おもちゃ箱 第29話
過去 ~実行~
翌日から、雅晴は着々と準備を進めた。
休みの日を利用して亜依子の勤めている学校を下見し、教頭の顔を確認した。
篠「(学校のホームページに書いてある通りだ)」
さらに、ネットを使い素人でも簡単に作れる爆弾を検索した。
と言っても、本当に爆発させるわけではない。
そんなことをしてしまえば亜依子が危険な目に遭うかもしれない。
あくまで本物そっくりに作るだけ。
雅晴はそう考えていた。
2ヶ月後、雅晴は爆弾の入った箱を持って家を出た。
身元がバレないように宅配業者に変装し、手袋をした。
彼は運転中、しきりに箱を気にした。
ちゃんと爆弾に見えるか、脅しになるのか、彼女の助けになるのか。
ずっとそんなことを考えていた。
そうしている間に学校に到着した。
彼は深呼吸すると、箱を持って車を出た。
彼は職員室まで着くと近くにいる教師に声をかけた。
篠「すいません。宅配の者なんですが」
教「宅配? 誰か頼みました?」
周りにいた教師たちは不思議そうな顔をしていた。
篠「ですが、住所はここになってるんですけど……」
教「う~ん、確かに。えっと差出人は……篠田雅美。誰だ?」
篠田雅美、雅晴が偽名で書いたものだ。
篠「とりあえず、サインお願いできますか」
教「あ、はい」
教師はサインを書いた。
篠「ありがとうございます。……それでは失礼します」
雅晴はそう言うと職員室を後にした。
後ろでは何やら騒がしくなっていた。
「爆弾だ!!」「警察呼べ!!」「逃げろ!!」などの声が聞こえた。
雅晴は歩く速度を早め、校内を出ると全力疾走で車に戻った。
ひとつ息を吐くと、雅晴は微笑みながら車を発進させた。
それから数日後、雅晴は逮捕された。
手袋もはめ、変装もしていたが、車のナンバーやネットの履歴等からあっという間に雅晴の存在が明るみになった。
雅晴もすぐに犯行を自供した。
供述の際、雅晴は亜依子のことを一切口にしなかった。
ただ、「面白半分」「暇潰し」と言い続けた。
警察は職場先に亜依子がいたので、何か関係があるのではないかと勘繰ったが、爆発物があったわけでも怪我人が出たわけでもなかったため、特に取り調べをするわけでもなく、早々に捜査を打ち切った。
雅晴は2年の実刑判決を受け、勾留された。
2年後、刑期を終えた雅晴は工場に向かった。
そこで雅晴は衝撃の事実を伝えられた。
なんと亜依子は雅晴との関係を父親に話し、勘当同然で父との関係を断ったのだ。
教師の仕事も辞め、今は別の仕事をしているらしい。
雅晴は、直ぐ様亜依子のもとへ向かった。
亜依子の家に着いた雅晴は、そこで更に驚きの光景を目にした。
雅晴は偶然、家から出てくる亜依子を目撃した。
2年前と変わらぬ綺麗な姿の亜依子がそこにはいた。
ただひとつ違ったのは、隣に男がいたことだ。
2人の薬指には、指輪が輝いていた。
亜依子はこの2年の間に雅晴ではない男と結婚していたのだった。
