来日コンサートの殿堂 日本武道館 マイケル・シェンカーとジェネシスとジュリアン・レノン 洋楽ロックへの招待状その26
バブル期、日本武道館
大学生になって東京に住むようになって、それまで抑えられていた思いがさく裂してかなりの数のコンサートに行きました。今考えると、1980年代から90年代のこの時期はいわゆるバブルのちょっと前からそのピークぐらいで、日本はお金があった時代。海外の大物アーティストを招く力があったということですね。本当にたくさんの来日公演、ありました。今回はその中でも今までの記事で取り上げていなかったバンドについて書きたいと思います。特に日本武道館を会場にしたものを。日本武道館。1964年の東京オリンピックの柔道会場として建設された施設ですが、ビートルズが来日公演を行った会場でもあり、洋楽ロックの中ではもはや殿堂と言っても過言ではないかと思います。
マイケル・シェンカー・グループ
私が生涯で初めて行った海外アーティストのコンサートはマイケル・シェンカー・グループでした。当時は田舎の高校生でした。同じクラスの同級生数人と夏休みに東京に行ってコンサートを見ようという話になり、候補はこのマイケル・シェンカーとジャーニーでした。実は私はそのころ(今もそうですが)いわゆるハードロック、ヘビメタ系はあまり得意ではなかったのですが、ヘビメタ好きの同級生に「彼のギターはメロディアスだから大丈夫」と言いくるめられ、結局マイケル・シェンカーとなりました。
1981年8月12日。初めての武道館。建物の大きさと人の多さにびっくり。そして、辿りつた席は武道館の2階北東スタンド。武道館では通常、ステージはアリーナ北側にセットされます。つまりこの席は真横よりさらにステージの後ろ。実際、コンサートが始まると動きのあるメンバー以外はまったく見えませんでした。なんだかコンサート会場を覗き見ているような感覚で、音質的にもそんなに良くはなかったように記憶しています。
当時このバンドにはコージー・パウエルというスタードラマーが在籍していて、ドラムソロもありました。会場内は大盛り上がり。逆にこっちはコージーさんの姿は見えず何やってるかさっぱりわからない状態で、この時間はひたすら我慢でありました。
コンサートそのものは同級生のアドバイスによる予習が功を奏し「イン・トゥ・ジ・アリーナ」や「ドクター・ドクター」で盛り上がり、楽しむことはできました。ところで、この日の演奏は「飛翔伝説 MSG武道館ライヴ」として公式に発売されました。その場で聴いた音に加え、自分の拍手や歓声もその一部になって記録されているというのは、うれしいですね。
フィル・コリンズ
1985年4月はフィル・コリンズ。プログレ・バンドという位置づけだったジェネシスのドラマー兼ヴォーカルですね。当時のフィルさんはソロアルバム「ノー・ジャケット・リクワイアド」が大ヒットを記録し絶好調の時で、本家ジェネシスを越えるぐらいの勢いでした。とにかくポップでエンターテイメントなコンサートで、プログレからは遠かったのですが、ひとたびドラムスティックを握ると人が変わったように物凄い音を聴かせてくれました。
ジュリアン・レノン
同じ1985年の6月はジュリアン・レノン。そう、あのレノンさんの息子ですね。デビューアルバム「ヴァロッテ」のヒットの勢いでの来日公演。アルバムと同名のシングルと「トゥー・レイト・フォー・グッドバイ」の2曲は確かにいい曲でしたが、武道館でやるのはどうかと思ったらこれが満席。ジュリアンさんご本人には申し訳ないですが、お父さんの名前で来た人もかなりいたのかと思います。コンサートは、バンドもしっかりしていて息の合った演奏で聴かせ、前述のシングル2曲で盛り上げてくれました。そして観客もきっとやるだろうと期待していたお父さんの曲ですが、ビートルズの「デイ・トリッパー」とソロでカバーをした「スタンド・バイ・ミー」をやりました。超有名曲ではないのがかえってよかった。コンサートの流れにもあっていたし、とてもいい選曲でした。
ジェネシス、そしてバリライト
そして1987年3月。いよいよジェネシス本体です。この頃はフィルさんがヒットチャートの常連になった状態に加え、ジェネシスも前年発表の「インビジブル・タッチ」が大ヒット。(フィルさんの色が強いですが)そこに元メンバーのピーター・ガブリエルの「SO」も大ヒット。ジェネシス・ファミリーが世界中を席巻していました。当然、武道館も満員。当たり前ですが、当時の最新の曲はポップになったとは言え、ジェネシスはジェネシス。プログレバンドの音はしっかり聴かせてくれました。フィルさんのソロとは別物(かなりフィルさん目立ってましたが)。
このコンサートで忘れてならないのは、バリライトですね。当時としては画期的な動く照明です。ジェネシスが開発に大きく関わり、コンサートで初めて使用したのもジェネシス。フィルさんのソロでも使用はしていましたが、本家ジェネシス、量が違いました。さすがの光の大洪水でした。
今ではドーム球場でのコンサートも当たり前になり、逆に武道館は一体感を持ってコンサートを楽しめるサイズに思えます。PAの進化で音もずいぶん良くなったと思います。私にとっては、日本武道館はまだまだロックの殿堂です。
