赤マント 第3話
秘めた恋心
翌日、翼は保健室で自作の弁当を食べていた。
ガララ。
姫「失礼しま~す……」
翼「あ、姫愛。どうした?」
姫「翼くん。今大丈夫?」
翼「うん。今日は誰もいないから」
姫「そうなんだ。じゃあ……」
姫愛はゆっくりとドアを閉めて中に入った。
姫「……昨日、俊介から電話があったんだ」
ピク。
姫愛は嬉しそうにそう言った。
翼「へぇ~そうなんだ。それで何だって?」
姫「それが……事件のことで話があるって」
翼「事件って、井上利樹の話のこと?」
姫「あれ? 知ってた?」
翼「昨日会ったんだ。それで話を聞かれた」
姫「そうだったんだ。……あの、翼くん」
翼「ん?」
姫「俊介、私のことなんか言ってた?」
翼「……いや。でも元気にしてるかは聞いてきたよ」
翼は咄嗟に嘘をついた。
姫「!!……そっか」
姫愛はそう聞いて嬉しそうに笑った。
翼はそれを見て胸が締め付けられた。
翼と姫愛は中学生の頃からの友人である。
俊介も加わり、いつも3人一緒だった。
高校生になってもそれは変わらなかった。
だが、翼の中ではそんな関係に嫌気が指していた。
翼は姫愛に恋愛感情があった。
しかし、翼は気付いていた。
姫愛が俊介に恋していることを。
翼「(俺の気持ちは彼女には届かない……)」
翼は姫愛への想いを心の奥に仕舞い込んだ。
そして、姫愛の恋を応援することにしたのだ。
姫愛が出ていったあと、翼はコーヒーを飲みながら天を仰いでいた。
翼「……ふぅ」
姫愛への愛は捨てたつもりだった。
しかし、翼は未だに気持ちを捨てられずにいた。
彼女の笑顔を見るたび、翼の胸は締め付けられた。
翼「……」
外ではしゃぐ生徒たちの声が、静かな保健室に響いていた。
卯「ん、う~ん……」
俊介は大きく伸びをした。
捜査一課は井上利樹の交友関係と、上坂拓実の行方を調べていた。
井上利樹については、あれやあれやと悪い連中とつるんで悪事を働いていたことが出てくるのだが、上坂拓実については全く所在が掴めなかった。
数ヵ月前に学校を退職してから、周りになにも言わず忽然と姿を消したらしい。
職場の同僚だった人たちに話を聞くと、彼は自分の趣味などは良く話していたが、家族のことになると口ごもって何も話してくれなかったという。
俊介は拓実について書かれた捜査資料を見た。
卯「……」
俊介はゆっくりと天を仰いだ。
その目はどこか悲しげだった。
