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生きるとは、証明すること

「主語の大きい人は信用できない」

 常々、そんな風に思っているのですが、考えてみれば「主語の大きい人」というのも立派な『主語』なわけで。論理が破綻しているというか、自分も「信用できないやつ」だと証明しているようで、皮肉が効いていますよね。

 もとい、信用できないのは「日本人は」「若者は」「年寄りは」「女は」「男は」といった大きすぎる主語と、それを自信満々に振り回す人のこと。確かに主語が大きいと、主張は簡潔で、わかりやすくなります。でもそれは裏を返すと、内容に偏りがあったり、検証が不十分であったりするわけで。要するに「妥当ではない(=信用できない)」と思ってしまいます。

 もちろん、例外なくすべてを網羅するのは難しいし、なにかを伝えようと思ったら、必要なところだけピックアップするのは、当然かもしれません。ただ、指のすき間からこぼれたところにも、大切な要素が含まれていたら。そう思うからこそ、言い淀んでしまうこともあって。だから僕には、写真の構図もなかなか決められないわけです。

 そんな前置きをしておいて何ですが、「人間とは、何かを証明したがる」ものだと、最近よく思います(主語、デカすぎ問題)。

 たとえば「誰かに認めてほしい」という気持ち(俗にいう承認欲求)は、「自分の価値を証明したい」という気持ちの表れでしょう。評価されたい、有名になりたい、いいねやスキが欲しいのは典型的な「価値の証明」です。

 そうではなく、ただ「ありのままの自分を認めて(受け入れて)ほしい」という、もっと切実な承認欲求だってあります。「存在の証明」とでも言うのでしょうか。これは価値の証明より、ずっと根本的なものだと感じます。だからこそ、ここが証明できないと、生きづらさを抱えてしまうことも。

 価値の証明と存在の証明。どちらにしても、社会的な生き物である人間にとっては、ごく自然な気持ちなのだと思います。自分が自分であるために。

 「人間の欲求」の背後には「何かを証明したい」という意思が隠れているかもしれない。この視点に立ってみると、色んなことが少しだけ整理できるような気がします。

 例えば、何か否定的なことを言われたとき。発言そのものよりも、相手がそれを通して「何を証明したがっているか」を考えてみるといいでしょう。もしもそれが、あなたの「価値」や、大切な「存在」であることを証明するための言葉なら。否定的でも、受け入れやすいのではないでしょうか。

 そうではなく、相手が「自分の正しさ」や「優位性」を証明したいだけと感じてしまうのなら。真意がどうであれ、受け入れるのは難しいでしょう。同時に、「受け入れられない」と感じるあなたも、そうすることで相手への「拒否感」を証明しようとしている。そんな意地の悪い解釈もできます。

 ほかにも「自分はツイてないな」と感じるとき。本当にツイてないのか、それとも「やっぱり自分はツイてないな」と『証明しよう』とするあまり、気付かぬうちに破滅的な選択をしている……なんてことがあるかも。

 証明が悪いとか、善いとかではなくて。その裏側にある「証明したい」を分析してみると、違った見方ができるかもしれない。ここで言いたいのは、そういう趣旨の話でした。
 

 そんなわけで、「生きるとは、何かを証明すること」。そう思うのです。

 自分は幸せになる価値があるとか、夢を叶えるにふさわしい存在だとか。あるいは価値がない、ふさわしくない存在だと。自分自身の人生を通じて、それらを証明しようとしている、と。

 証明したいものが「何か」という点が、「価値観の違い」の根底にある。何が大切かなんて、ひとによって全然違うはず。ただそれが何であっても、自分の生き様をかけて「証明したい」。その証明の過程こそが、「生きる」ということなのかもしれません。

 「なぜ生きるのか」という問いに答えるなら、「何かを証明するため」。その何かが明確であれば、いわゆる「生きがい」にもつながるのでしょう。たとえ今は、それが見つかっていなくても。いつかきっと、見つけられる。そんな風に思えたら、素敵ですよね。

 そして、一度証明したら終わりということはなくて。生きている限りは、それを「証明し続ける」のです。まるで写真の構図を、考え続けるように。

 証明したい「何か」は、途中から大きく変わることだってあるでしょう。夢を追いかけ続けていた人が、もっと別の、大切なものに出会うみたいに。論理的ではないし、一貫性もない。でもだからこそ。それがあなただけの「生きた証」になっていく。そういうものだと思いたい。

 「人間とは」とか、「生きるとは」なんて。これ以上ない、大きな主語。そんな、妥当ではない、信用もできない、独りよがりな主張でした。

 こんな記事を読んでくださって、スキをして、僕の存在を承認してくれる皆さん。いつもありがとうございます。あなたの言葉、あなたの書く文章もぜひ読ませてくださいね。

とらお

撮影ワールド:Under The Bridge/iron biscuit さん

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