おもちゃ箱 第41話

再び鹿児島へ

奏「……眠い」

 奏たちは今、鹿児島の名物かき氷「白熊」を食べながら桜島を眺めていた。

 前回よりも早い時間に鹿児島に到着した奏たちは、一旦休憩をすることにした。

 奏の横では、美琴が幸せそうな顔をしながらかき氷を食べていた。

 秀平はなんとかき氷を2個頼み、その1個をもうすぐ完食しようかというところだった。

絵「……良くそんなに食べられますね」

絵里加はそんな秀平を見て、若干引いていた。

黒「だって鹿児島になんて滅多に来られないんだぜ。存分に楽しまないと」

奏「……言っとくけど、観光じゃなくて捜査をしにきたんだからな」

黒「分かってるって~」

奏「……サボったら、帰りの電車代金とか旅館の宿泊代とか全部払わせるからな」

黒「うっ。……分かりました。真面目にします」

絵「フフッ」

 奏と秀平のやり取りを見て絵里加は笑っていた。

美琴も笑顔を見せていた。

4人は暫しゆっくりとした時間を過ごした。


 美琴が鹿児島に行くことに関して、かなえや彩月は特に反対しなかった。

「家に閉じ籠ってばかりいては気が滅入るだろう」ということだったが、実際は2人とも奏のことを信頼していた。

 奏がいれば美琴も安全だろうと思い、了承したのだ。

 本当は秀明や重雄も連れていきたかったのだが、秀明は捜査が忙しくなり抜け出せず、重雄は持病の腰痛が悪化したため、この4人での捜査となった。

 重雄からは『何がなんでも良い情報持ってこい!!』と再三言われた。

 奏は電話越しに「なんかすっかり記者みたいな扱い受けてる気がする」と苦笑いを浮かべていた。

 事件が終わった後、重雄から「記者になって俺の取材を手伝ってくれ」とオファーを受けるのではないかと、奏は少し不安になった。


黒「さて、そろそろ行きますか」

絵「どこから聞き込みします?」

奏「とりあえず、彼女の実家周辺からにしようか」

絵「分かりました」

奏「俺は美琴ちゃんと回るから、絵里加は秀平と回ってね」

黒、絵「えっ!?」

奏「ん?」

秀平と絵里加は互いに顔を見合わせた。

奏はそんな2人を不思議そうに見ていた。

黒「奏、ちょっと」

秀平は奏を呼んだ。

黒「なんで絵里加となんだ。普通男同士、女同士だろう」

奏「だって美琴ちゃんとコミュニケーション取れるの俺くらいだろう」

黒「それはそうだけど……。4人で回れば良いだろ? そっちの方が楽しそうだし」

奏「あのな、遊びに来てるんじゃないんだから、楽しみな感じ出す必要ないから」

黒「……」

奏「……嫌なのか? 絵里加と2人になるの」

黒「嫌じゃないんだけど……。なんか気まずいんだよ。知ってるだろ? 俺が絵里加に惚れてるの」

奏「うん」

黒「なんか最近、妙に避けられてる気がしてよ。バッタリ会ってもそっけない返事しかしないし」

奏「……それって何時から?」

黒「お前と絵里加が尾野寺とかいう記者の人に会いに行った次の日」

奏「あぁ~……(俺が秀平のこと好きか聞いちゃったからか)」

 絵里加は奏に秀平のことを聞かれてから、余計に秀平のことを意識するようになった。

それを悟られないように、絵里加は出来るだけ秀平と距離を取るようになったのだった。

黒「?」

奏「まぁ、大丈夫だと思うよ。ほら、今はこの事件のことで忙しいだろうし。この事件が解決すれば、また元に戻るさ」

黒「う~ん……」

 秀平は納得いかなかったようだが、渋々了承した。

奏「じゃあ、行こうか」

黒「また後でな~」

奏と美琴、秀平と絵里加はそれぞれ反対方向へ歩き出した。

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