おもちゃ箱 第7話

か「え!?」

奏「声が、出ない?」

彼女は頷いた。

か「それは、事件が起きてからの話?」

彼女は首を横に振った。

か「じゃあ、事件が起きる前から?」

今度は首を縦に振った。

 そして彼女は再びメモを取って文字を書き、俺に見せてきた。

?『生まれつきです』

奏「生まれつき? ……そんなことあるの?」

か「そういう病気はあることはある。けど実際に見たのは初めて」

俺は彼女を見た。

彼女はまだ怯えているようだった。


か「……奏」

奏「ん?」

か「あんたが彼女から話を聞きなさい」

奏「はぁ!?」

か「彼女、あんたに少なからず懐いてるみたいだし」

奏「いやいや、何処が!? ていうか姉ちゃん専門家だろ!!」

か「専門家としての判断よ。私じゃ時間かかるだろうし」

奏「いや、けど……」

か「やっぱりまだ怖いんだ」

奏「……」

か「大丈夫。彼女は今までの人とは違う。きっと奏の良い話し相手になるはずだから」

 こうして、俺は彼女の話し相手に選ばれることになった。


姉ちゃんはその後一旦席を外すことになった。

「私がいると話しづらいだろうから」だそうだ。

 けど、きっと近くで聞き耳を立てているだろう。

奏「(どうしよう……)」

何を質問したら良いのか分からない。

というよりも怖くてできない。

 さっきは姉ちゃんがいたから何とか冷静でいられたが、2人きりとなると……。

俺の体からは汗が吹き出していた。


奏「あ、あの」

ビクッ。

俺は意を決して彼女に話しかけた。

しかし、彼女はその声に驚いてしまった。

奏「あ、ごめん。えっと、いくつか質問させてもらっても良いかな」

?「……」 

奏「大丈夫。事件のことについては聞かない。約束する」

 俺の言葉に、彼女はしばらく考えた後、ゆっくりと頷いた。 

奏「ありがとう。……じゃあ、まず君の名前は?」

彼女はメモに文字を書き、僕に見せた。

雪『雪永美琴です』

奏「これは(ゆきなが みこと)って読み方で良いのかな」

彼女はコクンと頷いた。

奏「失礼なこと聞くけど、年齢は?」

雪『19歳です』

奏「(未成年か。この歳であんな体験するなんて)」

奏は頭の中で慎重に質問を考えていた。

奏「えっと、ご家族は?」

雪『父親は私が小さいときに事故で亡くなりました。今は母と2人で暮らしてます』

奏「お母さんの連絡先って今分かる?」

雪『分かります。けど、今携帯を持っていません』

奏「分かるなら大丈夫。うちの姉ちゃんが君のお母さんに連絡をいれてくれるはずだから」

雪「……」

奏「やっぱり、親には心配かけたくない?」

彼女はゆっくりと頷いた。

奏「……そうだよね。でも、君のお母さんは連絡もつかずにきっと心配してる。それに、事件が起きている以上、こちらとしては事件のことを話さないわけにはいかない。そこは理解してもらいたいな」

彼女は心配した顔をしている。

奏「……大丈夫。うちの姉ちゃんがきっと力になってくれるよ」

俺はそう言って笑顔を見せた。

雪『分かりました。よろしくお願いします』

彼女はそう言って頭を下げた。

俺はひとつ息を吐いた。

 気付けば、姉ちゃんがこちらに向けてグッドザインを送っていた。 

俺はそれに苦笑いで返した。

<奏 side end>

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