おもちゃ箱 第31話
<現在>
篠「亜依子はその後旦那と離婚して、俺と結婚した」
奏「……」
皆、雅晴の話に驚いていた。
篠「……まぁ、それは驚くよな。罪を犯した理由が女のためで、その女が旦那と離婚して犯罪者の俺と結婚してるんだから」
奏「その元旦那さんは、離婚に反対しなかったんですか?」
篠「嫌、反対はしたみたいだ。ただ、亜依子が今までの不満をぶちまけたら、大人しく身を引いたらしい」
奏「……そうですか」
篠「分かったかな? 俺には被害者たちを殺す理由も、箱を送る理由もない。俺は快楽殺人者じゃないんだから」
か「あの、一応奥さんにも確認を取りたいので、連絡先を教えてもらっても宜しいですか?」
篠「別に構わないけど、妻への連絡は全て会社に行くようになってるから、一回会社に通した方が良いと思うよ」
か「奥さん携帯お持ちじゃないんですか?」
篠「今はプライバシーの問題とかで規制が厳しくなってるからね。滅多に携帯は持ち歩かないようにしてるんだ」
か「あ、そうなんですか……」
雅晴はその後、亜依子の仕事場の連絡先をかなえに渡した。
絵「すいません。長居してしまって。ありがとうございました」
篠「いや、また何か聞きたいことがあったらいつでもおいで。僕も犯人扱いされるのはゴメンだからね。協力できることなら協力するよ」
絵「……ありがとうございます」
奏たちは確信も得られず、雅晴宅を後にした。
後ろでは雅晴が奏たちの姿を見つめていた。
黒「どう思うよ? 奏」
奏「……グレーってとこかな」
絵「ほとんど奥さんとの馴れ初めしか聞けなかったですもんね」
美「……」
奏「美琴ちゃん。あの人になんか見覚えなかった?」
美琴はメモに文字を書いた。
雪『正直、良く分からなかったです。記憶が曖昧で……』
奏「そうか……」
雪『ごめんなさい。役に立たなくて』
奏「いや、気にしないで。君が悪いわけじゃないから」
か「私、あの人が犯人だとは思えないのよねぇ」
黒「どうしてですか?」
奏「時東先生の話だと、犯人は自己顕示欲が強くて、女性を下に見てる人なんでしょ? あの人はとてもそんな感じには見えないけど」
黒「確かに。奥さんのためにあんな騒ぎ起こしたんですもんね」
奏「……逆に言えば、奥さんのためならどんな犯罪も厭わない」
か「え?」
奏「奥さんって確か弁護士だったよね? もしかしたら、被害者の人たちと関わりがあったかもしれない」
か「……なるほど。奥さんのために犯罪をして、奥さんを服従させたいってことか」
奏「まぁ、あくまで可能性だけど。とりあえず、奥さんへの確認の電話は姉ちゃんに任せるよ」
か「え!? 私?」
奏「学生の俺たちや記者の絵里加が電話しても不審に思われるか、門前払いになるだろ。姉ちゃんだったら何かと理由つけて話を通してもらえるかもしれない。日下さんに調べてもらうのが一番いいんだけど。これ以上日下さんを振り回すわけにはいかないからね」
か「……分かった。確認しとく。秀明には一応伝えておくね」
奏「うん」
こうして1日が終わった。
