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Cinema Notes #009『嘆きの風』

Cinema Notes #009
『嘆きの風』(仮)
舞台:イスラエル / パレスチナ / ポーランド

~ 壁は人を分ける。だが、風は止められない ~

世界には、
何十年も終わらない争いがある。
それはニュースの中では
「紛争」と呼ばれる。
政治。
宗教。
領土。
歴史。
しかしその言葉の下には、
いつも
一人ひとりの人生がある。
爆撃の夜を知る少年。
兵士になることを拒む青年。
壁の向こうの街を
一度も見たことのない少女。
イスラエルとパレスチナ。
この場所では、
人は生まれた瞬間から
歴史の中に置かれている。
憎しみは
いつから始まったのか。
誰が始めたのか。
そして
それは本当に
終わることがあるのだろうか。

もしあなたが
生まれた瞬間から
「敵」が決まっている場所に
生きていたとしたら。
もしあなたの家族が
爆撃で失われたとしたら。
もしあなたの祖父が
ホロコーストの生存者だったとしたら。
あなたは
何を選ぶだろう。
復讐だろうか。
沈黙だろうか。
それとも
赦しだろうか。
歴史は
大きな物語として語られる。
しかし、
その歴史を生きているのは
いつも
まだ二十歳そこそこの若者たちだ。
彼らは
過去を選べない。
だが、
未来を選ぶことはできる。
その選択は、
どれほど重いものだろうか。

【企画概要】

『嘆きの風』は、
イスラエルとパレスチナという
世界でもっとも長く続く対立の地を舞台に、
三人の若者が
歴史の重さと向き合う物語である。
イスラエル人の青年ヨナタンは
兵役を拒否し、
反戦運動に参加している。
彼の祖父は
ホロコーストの生存者だった。
一方、
ガザで医師として働いていた
パレスチナ人の青年アミールは、
空爆によって家族を失う。
彼は
復讐を誓う。
そして
ガザに暮らす少女ナディア。
彼女は
壁の向こうの世界を
一度も見たことがない。
ヨナタンとアミールは
かつて同じ病院で働いていた。
だが今、
彼らは
互いの敵として
再び出会うことになる。
『嘆きの風』は
戦争の映画ではない。
これは
歴史の中で
選択を迫られる
若者たちの映画である。

【あらすじ】

テルアビブ。
ヨナタン(21歳)は
兵役を拒否している。
彼は
軍に入ることを
拒んだ。
だがその決断は
家族との断絶を意味していた。
祖父は
ホロコーストの生存者。
家族は言う。
「この国は、戦わなければ生き残れない」
ヨナタンは
答えられない。
ただ
戦争を続けることだけが
答えなのか
疑問を抱いている。

ガザ。
アミール(24歳)は
医師だった。
だがある夜、
空爆が街を襲う。
家族は
瓦礫の下で死んだ。
その瞬間、
彼の人生は
別の方向へ動き出す。
復讐。
彼は
過激派組織に近づく。
標的は
イスラエルの病院。

ヨナタンとアミールは
かつて同じ場所にいた。
医療支援プログラム。
同じ患者を助けた。
同じ命を守った。
しかし今、
彼らは
互いの側の人間になっている。

ナディア(19歳)。
ガザに生まれた彼女は
壁の向こうの世界を知らない。
だが
ヨナタンとは
密かに連絡を取り合っていた。
インターネット。
言葉。
詩。
それは
ほんの小さな橋だった。
しかし
戦争は
その橋を簡単に壊す。

ヨナタンは
祖父の遺した日記を読み、
ポーランドへ向かう。
アウシュヴィッツ。
鉄道。
空の広い平原。
彼は
祖父が見た世界を知る。
憎しみが
どこから生まれるのか。
そして
それが
どこまで続くのか。

その頃
アミールは
攻撃の準備を進めている。
そして
二人は
再び対峙する。
武器を持つ者と、
言葉を持つ者として。

しかし
その結末は
誰にも分からない。
ナディアは
すでに消えている。
アミールは
捕らえられる。
攻撃は
未遂に終わる。
だが
何も解決していない。
歴史は
まだそこにある。

【映像設計思想】

Cinema Notes は常に
「境界」を描くシリーズである。
しかしこの作品の境界は
単なる国境ではない。
それは
歴史の境界
である。
ホロコースト。
占領。
空爆。
壁。
それらは
異なる歴史でありながら、
同じ問いを残している。
人は
恐怖の記憶を
どのように受け継ぐのか。
そして
その記憶は
いつ
憎しみに変わるのか。
この映画では
・イスラエル
・ガザ
・ポーランド
という三つの空間が
一つの歴史として重なっていく。
風。
砂。
鉄道。
壁。
時間は違うが、
人間の感情は
どこかでつながっている。

【原案者としての意図・ステートメント】

私は長い間、
「境界」というものについて
映画の中で考えてきました。
国境。
文化。
言語。
歴史。
それらは
人と人のあいだに
線を引きます。
しかし
その線は
地図の上に引かれているだけではありません。
人の心の中にも
引かれています。
この映画で描きたいのは、
イスラエルとパレスチナの対立そのものではありません。
私が見つめたいのは、
憎しみがどのように受け継がれるのか
ということです。
ある祖父は
収容所を生き延びました。
ある青年は
爆撃で家族を失いました。
その記憶は
次の世代の中で
どのように形を変えるのでしょうか。
恐怖は
憎しみになるのか。
それとも
別の選択を生むのか。
私はこの映画を
政治の映画としてではなく、
選択の映画
として作りたいと思っています。
歴史は
人間を縛ります。
しかし最後に選ぶのは
いつも
一人の人間です。
壁は
人を分けます。
けれど
風は
止めることができません。
もしかすると
人の心もまた
同じなのかもしれません。

【詳細構成】

第一幕 受け継がれた壁(約35分)

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