『 てじまゆう、誌面デビュー。※ただしグラドルじゃない 』
小さく雑誌に名前が載った、あの日。
生まれて初めて「 雑誌に書く 」でお金をもらった気がした。
アルバイトの時給ではない、自分の言葉に対する対価。
当時の私は、大学に通いながら、
編集プロダクションでバイトをしていた。
原稿整理、FAX送信、資料集め──いわゆる“雑用”係。
当時は配送文化が今ほど発達してなかったから
撮影に必要なものはすべて買い出しに行くスタイル。
本屋、CDショップ、ハンズ、紀伊國屋、ナショナル…
都内のありとあらゆる店舗を駆けずりまわり、
朝晩は大抵、編集部やデザイン事務所に原稿やらなんやらを届ける
1人Amazonみたいなことが仕事のメインだった。
その合間でみんなのランチを作り、
指定紙を作り、掃除洗濯をして、写真のポジ入れ、撮影準備
コーディネートチェックの写真撮り、プリントアウト…
朝から晩まで座る暇はほぼなかった。
そんなある日。
「 マジでもう無理… 」先輩が悲鳴をあげる。
彼女はファッション以外の記事の統括していた1人で
とにかくとんでもない量の仕事を毎月抱えていた。
机の上はお世辞にも綺麗だとはいえず、
いつ雪崩がおきるか状態……。
そんな彼女が徹夜明けにひとこと。
「 ねえ、書いてみなよ!」
「 へっ!?」
冗談かと思った。
だって私はなんてったって雑用係。
記事を書くなんて、夢のまた夢。
けれど先輩は、真顔だった。
「 構成だけいいから。とにかく、文章にしてくれるだけで助かるから 」
手渡されたのはとある雑誌で──
テーマはスポーツ協議会の理事へのインタビュー原稿。
「 この録音、文字に起こして、2000字くらいでまとめて 」
え、無理。無理無理。と思ったものの断る術はなく
私の手にはボイスレコーダーが握らされていた。
何度も巻き戻しては止め、止めては巻き戻し、
言い回しに悩み、構成に悩み、
無論、バイトの時間には終わらず、
家に持ち帰り、徹夜で文字起こし。
眠い目を擦りながら原稿を書き上げ
翌朝10時からのバイトに滑り込んだ。
それが、はじめて仕事として「 自分が書いた 」文章だった。
数週間後。仕上がった誌面が刷り上がる。
恐る恐るページをめくると、そこにあったのは──
「文・構成:てじまゆう」
たった10文字。
なのに、何度も何度も見返した。
今ならスマホで撮影して
インスタのストーリーにあげていたことだろう。
書いたのは自分。だけど、
「 名前が載る 」ってこんなに胸にくるー
そう教えてくれた瞬間だった。
原稿料は物理的にはない。
私はただの時給バイトだったから。
でもそのたった10文字が
初めて私に書く報酬をくれた気がした。
数日後のこと。
「 いつからグラドルになった? 」
雑誌に名前が載ったことを知らせた友達からのメール。
添えられていたのはグラビアページの写真。
???
──よく見ると、そこにも「 てじまゆう 」の文字がある。
まさかの同姓同名。
「 知らない間に脱いでるんだけど 」
って、私もびっくりしたわ。
これがちょっと笑えた私の #はじめてのお金 の話。
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