赤マント 第19話
翌日、翼は保健室で仕事をしていた。
保健室には姫愛もおり、コーヒーを飲みながらゆったりとしていた。
翼は最初、俊介や姫愛に『10年前何かあった?』と直接聞いてみようかと思っていた。
しかし、部屋に入ってきた姫愛が『最近俊介と連絡が取れない。何か聞いていないか?』と言われ、その考えを捨てた。
姫愛にとって俊介は大事な存在。
そんな俊介が必死に何かを隠している。
彼が言わないことを姫愛が言うとは思えなかった。
それに、前に玲穏に言われたことが気になっていた。
『あの2人は本当に先生のことを「友達」だと思ってるのかな』
この言葉が頭から離れなかった。
翼にとって、俊介や姫愛は親友だ。
しかし、2人にとっては違うのではないか。
今回のことがきっかけで関係が壊れてしまうのではないか。
そう思うと怖くて聞けなかった。
姫「……大丈夫かな。俊介」
翼「……本当に何かあったら、死にかけていても姫愛に連絡しそうだけどな。俊介の場合」
姫「……」
翼「覚えてる? 高校1年の時、姫愛の誕生日の日」
姫「?」
翼「誕生会するって言って姫愛ん家に集まってさ。ケーキとかプレゼントとか用意して。けど、時間になっても俊介が現れなくてさ。暫くしてから『怪我して病院にいる』って俊介のお母さんから連絡が来て、急いで病院に行って……」
姫「あっ……」
翼「病院に行ったら包帯いっぱい巻いて、見るからに痛そうで。それなのにあいつ『誕生日おめでとう』って姫愛にプレゼント渡して。それからだったよね。2人が付き合ったの」
姫「うん……」
翼「……あいつは姫愛を悲しませるようなことしないよ。絶対に」
姫「……ありがとう、翼君」
涙を浮かべる姫愛に翼は優しく微笑んだ。
翼「(話を聞きづらくなったな……。やっぱり自分で調べてからにしよう)」
翼は心の中でそう決めた。
翼「……ところで、プレゼントって何貰ってたっけ?」
姫「えっと、確かクマのぬいぐるみだったかな?」
翼と姫愛は暫く会話に花を咲かせた。
