赤マント 第34話
翼「……そう言えば、似てる。こことか特に」
須「あいつ、昔から岩原のこと卑しい目で見てやがったからなぁ」
萌「え!? そうなの」
須「あぁ。仕事クビになって、自暴自棄にでもなったんだろ。上手くいけば無理にでも関係持てるとでも思ってたんじゃねぇか?」
萌「……」
萌は青い顔をしていた。
翼「これを警察に持っていけば、笠井を逮捕できるんじゃ……」
須「どうかな。直ぐにって訳にもいかねぇだろ。警察は今『赤マント』で手一杯だからな。それに、逮捕できても精々2、3年だろ? あいつ絶対反省なんてしねぇよ」
翼「じゃあどうすれば……」
須「証拠の手紙があるんだ。いつでも捕まえられんだろ。今は警察が張ってるから無闇に手紙出しにもいけねぇだろうし」
翼「……その間に『赤マント』に笠井が殺されたら?」
須「あいつだって狙われてるって分かってんだ。警察もいるなら『赤マント』も滅多に手を出せねぇだろ」
翼「……」
須「……まぁ、卯野崎に連絡くらいは入れといて良いんじゃねぇか?」
翼「……うん」
須「……あいつ、脅迫状を手書きで書くなんて、やっぱバカだな」
翼「え?」
須「いや、何でもねぇ」
萌「須藤君、七咲君」
翼「ん?」
萌「2人とも死なないでね? また3人でお喋りしよ?」
翼「……うん。また話そう」
須「……お前、自分の親友も入れてやれよ。そこは」
萌「あ、そうだね。じゃあ4人で話そう。絶対」
須「……あぁ」
萌の言葉に大樹は素っ気なく返した。
その顔はどこか嬉しそうに翼には見えた。
翼「……ところで、須藤の彼女ってどんな人なの?」
須「……後で写真見せてやるよ」
久しぶりのデート
その夜、俊介と姫愛は病院近くのレストランにいた。
卯「それじゃあ、退院祝いってことで。乾杯」
姫「……ありがとう」
2人はグラスを合わせた。
翼に真実を話したその日、俊介は姫愛に『退院したら食事に行こう』と約束をしていた。
最近はデートに行けていなかったので、姫愛にとってはとても嬉しいものだった。
退院の日を迎えると、病院の駐車場には既に俊介が待っていた。
俊介もこの日が待ち遠しかったようだ。
2人はレストランの予約時間まで買い物や映画を観に行ったりと、久しぶりに2人の時間を楽しんだ。
卯「本当に体は大丈夫か?」
姫「もう、今日それ聞くの何回目? お医者さんにも大丈夫って言われたからこうやってデートに来てるんじゃない」
卯「それはそうだけど……」
姫「何かあった時のために病院が近いこのレストランを選んでくれたんでしょ? 」
卯「……あぁ」
姫愛に核心を突かれ俊介は頬をかいた。
姫「それより大丈夫なの? 謹慎中なのにこんなことしちゃって」
卯「そんなこと言ったら隠れて捜査してる時点でアウトなんだけどな」
姫「それはそうなんだけど……。ごめんね、俊介、私のせいで」
卯「姫愛のせいじゃないよ。俺が勝手に色々やっただけ。だからそんな悲しそうな顔しないでくれ。せっかくのデートなんだから」
姫「……うん」
卯「姫愛」
姫「ん?」
卯「もし俺が刑事をクビになったら、それでも俺の傍にいてくれる?」
姫「そんなの当たり前じゃない。私は俊介の全部が好きなんだから」
卯「……そうか」
俊介はその言葉を聞いて微笑んだ。
この日、2人は久しぶりのデートを楽しんだ。
