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『サンキュー、チャック』試写会映画感想文

ありがとうチャック、素晴らしい39(サンキュー)年間


トムヒが踊る!もしあなたが往年のミュージカル映画のようなダンスシーンと伏線回収が好きなスティーヴン・キングオタクで、人生讃歌が刺さるなら、これはあなたのための作品だ


"I am wonderful.
I deserve to be wonderful.
I contain multitudes."

キッレキレに踊るトム・ヒドルストンを見られるだけで、本作を観る価値がある。それはつまり生きる喜びだ!私の中には多数の人が存在する。頭の中には、今までの人生で見てきたもの・知っているものから成る自分だけの宇宙があって、歳を重ねるごとにその宇宙は広がっていく。正直、最低限の内容を追うだけなら10数分程度のショートフィルムでもまとめられそうな短編(中編?)原作を、たくみに膨らませる広げ方が上手い。何気ない要素すら最後まできもちよくつながっていく感じがあったかくて好みでよかった。自分も、己の人生を胸張って祝福できるような生き方したい!"世界の終わり"に「ぼくは素晴らしい」のだと"全俺"を肯定したい。

【第1幕】
大道芸人サイコー!ラ・ラ・ランドならぬチャ・チャ・チャック(CHA CHA CHUCK)だった?!祖母ばぁばとキッチンで踊るモンタージュが好き。6年生の少年チャックが、8年生の女子と踊るシーンで、その様子を恨めしそうに(羨ましそうに?)見ている女子のボーイフレンドの服装が完璧に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』マーティ。つまり、青色のシャツに赤色のダウンベスト!学校のダンスパーティーのシーンでこれは完璧に狙っている。からの、夜空の下で、少年チャックが余韻に浸ってひとり踊るシーンが最高!まさしく「この一瞬のために生きてきた」という人生の意味 = 本作のテーマを、この上なく効果的かつ映像的に観客へ届けていたと思う。作中のダンスシーンが、本当にどれもまばゆいばかりに魅力的。

【第2幕】
スティーヴン・キング原作 × キングオタクのマイク・フラナガン監督 = …と言ったらホラー!と思いきや、まさかの心温まるドラマモードな感動系キング作品の系譜。つまり、素晴らしい作品群に数えられる新たな感動作で、『ショーシャンク』(『カバーガール』リタ・ヘイワースと来たらすぐにあのポスターが頭に浮かんだ)・『グリーンマイル』を手掛けたフランク・ダラボンが『ミスト』を監督したのとは逆コース。とは言いつつ、全窓チャック投影や星消滅、シャイニング部屋などにはホラー風味な演出もところどころ観られて、編集も監督自身がしている意味があるなと思った。時系列解体もお手の物。地の文をナレーションで言っちゃうというリスクテイカーな語り口もハマって、魅力的な雰囲気を形作っていた。

【第3幕】
人類の歴史は、宇宙時計で言ったら大晦日の夜遅く。「数学はアート」と語る酒ヤケじぃじ役マーク・ハミルに、イジョフォー&カレン・ギランのMCU元夫婦。天才子役枠だったジェイコブ・トレンブレイくんもすっかりイケメンの青年に。ちなみにトレンブレイくんだけでなく、カール・ランブリーも『ドクター・スリープ』に続くフラナガン組だけど、『ドクター・スリープ』の役柄に合わせて考えると、本作で言っている「1週間先の天気を予想できる男」の話はシャイニング(能力)ではないかという読みが、個人的に一番アツかった。

P.S. 最後に、作中一番幼い最初のチャックは、マイク・フラナガン監督の息子とのこと。キングお気に入り『蠅の王』の本の映り込み?

勝手に関連作品『ベンジャミン・バトン数奇な人生』

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