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【日本の常識・世界の常識】【野球】日米で違う理想の打順−−セイバーメトリクスが導き出した、得点力を最大化する理想の打順

野球 ファンなら一度は「最強の打順」を考えるのではないでしょうか。そのチームで一番優れたバッターを何番にしたら良いのか、またその前後はどんなバッターに打たせたら良いのか。結局 これは一番得点が期待できる打順 ということになりますが、確率論や統計学の手法を用いることで、どの打順が最も得点期待値を高めるかが合理的に計算されています。

​野球における打順の最適化は、統計学の一分野である「セイバーメトリクス」において深く研究されてきました。結論から申し上げますと、打者の能力が同じであれば、打席が回ってくる回数の多さと、その打席が巡ってきたときの状況(ランナーの有無など)の確率を掛け合わせることで、理論上の最適解を導き出すことが可能です。

​打席数の差が生む確率の壁

​打順を科学する上で最も基礎となるデータは、打順によって「生涯で回ってくる打席の総数」が明確に異なるという事実です。

​膨大な試合データの統計から、打順が1つ下がるごとに、1試合あたり約0.11回、1シーズン(143試合換算)では約16回も打席数が減少することが示されています。つまり、1番打者と4番打者では、シーズンを通して約50打席もの差が生じるわけです。

​どれほど優れた打者であっても、打席に立たなければその能力を発揮して得点を生み出すことはできません。この「打席数の最大化」という観点が、近年のMLBにおける「2番最強説」の強力な根拠の一つとなっています。

​マルコフ連鎖で考える「得点期待値」

​野球の1イニングは、「アウトカウント(0〜2)」と「ランナーの状況( urban ランナーなし〜満塁)」の組み合わせにより、合計24通りの「状態」に分類することができます。

​バッターが打席に入り、ヒットやアウトという結果を出すことは、この24通りの状態から別の状態へと移行することを意味します。数学的には、これを「マルコフ連鎖(状態の遷移確率)」としてモデル化することが可能です。

​過去の何万試合というデータから、それぞれの状態における「イニングが終わるまでに平均して何点入るか」という得点期待値が計算されています。

例えば、「ノーアウトランナーなし」の得点期待値は約0.5点ですが、「ノーアウト満塁」になれば約2.3点まで跳ね上がります。

​このモデルを用いて、9人の打者の能力(出塁率や長打率)を当てはめ、どのような並び順にすれば最も効率よく期待値を加算できるかをコンピューターで何万回もシミュレーションした結果、従来の日本流の考え方とは異なる順序が導き出されました。

​統計学が導く「新・理想の打順」

​セイバーメトリクスの先駆者たちの研究(『The Book: Playing the Percentages in Baseball』など)によると、得点力を最大化するための上位打線の役割は以下のように定義されています。

​1番打者(出塁のスペシャリスト):

とにかく打席が多く回るため、アウトにならない能力(高い出塁率)が最優先されます。

​2番打者(チーム最強の打者):

1番打者が作ったチャンスで打席が回りやすく、なおかつ打席数も非常に多いため、出塁率と長打力を兼ね備えた「チームで最高のバッター」を置くべきだとされています。これが現在のMLBの主流です。

​3番打者(実は過大評価されがち?):

日米ともに伝統的に重視されてきましたが、統計的には「2つアウトをとられた後(二死ランナーなし)」で打席が回ってくる確率が最も高い打順であることが分かっています。そのため、実は4番や5番よりも得点への寄与度が低くなりやすく、トップクラスの打者を置くのは効率が悪い傾向があります。

​4番打者(ランナーを一掃する長距離砲):

1〜3番が作ったチャンス(特にランナーが一塁、二塁にいる状況)で打席が回ってくる確率が最も高いため、ホームランや二塁打を打てる高い長打率が求められます。

​このように、回ってくる打席の「量(回数)」と「質(チャンスの度合い)」を天秤にかけたとき、総合的に最も価値が高いのが「2番」であり、次いで「4番」「1番」という順番になることが統計的な計算から明らかになっています。

​日本の伝統的な「4番最強説」は、1回表にランナーを置いた状態で回ってくるという「初回の一打」を重視する経験則に基づいていると考えられます。一方で、試合全体、あるいはシーズン全体という長いスパンで得点を最大化しようとする場合、確率論的には2番に最強の打者を据えるMLBのアプローチの方が合理的であるという見方が強まっています。

​日本のプロ野球でも近年はこの考え方が導入されつつあり、データに基づいた戦略の多様化が進んでいるのではないでしょうか。

​本日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

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