おもちゃ箱 第2話
突然の悲劇
翌日、奏はいつものように起きて2階から降りてきた。
奏「姉ちゃんはまだ寝てるな」
奏は慣れた手つきで目玉焼きとフレンチトーストを作り始めた。
次に奏は棚からコーヒーの粉を取り出し、カップに入れた。
実は奏はコーヒー通で、様々な国のコーヒー豆を通販などで仕入れているのだ。
家にはコーヒーミルがあり、奏が自ら豆を挽いている。
将来はカフェを開きたいと思っており、そのために近くのカフェでバイトをしている。
か「ふぁ~……。おはよう~」
奏「おはよう~。ナイスタイミング。今コーヒー入れるわ」
か「ありがとう」
かなえは眠そうな顔で椅子に座った。
奏はゆっくりお湯を入れる。
部屋にはコーヒーの香りが充満していた。
奏「はい、どうぞ」
か「ありがとう~」
かなえはフーフーと息をかけてコーヒーを冷まし、ゆっくりと口をつけた。
か「……はぁ。美味しい。やっぱり奏の入れてくれたコーヒーは旨いなぁ」
奏「ふふ。ありがとう」
か「今日大学は?」
奏「今日は講義はないよ。バイトも昼からだし」
か「そっか。じゃあさ。今日食事しに行かない? 秀明も入れて3人で」
奏「別に良いけど。2人のデートの邪魔じゃない?」
か「3人で行こうって言ってるんだからデートじゃないでしょ。それに秀明からの提案だから。久しぶりにごはん食べに行かないかって」
かなえは頬を膨らませながらそう言った。
奏「……なるほど(27にもなってほっぺた膨らますなよ。)」
か「……なんか今失礼なこと考えてなかった?」
奏「……いや、別に」
奏は誤魔化すようにコーヒーに口をつけた。
店「深堂君、今日はもう上がって良いよ」
奏「は~い」
夕方になり、バイトの終了時間となった奏は帰り支度を始めた。
?「あ、深堂君。今日はもう終わり?」
奏「はい」
今話しかけてきたのは、奏が働いているカフェのバイトの先輩、神田桂子(かんだ けいこ)。
何かと奏に良くしてくれる、優しい女性である。
神「これ、良かったらお姉さんと食べて?」
そう言って桂子は、手作りのクッキーを差し出した。
桂子は良くお菓子を作っては、余りを奏にあげている。
というのも、店長も含め、桂子は奏から両親が亡くなっていること、それから2人で生活していることを聞いている。
そのためか、何かと世話を焼いているのだ。
奏「ありがとうございます、桂子さん」
奏はクッキーをバックに入れて店を出た。
奏「ん?」
奏は家の前に宅配業者が止まっているのに気付いた。
?「う~ん。留守なのかなぁ」
奏「あの、すいません」
?「えっ!? あっ、はい!! もしかして深堂さんですか?」
奏「はい。あの、うちに届け物ですか?」
?「はい。そうなんです。かなり大きめのものでして、どうしたものかと……」
奏「大きなもの?」
?「あ、はい。タンスみたいなんですが」
奏「タンス!? 一体なんでそんなものが……」
?「こちらが伝票なんですが……」
そう言って宅配便の男は伝票を見せた。
奏「確かにうちの住所だ。送り主は……山田鈴木?」
奏はその名前に聞き覚えがなかった。
?「あの、商品をお宅に運び入れてもよろしいでしょうか?」
奏「あ、はい。お願いします」
?「分かりました。おーい!! 手伝ってくれ!!」
そういうと、車の中からもう1人男が出てきた。
2人はトラックから商品を出してきた。
それは紙に包まれた大きなものだった。
奏「(確かにでかいな……)」
?「よし、行くぞ。せーの!!」
2人は器用に商品を家の中に入れていく。
奏「おぉ~……」
奏はそのテクニックに感心していた。
?「すいません。こちらにサインをお願いします」
奏は差し出された伝票に名前を書いた。
?「ありがとうございました。失礼します」
奏「お疲れ様でした~」
宅配便の車は去っていった。
奏「……さて、どうしたものか」
奏は玄関に置かれた大きな荷物に困っていた。
奏「……後で日下さんに手伝ってもらおう」
奏は夜に迎えに来てくれるであろう秀明に頼むことにした。
奏「……にしても、なんでタンスなんて送ってきたんだ? この山田さんは」
奏はずっと山田鈴木なる人物について考えていた。
奏「……とりあえず中を確認してみるか」
奏は包み紙を破り捨てた。
奏「……あれ?」
包まれていたのはタンスではなく、綺麗な木の箱だった。
箱には引き出しがなく、左側に取っ手が付いているだけの開き戸だった。
奏「変わったタイプのタンスなのかな?」
奏は箱の中がどうなっているのか気になり、箱を開けることにした。
奏は取っ手に手をかけ、ゆっくりと手前に引いた。
ギィ……。
独特な音が部屋に響いた。
奏「うわぁぁぁ!!」
奏は驚いてその場に倒れこんだ。
箱の中には、裸の女性が入っていた。
