赤マント 第9話

音無玲穏と倉野美南子

?「やぁユミちゃん。今日も可愛いね」

?「えぇ~!? ヤダ先輩ったら」

?「どうだい? 後で一緒に食事でも」

?「は、はい!! 喜んで!!」

?「ハハハッ。じゃあまた後でね」

?「はい!!」

 ユミと呼ばれた女性は嬉しそうに走り去っていった。

?「ふぅ。これで今日は暇にならずに済んだかな」

彼は坪井琢也(つぼい たくや)。

 「自称学校一のイケメン」と呼ばれている男だ。

 だがその性格は、多くの女を誑かしているプレイボーイだ。

 周りの評判も散々だが本人はそれに気付いていない。


琢「あれは……」

琢也は目の前を歩いている女性を見つけた。

琢也は女性に駆け寄った。

琢「やぁ、玲穏ちゃん」

音「坪井先輩……」

玲穏は不機嫌な顔になった。

しかし、琢也は気にせず玲穏に話しかける。

琢「どうだい? 今度こそ一緒に食事でも」

音「さっき食事に行くって言ってませんでした? ……確かユミちゃんでしたっけ」

琢「嫌だなぁ。彼女とはただの友達さ。本命は君さ」

音「……すいませんけど、私本命の男がいるんで」

琢「……」

音「それじゃ」

玲穏はそう言って去っていった。


美「いつの間に彼氏なんて出来たの?」

美南子は玲穏の後ろから声をかけた。

音「あなたにいちいち報告する必要ない」

美「さっきの本命って、七咲先生でしょ」

音「……」

美「玲穏ってああいう人が好きなんだ」

音「……別に好きって訳じゃないよ。ただお兄ちゃんと似てるから話しやすいだけ」

美「へぇ……。お兄さんいるんだ」

音「正確には「居た」だけどね」

美「……」

美南子はその言葉に足を止めた。

玲穏はそんな美南子に目もくれず歩き続けた。

 美南子はそんな玲穏の後ろを静かに付いて行った。


姫「乾杯~!!」

翼「……」

翼は姫愛と居酒屋でお酒を飲んでいた。

姫「っぷは~!! 旨い!!」

翼「明日も仕事なんだから飲みすぎないようにね」

姫「分かってるよ~」

翼は苦笑いを浮かべた。

翼「何か嬉しいことでもあった?」

姫「何で分かるの!?」

翼「分かるよ。これでも中学からの幼馴染みなんだから」

姫「……実はね。俊介とご飯食べに行く約束したんだ」

翼「へぇ~。いつ?」

姫「今の事件が落ち着いたらって言ってた」

翼「今の事件って『赤マント』?」

姫「うん。あぁ~早く解決しないかなぁ」

翼「……」

翼は苦しさを紛らわすように微笑んだ。


翼「あ、ねぇ。倉野って最近どうしてる?」

姫「倉野って倉野美南子さん?」

翼「うん。確か姫愛のクラスの子だったよね?」

姫「う~ん。授業中もHRの時も上の空って感じかなぁ。何か聞いても話をはぐらかすことが多くて」

翼「そっか……」

姫「倉野さんがどうかしたの?」

翼「いや、最初の頃と比べるとリストカットとかしなくなったみたいなんだけど、あんまり元気がないというか。……まぁ、多分音無のことが原因だと思うけど」

姫「音無さんかぁ。あの子に関しては話しすらしてくれないからなぁ」

翼「……」

姫「気になる? あの子達のこと」

翼「まぁね。あの2人を見ると何か母さんを思い出すんだよね」

姫「……もう15年だっけ。お母さんが亡くなってから」

翼「うん。未だに何で自殺したのか分からないまま」

姫「お父さんとは?」

翼「一人暮らし始めてから連絡取ってない」

姫「そう……」

翼「あの2人には母さんみたいなことになってほしくないな……」

姫「……」

翼は寂しそうな目をしていた。

姫愛はそんな翼を優しく見つめていた。

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