おもちゃ箱 第3話
罠
<奏 side>
なんだこれ?
何がどうなってる?
俺の頭の中で、何かがぐるぐると回っていた。
知らない人からタンスが届いたかと思ったら、中身はタンスじゃなく箱。
しかもその中に女の人が入ってる。
意味が分からない。
俺の目の前には女の人がいた。
しかも裸の。
ドクンッ。
俺は無意識に震えていた。
昔の嫌な記憶を思い出していた。
奏「(……大丈夫、大丈夫)」
俺はゆっくりと深呼吸をした。
ゴソッ。
奏「ん?」
ゴソッ。
女の人が動いた。
しかも今、俺と目が合っている。
彼女は周りを確認し、慌てている。
彼女の手足は結束バンドのようなもので拘束されているため、うまく動くことができない。
しかも、良く見ると箱の中には彼女の他に銃が入っていた。
奏「(あれは、散弾銃か?)」
ゲームとかで見たことがある、散弾銃のように見えた。
銃は彼女の手足の間にまるで抱えるような状態で入っており、銃口は彼女の顔に向いていた。
俺はゆっくりと女性に近付いた。
女性はそんな俺に気付き、怯えたような目で俺を見つめてきた。
奏「動かないで!! ……大丈夫、大丈夫だから」
俺は女性に優しく語りかけた。
ゆっくり、ゆっくりと近付く。
ようやく箱にたどり着いた俺は、箱を観察した。
箱は奥行きがあり、体を少し入り込ませないと彼女を拘束している結束バンドは取ることが出来なかった。
奏「……よしっ」
俺は結束バンドを外そうとさらに箱に近付いた。
すると、女性が首を横に振りだした。
まるで来ちゃダメだと言っているかのように。
奏「大丈夫。君の手足を縛っているものを取るだけだから」
俺は彼女を不安にさせないように出来る限りの笑顔で答えた。
俺は箱の中に体を入り込ませようとした。
グッ。
奏「ん?」
俺はふくろはぎの辺りに妙な違和感を感じた。
何かが当たったかのような。
俺はゆっくりと下を確認した。
奏「これは……釣り糸?」
釣り糸のようなものがピンっと張ってあり、良く見るとそれが散弾銃の引き金に結びつけられていた。
奏「(もし、あのまま結束バンドを外そうと箱の中に入り込んでいたら……)」
そう考えたら、体に急激な震えが来た。
奏「……日下さんに電話して、何とかしてもらうしかないか」
ビッ、ピッ、ピッ。
奏「……なんだ? この音」
俺は音のする方を見た。
そこには、タイマーが表示された機械があった。
奏「…まさか、爆弾?」
爆弾らしきものは、彼女の足元の左奥にあった。
タイマーを見ると、残り10分を切ろうとしていた。
奏「クソッ!! これじゃ日下さんが間に合うかどうか分からない。だからってこの位置じゃ解体なんてできない。どうする、どうしたらいい……」
俺は頭を働かせた。
奏「……そうか!!」
俺は急いで車庫に向かった。
車庫から工具箱を持ってくると再び戻り、工具箱からトンカチとニッパーを取り出した。
釣糸は上から見るとL字になるように付けられており、リングボルトに結びつけられていた。
奏「爆弾は無理でも、この釣糸をなんとかできれば……」
俺はトンカチを使ってボルトを軽く叩き続けた。
そして、傾いたボルトをニッパーを使って右に左に捻り、少しずつボルトを引き抜いていく。
もし、力を入れすぎてボルトが急に抜けたら、散弾銃の引き金が引かれてしまうかもしれない。
慎重に、そして素早く。
奏「よし、あとちょっと」
時間は後2分を切っていた。
奏「……オッケー!!」
ようやく手で外せる程度まで引き出したボルトを、俺はゆっくりと手で引き抜いた。
そしてゆっくりと糸を手繰り寄せ、もう片方の手で散弾銃を手に取り箱の外側に立て掛けた。
時間は残り1分。
奏「……ヤバイ」
俺は彼女の手を引き箱から出すと、箱に入り込み爆弾に近づいた。
爆弾はどうやらプラグ1本で繋がっているようだった。
急いで家を出た方が安全だが、他の家にも被害で出かねないし、何より彼女を連れて外に出るのは骨が折れそうだった。
奏「……考えてる余裕はねぇ!!」
俺は思いきってプラグを引き抜いた。
奏「……止まった?」
見ると、タイマーは10秒辺りで止まっていた。
奏「……っはぁ!! はぁ……はぁ……」
ギリギリだった。
体から一気に汗が吹き出してきた。
ドサッ。
見ると、彼女が倒れていた。
奏「嘘!? ちょ、しっかり!! しっかりして!!」
俺は急いで救急車を呼び、日下さんに連絡を入れた。
<奏 side end>
