赤マント 第11話
小久貫宗一郎
パシャ。パシャ。
茜はその頃、ある人物の写真を撮っていた。
秋「……」
今日の朝、ニュースで大樹が襲われたと聞いた。
茜はさほど驚かなかった。
いつかそんなことが起こる。
そう確信していた。
しかしそれと同時に、大樹が生きていることに少しホッとしていた。
それは大樹を心配してのことではない。
大樹が死んでしまったら、10年前のことが分からなくなってしまうかもしれない。
そうなったらせっかくのスクープが無くなってしまうかもしれない。
秋「(絶対に明らかにしてやる……)」
茜は闘志を燃やしていた。
卯「秋元」
俊介は部下を連れて茜のところへやってきた。
秋「良くここが分かったわね。誰にも伝えてないのに」
卯「君のデスクにここの写真があったから」
秋「……それで、何のよう?」
卯「最近、笠井繁の家に行ったな」
秋「えぇ。本人には会えなかったけど」
卯「一体何のようで会いに行ったんだ?」
秋「取材内容は明かせない」
卯「『赤マント』に関連することについて聞きに言ったんじゃないのか?」
秋「……」
茜はカメラをしまうとその場を離れようとした。
卯「殺人事件の捜査に関わることなんだ」
秋「私だってスクープに関わることよ」
卯「人の命よりスクープか」
秋「……あなたにそんなこと言う資格ある?」
茜は冷たい目で俊介を睨んだ。
卯「っ……」
茜は去っていった。
部「警部?」
卯「……」
俊介は茜が写真を撮っていた場所を見つめた。
卯「国会議事堂前……。秋元はこんな場所で何を撮ってたんだ?」
俊介は署に帰ると、総務省のホームページを見ていた。
すると気になる人物がいた。
卯「小久貫宗一郎(おくぬき そういちろう)?」
俊介は小久貫と言う名字に聞き覚えがあった。
卯「小久貫……小久貫……。小久貫一真(おくぬき かずま)か!!」
小久貫一真。
俊介たちの中学の同級生で、利樹たちいじめっ子グループのリーダー的存在だった。
卯「大抵名前で呼ばれてたから気付かなかった。秋元があそこにいたのはこういう理由か……」
一真は父親、宗一郎の権力を笠に中学時代悪さを繰り返していた。
彼が退学にならなかったのは、宗一郎が学校に圧力をかけたり、金を渡して揉み消していたからだ。
卯「(やっぱり10年前のことが絡んでるのか……)」
一真は無意識に拳を握っていた。
卯「(何で今になって……。いや、考えるのは後だ。それより今はこれ以上の犯行を止めないと……)」
音「……」
玲穏は空を眺めていた。
授業中だが、玲穏の耳には教師の声は聞こえていなかった。
朝に見た、須藤大樹が『赤マント』に襲われたニュースが頭から離れなかった。
音「……」
キーンコーンカーンコーン……。
美「玲穏~。一緒にご飯食べない?」
音「……保健室行ってくる」
美「あ~。そう……」
玲穏は美南子の顔を見ること無く教室を出ていった。
美南子は寂しさを誤魔化すように自分の弁当を見つめていた。
