おもちゃ箱 第4話

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<秀明 side>

 俺は今、コーヒーを飲みながら供述調書をまとめていた。

時間を見ると夜の7時を回ろうとしていた。

今日はかなえと奏君と久しぶりの食事だ。

 最近、かなえとは仕事が忙しくて電話でしか話せていない。

 お互いの仕事が仕事なので仕方がないのだが、やはり寂しいものである。

俺は一番上の引き出しを開けた。

中には結婚指輪が入っていた。

 いつかかなえに渡そうと思っているのだが、中々勇気がでない。

日「……はぁ。俺はとんだチキン野郎だ」

俺はゆっくりと引き出しを閉めた。


プルルルル……。

携帯の着信音が鳴った。

日「奏君?」

電話の相手は奏君だった。

日「もしもし奏君? どうかしたのか?」

奏『お久しぶりです、日下さん。実はちょっと困ったことになりまして』

日「なんだ。好きな人でもできたのか? 恋愛相談ならいつでも乗ってやるぞ」

奏『……実はうちに変な荷物が届いたんです』

日「変な荷物?」

奏『はい。それで中を開けてみたら……裸の女性が入ってたんです』

ガタッ。 

日「裸の女性!?」

俺は勢いよく椅子から立ち上がった。

日「奏君。もしかして、その箱の中には銃も入ってたんじゃないのか? やけに長い」

奏『え!? あ、はい。散弾銃が入ってました。後、爆弾も』

日「(やっぱり……)いいか、良く聞いてくれ。今からそっちに向かうから、俺が着くまで箱には絶対に……」

奏『あ、あの!! すいません。もう既に箱に触っちゃいました』

日「え!?」

奏『女の人は病院に連絡して、救急車で運んでもらいました。爆弾も今は止まってます』

日「ば、爆弾解体できたのか?」

奏『プラグ1本に繋がってただけだったんで。危ないとは思ったんですけど、無我夢中で……』

日「……っはぁ~」

体の力が抜けてそのまま椅子に座り込んだ。

日「……全く、危ないことして」

奏『すいません……』

日「……よし。今からそっちに向かうから、何もせずにそこで待ってるんだ。いいね?」

俺はそう言って電話を切った。 

日「(……肝の据わったやつだ)」

俺は彼の話を聞いて素直にそう感じた。

そして、少し羨ましくも思った。

日「……俺にもそれくらいの度胸があればなぁ」

 俺は気を取り直して、椅子にかけてあったスーツに袖を通した。

日「(今日の食事会は無しだな)」

 俺はそう思いながら、かなえに奏君のことを伝えるために、彼女の携帯に連絡を入れた。

<秀明side end>


日「奏君!!」

奏「日下さん」

 日下は深堂宅に到着してすぐ、リビングにいる奏の元に向かった。  

日「大丈夫か!? どっか怪我してないか?」

日下はそう言って奏の肩を強く握り揺さぶる。

奏「あ~大丈夫、大丈夫だから揺らさないで下さい」

日「あ、すまん。……それで、詳しく話を聞かせてくれるか?」

奏「はい」 


奏は秀明に今までのことを話した。

日「…なるほど。話は大体わかった」

秀明はそう言うと奏の頭に手を置いた。

日「恐かっただろう。良く頑張ったな」

奏「……まぁ、頑張ったのは僕ではなく彼女ですけどね」

奏はやんわりと頭から日下の手を離した。

日「彼女?」 

奏「あんな狭い箱の中に閉じ込められて、やっと外に出られると思ったら知らない男の家で。そんな男に自分の命を懸けないといけなくて。とんでもない恐怖だったと思います」

日「……そうだな」


か「奏!!」

突如、かなえが血相を変えて帰ってきた。

奏「うわっ!! ビックリしたぁ。姉ちゃんか」

か「姉ちゃんか、じゃないでしょ!! 秀明から連絡もらって急いで戻ってきたの!! それで、どこも怪我してない!?」

奏「うん、日下さんにも同じこと聞かれた。どこも怪我してないから、大丈夫」

か「はぁ~。良かった」

かなえはその場に座り込んだ。

か「あ、そうだ秀明。その箱に入ってた女の子って今どこにいるの?」

日「今近くの病院で検査を受けてるよ。出来れば聴取を取りたいところなんだが」

か「う~ん。診断の結果を聞かないとなんとも言えないけど、たぶん無理だと思う」

日「そうか……」

か「とりあえず、私は病院に行ってくる」

日「ああ、頼んだ」

か「奏、私今から病院行ってくるから、大人しくここで待っててね?」

奏「留守番頼まれた子供か。心配しなくてもどこにも行かないよ。こんなことがあったあとなんだから」

かなえは立ち上がりリビングを出ようとした。


奏「姉ちゃん!!」

か「?」

奏「落ち着いたら、今度こそ3人でご飯行こう」

か「……うん。そうだね」

かなえはそう言って微笑んだ。

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