え~。 もうちょっといいじゃん」
女2「そうだよ。せっかくしっちーが戻ってきたばっかりなんだしさ」
女2「そうそう。復帰祝いってやつ?」
翼「復帰祝いなら何かくれ」
翼は怪我が治り、1ヶ月ぶりに学校に戻ってきた。
怪我は大したことはなかったのだが、学校から1ヶ月休むように言われたのだ。
マスコミ対策を兼ねてのことだろう。
久しぶりの学校は翼にとって至福の時間だった。
女1「しょうがない。帰るか~」
女2「そうだね。しっちーに免じて帰ってやるか」
翼「……何か納得いかない」
女3「じゃあねしっちー」
翼「あぁ。また明日な」
女子生徒たちは帰っていった。
ピロン。
翼「ん?」
翼の携帯にLINEが届いた。
相手は拓実だった。
開いてみると、拓実と葵衣が2人仲良く写っていた。
内容は葵衣の店で正式に働くことになったというものだった。
翼「拓実にも春が来たかな……」
翼は優しく微笑んだ。
浩一の調査によって、一真の商店街の放火の件が明るみになった。
茜はそれを記事にした。
浩一と茜の記事によって、小久貫家に非難が集まった。
警察も、小久貫家に対して大々的に捜査を始めるらしい。
葵衣も肩の荷が少しだけ降りたことだろう。
茜はこの件がきっかけで仕事が増えたそうだ。
茜は少し嬉しそうにしていたと俊介は語っていた。
萌は芸能界に復帰した。
記者会見で休んだ経緯を説明した。
SNSでは萌を心配する声が相次ぎ、萌のファンが増えたらしい。
翼が退院する際、大きなメロンを持ってきて翼たちを驚かせた。
これからは適度な休みを取って仕事に臨むと笑顔で語っていた。
大樹はお店を再開させた。
いじめの件で売れ行きが下がることを覚悟していたが、それほど影響はでなかったようだ。
大樹は彼女がいることを今だ世間に伏せている。
時期が落ち着いたら自分から発表すると言っていた。
翼「人気者も大変だなぁ」
翼と大樹は連絡先を交換した。
大樹からは退院後直ぐに連絡があり、今度ご飯を食べに行く約束をした。
翼はその日を楽しみにしていた。
美南子と玲穏は今も変わらず保健室に来ている。
ただ、2人は少しだけ話をするようになった。
美南子は翼に嬉しそうに報告してきた。
その時の勢いは凄まじく、翼は少し引いていた。
今度緋梨も入れた3人で遊びに行くらしい。
緋梨からは翼の携帯に『どうしたら良いですか!?』と相談のメールが届いた。
翼はそのメールを見て微笑んだ。
俊介は謹慎期間が延びることになった。
謹慎期間中に勝手に捜査をしたことが原因だ。
俊介曰く「クビにならなかったのが奇跡」らしい。
姫愛は俊介が警察を辞めずに済んだことを喜んだ。
姫愛によると、俊介は黒瀬が犯人だと分かった日から退職届をポケットの中に入れていたらしい。
俊介は早くから覚悟を決めていたようだ。
姫愛も教師を辞めずに済んだ。
これからは周りとのコミュニケーションをしっかりと取るようにしたいと言っていた。
翼「……」
翼は引き出しから退職届を取り出した。
実は翼も学校を辞める覚悟でいた。
いや、実際に言えば『赤マント』に殺される覚悟だった。
その前に学校を辞めてしまおうと考えていたのだ。
しかし、『赤マント』が学校に現れてしまったため、退職届を出す機会を逃してしまった。
翼「……考えてることは一緒か」
翼は俊介が同じことを考えていたことが少し嬉しかった。
ビリッ。
翼は退職届を破りゴミ箱に捨てた。
翼「今日も来るかなぁ。音無たち」
翼はコーヒーカップを手に取った。
保健室にはいつものようにコーヒーの匂いが漂っていた。
