赤マント 第47話
決着
翼「ハァ……ハァ……」
須「……」
大樹は『赤マント』の姿を確認するために屋上の端へ向かった。
翼もその後に続いた。
大樹は下を覗き込んだ。
そこには確かに『赤マント』の姿があった。
彼の周りには血溜まりができていた。
須「あれって死んでんのか?」
翼「うん、多分……」
翼は静かに頷いた。
『赤マント』との闘いは静かに幕を閉じた。
須「うしっ。これで大丈夫」
翼「ありがとう須藤」
翼は大樹に腕を止血してもらっていた。
音「先生大丈夫?」
玲穏たちは怪我した腕を見ながら心配そうな顔をしていた。
美「でも先生も無茶するよね。『赤マント《あいつ》』の前にいきなり立つなんて」
翼「彼は殺したい相手しか殺さないって分かってたからね。俺が前に出れば攻撃できないんじゃないかと思って」
須「お前、あいつが寸止めできてきなかったら今頃死んでんぞ」
翼「その時は、須藤があいつを止めてくれると思ったから」
須「……ったく。お前が一番危ないやつだよ」
翼「ハハハ……」
バァン。
卯「翼!! 姫愛!!」
俊介がドアを開けて勢い良く入ってきた。
姫「俊介!!」
卯「姫愛、大丈夫か!?」
姫「うん。皆のお陰で」
須「おせぇよ」
秋「しょうがないじゃない。道が混んでたんだもの」
俊介は翼を見た。
卯「翼、その怪我……」
翼「大丈夫。かすり傷だから」
須「何がかすり傷だ。無茶しやがって」
バシッ。
大樹は翼の腕を軽く叩いた。
翼「いった!? 痛いよ!? 一応怪我してるんだけど!?」
卯「翼、皆。……ありがとう」
俊介は頭を下げた。
翼「気にしないで。俺は大事な友達と生徒を守っただけだから」
翼はそう言って微笑んだ。
俊介はそんな翼に微笑み返した。
美(浩)「ところで、『赤マント』はどうしたんだ?」
須「美濃部、いたのかお前」
美(浩)「今頃!?」
翼「あいつなら下に落ちたよ」
浩一は走って向かった。
俊介は浩一を追っていった。
浩一が下を確認すると、確かに『赤マント』の死体があった。
美「死んでんのか? あれ」
卯「多分だけど、黒瀬には翼と上坂拓実の姿が重なって見えたんじゃないかな。大事な人のために一生懸命になる姿が……」
美「片方は大事な弟のために。もう片方は大事な友達のために。……確かにちょっと似てるかもな」
卯「そんな翼の姿を見て、黒瀬の殺意は消えたんだと思う。だから、多分もう大丈夫」
俊介はもう一度『赤マント』を見た。
俊介には一瞬、『赤マント』の姿が優太に見えた。
卯「……」
その姿は直ぐに元に戻った。
卯「……行こう」
俊介は浩一にそう声をかけた。
その後、警察が到着し、『赤マント』の死体を解剖に回した。
不思議なことに、黒瀬の死体は皮膚が爛れてはいたが、一切白骨しているところがなかったという。
さらに、体の機能はとっくの昔に停止しており、動くことはあり得ないという。
監察医も警察も、どういうことだと頭を悩ませた。
結局、この事件は疑問が残りながらも、被疑者死亡ということで幕を閉じた。
