赤マント 第46話
対峙
バンッ!!
翼「ハァ……ハァ……」
翼たちは屋上にやって来た。
ドアを閉め鍵をかけた。
姫「屋上ってこんな風になってたんだ」
翼「あぁ。生徒が授業をフケる時は保健室かここに良く来るんだ」
姫「へぇ~」
カツッ……。
翼「来た……」
『赤マント』は既に屋上にいた。
翼「……音無、倉野。悪いけど姫愛を頼む」
美「任せて!!」
音「……先生も気を付けてね」
翼「あぁ」
翼は『赤マント』に近付いた。
『赤マント』は鎌を取り出した。
翼「黒瀬、俺は君がいじめられてるのを止められなかった。それはどんなに謝っても許してもらえないと思う。けど、だからと言ってこれ以上君に人を殺させるわけにはいかない。姫愛も俊介も、俺にとっては大事な人だから」
翼は構えを取った。
翼「だから、お前をここで止める」
『赤マント』も構えを取った。
お互いジリジリと動く。
翼「(……さっきより構えが小さい。しっかり学習してる)」
『赤マント』は構えを小さくしたまま鎌を振った。
ブンッ。
翼は後ろに下がって回避した。
『赤マント』は鎌を返し今度は横一文字に振った。
翼「ッ!?」
翼はさっきよりも大きく後ろに下がった。
ブンッ。
鎌はまた空を切った。
『赤マント』は先程よりも大きく踏み出し鎌を振った。
ズバッ。
翼「くっ!?」
鎌は翼の左腕を切り裂いた。
音「先生!!」
姫「翼くん!!」
翼の腕から血が滴り落ちる。
翼は左腕を抑える。
赤「……」
『赤マント』は鎌を振り上げた。
翼はポケットに手を入れた。
そして、携帯を取り出して『赤マント』に投げつけた。
ガッ。
携帯は『赤マント』の顔面に当たった。
仮面を着けているため痛くはないだろうが、『赤マント』は少しだけ体制を崩した。
翼は勢いをつけて『赤マント』に飛び蹴りをした。
ドッ。
『赤マント』は大きく後ろに倒れ込んだ。
それと同時に持っている鎌が手から離れた。
翼「っ……」
赤「……」
『赤マント』はゆっくりと起き上がった。
パキパキッ。
『赤マント』は手の骨を鳴らした。
手の爪は鋭く、容易に人を切り裂くことができそうだった。
翼「(素手でもいけるってことか)」
翼は手負いの身。
鎌と違い、素手での攻撃を避けるのは難しく思えた。
赤「……」
『赤マント』は翼に向かって走った。
翼「(速い!?)」
翼は少し遅れて後ろに下がった。
『赤マント』は腕を振り上げた。
翼「っ!?」
ドン。
『赤マント』は横に大きく吹き飛んだ。
翼「!?」
須「随分厄介なことになってるみたいじゃねぇか」
そこには須藤大樹が立っていた。
翼「須藤、何でここに」
須「お前に用があってな。学校に来てみたら様子がおかしくて気になってさ。秋元に電話したら『赤マントが学校に出た』って聞いたんだ」
翼「……」
須「それにさっき卯野崎に頼まれたんだよ。『あいつらを助けてやってくれ』って」
姫「俊介……」
翼「でも良く屋上にいるって分かったね」
須「俺、お前より喧嘩の場数踏んでるから。喧嘩しやすい場所なんて直ぐに分かる」
翼「喧嘩じゃないけどね……」
翼は苦笑いを浮かべた。
大樹は1歩前に出た。
須「黒瀬、今さら許してもらおうなんて思ってねぇ。お前をいじめてたのは事実だ」
翼「……」
須「昔の俺だったら素直に殺されてたかもしれない。……けど、今俺にも大切なやつがいる。ここで死ぬわけにはいかないんだ。だから、悪いけど止めさせてもらうぜ」
大樹は構えを取った。
赤「……」
『赤マント』も構えた。
翼「……」
翼は大樹の横に立った。
須「お前怪我してんだろ? 休んでろよ」
翼「ちょっとそれは無理かな。俺にも守りたいやつがいるから」
須「そうかよ……」
赤「……」
『赤マント』は2人に向かって走り出した。
キキーッ。
俊介は勢い良くブレーキをかけた。
美「っぶね!? お前運転荒いぞ!?」
卯「緊急事態だ。文句言うな!!」
俊介たちは学校に着いた。
何とかして脇道から渋滞を抜け出し、猛スピードで学校に向かったのだ。
秋「七咲君たちは何処に……」
卯「多分屋上だ。あそこなら学校全体を見渡せるし、あいつと戦う十分な広さがある」
俊介は学校に走った。
秋元もそれに続いた。
美「あ、おい!!」
浩一は急いで跡を追った。
ブン!!
須「あっぶな!?」
翼「(さっきよりも早い。須藤のこと殺すつもりできてる)」
ブン!!
大樹は攻撃を避けると、『赤マント』の腹に蹴りを入れた。
ドッ。
『赤マント』は後ろによろめいた。
大樹は間髪入れずに顔面に右ストレートを見舞った。
ガッ。
ズザァ。
『赤マント』は倒れ込んだ。
須「ってぇ。かてぇなその仮面」
大樹は手をぶらぶらと振った。
赤「……」
『赤マント』はゆっくりと起き上がった。
仮面には少し罅が入っていた。
須「……効いてんのかどうかも分からねぇな」
『赤マント』は大樹に向かって走ってきた。
大樹は構える。
翼「くっ!!」
翼は大樹の元へ走った。
『赤マント』は腕を振り上げた。
ザッ。
翼は大樹と『赤マント』の間に割って入った。
赤「!?」
須「おまっ……」
ピタッ。
翼の顔の前には『赤マント』の鋭い爪があった。
『赤マント』は直前で攻撃を止めたのだ。
翼「おりゃ!!」
ドッ。
翼は『赤マント』の腹に蹴りを入れた。
『赤マント』は突然の攻撃によろめいた。
翼「ふっ!!」
翼は今度は怪我をした左手で『赤マント』の顔面を殴った。
赤「っ!?」
翼「ぬぅぅ!!」
翼は間髪入れずに『赤マント』に攻撃を加えていく。
ガッ。
ゴッ。
『赤マント』は防御を取るわけでもなく、ただ翼の攻撃を受け続けていた。
『赤マント』はどんどん後ろに下がっていく。
翼はふらふらになりながらも攻撃を与え続けた。
ガッ。
『赤マント』に右ストレートを与えたところで翼の攻撃が止まった。
翼「ハァ……ハァ……」
翼は体力の限界を向かえていた。
赤「……」
『赤マント』の後ろには地面が無かった。
あと一歩後ろに下がれば、下に落ちてしまう。
翼はそこまで『赤マント』に攻撃を与え続けたのだ。
ピキッ。
パラッ……。
『赤マント』の仮面が少し剥がれた。
翼「っ!?」
翼はその姿に衝撃を受けた。
『赤マント』には目玉が無かった。
少し見えた肌はふやけており、少しの力で破けてしまいそうなほどだった。
翼「(水の中に沈んだ時のままなんだ)……君はもう、暗い水の中にいる必要はないんだ」
翼は足を少し引いた。
大樹はそれを見て、翼が何をしようとしているのか大体察しが付いた。
大樹は思い切り走った。
翼も少し遅れて『赤マント』に向けて走った。
大「ぬぅあぁぁ!!」
大樹は飛び蹴りを、翼は左ストレートを『赤マント』に向けて放った。
バキッ。
『赤マント』は大きく後ろに吹き飛んだ。
翼は『赤マント』を見た。
『赤マント』は下に向かって落ちていく。
翼にはその動きがとてもゆっくりに見えた。
視界から少しずつ『赤マント』は見えなくなっていく。
数秒もせず、翼の視界から『赤マント』は消えた。
