【エッセイ】『調子はどう?』
友達が、少し命に関わるような病気になった。
一年前の春に話したきりだったその子から、突然インスタのDMに「通話しようよ」と連絡が来て、そのとき初めて知った。ここではその子をAと呼ぼう。
Aは私とは別の高校に通っており、詳しい近況はあまり知らなかったが、更新されるSNSを見る限り、Aはキラキラとした学生生活を送っていた
具体的な将来の夢が幼い頃からあって、それに本当に夢中で。たくさんの友達がいて、私がいまだに入れないスタバによく足を運んで、新作の写真をストーリーに載せて。部活は中学で運動部に入って、スタメンになって、キャプテンをつとめて、さあ高校も!という今。
心臓の病気でドクターストップがかかった。
そう語るAの声は明るい。
偶然、私は通話した日の直前まで風邪をひいていたため喉の調子が悪かったのだが、Aは「おい大丈夫か笑笑」とあたかも元気に学校に通っているかのようなテンションで話している。
あんたの方が絶対に大丈夫じゃないだろ笑、がその時の私の精一杯のツッコミだった。あぁ、センスがほしい。
案の定大丈夫ではないようで、最近はAの輝かしいスタバのストーリーも、部活での活躍姿も見られなくなった。いまも生きているけれど、薬をたくさん飲んで生活している。
Aの明るい声と、前向きな言葉が並べられた文面を見るたびに、私は胸が痛む。
将来の夢はない(この出来事をきっかけに医者になろう!と言える頭ではない。手遅れ。)し、友達も少ないし、先ほども書いたようにスタバに入る勇気はなくて、部活はほぼ帰宅部、家でゴロゴロしながら「明日の学校がだるい」とか言っている私。
こんなやつが健康で、やりたいことで溢れている子が病気になるこの世の仕組みを、私は一生理解できそうにない。だが私以上に辛いのはAで、口にはせずとも私以上にこの世の仕組みを恨んでいるはずだ。
そう考えた途端、Aとどう関わっていくべきなのかわからなくなってきた。
もし命と時間と健康な身体を他人と分け合える世界なら、私はAに全て渡すだろう。だが実際に私がしていることと言えば、不安がって最近の症状ばかり聞いて、ただ「無理しないでね」というペラペラな言葉だけを送りつけることくらいだ。
それをAはどう思っているのだろうか。
冷やかしと同じだと思っているだろうか。
そう思われててもおかしくない。
何と声をかけるべきか、そもそも連絡はしない方がいいのか。ひとりでぐるぐると考えていたら、気づけば最後のやりとりから2ヶ月の月日が流れていた。
「便りがないのは元気な証拠」と言い聞かせて、打ったまま放置している『調子はどう?』というメッセージ。Aとのトーク画面を開いてみるものの、やはり送信する勇気はない。
そんな自分が今日も嫌になる。
📚おすすめの記事はこちら📚
このエッセイを読んでくださった方へ
スタバのくだりはこのエッセイを読んでほしいです〜👇
私の部活はこんな感じ👇
1年経っても相変わらずです
