赤マント 第17話
不気味な仮面、赤いマント。
それは確かに『赤マント』で間違いなかった。
翼は玲穏たちを守るようにゆっくりと前に立った。
スッ。
『赤マント』は懐から大きな鎌を取り出した。
翼「!?」
翼は身構えた。
ケ「くぅ~ん……」
翼の横からケンちゃんと呼ばれていた犬が出てきた。
音「ケンちゃん……」
ケンちゃんは『赤マント』に近付いた。
ケ「くぅ~ん……」
ケンちゃんは頬を刷り寄せ甘えている。
『赤マント』は鎌を持ったまま動かない。
今度は玲穏が翼の横を通っていった。
渡「音無さん?」
翼「……」
音「お兄ちゃん……」
玲穏は『赤マント』に呼び掛けた。
音「お兄ちゃんなんだよね? そうだよね?」
赤「……」
音「ごめんねお兄ちゃん。私のせいでいっぱい迷惑かけちゃったよね。私分かってた。お兄ちゃんか私の代わりにお母さんの期待に応えようって無理してたこと。一生懸命に笑顔作ってたんだよね。私、何も出来なくて……。そのせいでお兄ちゃん病気になって……」
翼「音無……」
音「あの時、お兄ちゃんが助けてくれた時、本当に嬉しかった。でも、それからずっと考えてた。お兄ちゃんが本当に殺したかったのは私じゃないかって。いつもいつも自由にしてた私を恨んでるんじゃないかって。それでそんな姿になったんじゃないかって。そう思ってた」
赤「……」
音「ごめんね、お兄ちゃん。本当にごめんなさい……」
玲穏は泣き崩れた。
赤「……」
『赤マント』は鎌を懐に仕舞い、ケンちゃんを抱き抱えた。
ケ「わんっ!!」
『赤マント』は翼たちを見た。
翼「!?」
翼には一瞬『赤マント』が音無晴人の姿に見えた。
その顔はとても笑顔だった。
翼「……」
『赤マント』はケンちゃんと共にスッと姿を消した。
パサッ。
『赤マント』が消えたと同時に、そこからモノが落ちてきた。
翼「?」
翼はそのモノを拾い上げた。
それは1枚の写真だった。
翼「……音無」
翼は玲穏の元へ歩く。
翼「これ……」
翼は玲穏に写真を見せた。
写真には玲穏と家族の写真が写っていた。
玲穏と晴人、そして両親。
皆笑顔だった。
音「これ、お兄ちゃんの葬式の時に棺に入れた写真……」
翼「裏見てみろ」
音「?」
玲穏は写真を裏返した。
『大好きな家族へ』
写真にはそう書かれていた。
音「お兄ちゃんの字だ……」
翼「……これがお兄さんの本音ってことか」
音「お兄ちゃんっ……」
玲穏は写真を抱き抱えて泣いた。
渡「ぐすっ……」
緋梨も泣いていた。
翼「……」
翼はそんな2人を見て微笑んだ。
気付けば空は赤く染まっていた。
