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ダークパターン~面倒につけ込むズルいヤツ

最初は良さそうに見えたのに、フタを開けてみたら・・・残念。世の中には、人の判断ミスや面倒につけこんで利用しようとする人がいる。細かく確認するのが億劫なとき、相手を信用したいとき、話を先に進めたいときほど、慎重にならないとやられてしまう。

人の油断につけこむ仕掛け
表題の「ダークパターン」という言葉を聞いたことあるだろうか?聞き慣れない言葉かもしれないけど、意味を知ると、あーよくあるあれか・・・と若干のイラだちを感じながら、自身の体験が蘇る人も少なくないだろう。どういうことかと言うと、オンラインストア等で顧客のミス、勘違いを誘うことによりストア側が得する仕掛けを意図的に組み込むことだ。例えばお得な情報はデカデカと表示する一方、最も注意すべき「ただし」な制約事項は目立たない画面下の小さすぎるサイズだったりする。今回は僕が体験した(してしまった)このような人の面倒をいいことにちょろまかす嫌なやり口について取り上げたい。

まさかあの銀行が・・・
まずは、ある地方銀行の例。数年前に亡くなった父は生前、銀行の担当者から勧められるがままに金融商品の売買を幾度も繰り返していた。銀行が販売手数料を稼ぐ姑息なやり方だ。さらに高齢者には不向きな比較的リスクの高い金融商品(例えば仕組債)が運用商品一覧にはずらりと並んでいた。父に買い替えた理由を聞いても、よくわからないけど銀行担当者が良いと言うから、と答えるだけ。田舎の高齢者が抱いている地元銀行への信頼は半端なものではない。彼らはおそらく、それを承知の上だ。一度、銀行の顧客相談窓口に何も分からない高齢者に頻繁にリスク性の高い商品の回転売買を勧めるのってどうよ?と抗議したが、誠意のある回答は得られなかった。が、しかし、父が亡くなって数年の後、その銀行の金融知識に乏しい顧客を食い物にする商売手法が社会的な批判を浴び、トップが責任をとって辞任した。なんだかな・・・と、すっきり、の同居。

さらに父の死後、相続のため、その銀行に連絡を取り事前に告げられた必要書類を持参の上、来店するとコロナのため事前予約がないと処理出来ないと少々鬱陶しそうな態度で案内役から連絡先の書かれた紙だけが渡された。そういう事情なら仕方ないかと諦め、改めて予約の電話を入れると今度は担当者から改めて連絡するという対応を立て続けに2人から受け、ようやくたどり着いた3人目の担当者まで、いかにも面倒くさそうな態度だったので、さすがに怒って抗議した。世に言うたらい回しだ。自分たちがリスクを負うことなく確実に儲かる金融商品は鼻息荒く無知で従順な顧客に猛アタックをかける一方、1円にもならない相続手続きには誰も関わろうとしない。短期の儲けという観点では合理的な一方、長期の顧客満足という観点では最悪だ。僕が今後、その銀行と関わることはないだろう。

いつかは明らかになるズレ
次に僕が生業としているシステム構築での「面倒につけ込むズルいヤツ」の話。家を建てる時に、顧客の要望をもとに設計図を作るみたいに、システムの構築時にも「こうしたい!」を聞いて設計するような段階を経て実際にプログラムの作成に至る。そんな初期段階での要望確認に、曖昧、勘違い、漏れといったことが大きいと、じゃ具体的にどんな機能、画面を作りましょうか?といった段階になって顧客との大きなズレに気付いて泣きを見ることになる。

例えば、ある老朽化したシステムを新しく作り替えるプロジェクトでのこと。初期段階でまとめた要望資料の中に「現状機能保証」という曖昧すぎる不思議な言葉が盛り込まれた。開発に費やせるお金が限られる中、何を何処までやるか?決める打ち合わせは、時には厳しい言葉も行き交う緊張を伴う場だ。そんな中で「現状機能保証」という言葉は問題を先送りする都合の良い言葉だった。お金に余裕がないにも関わらず財布の紐を緩める「責任ある積極財政」といった魔法の言葉みたいに。今はそこまで決めなくて、もう少し先で事情を明らかにしてから詳細を詰めていきましょう、だって、このまま要望が決まらない状態が続いてしまっては、スケジュールは遅れ、さらにはコストオーバーに陥る。だから「現状機能保証」としておいて、今のシステムで出来ていることは今後も出来るから心配無用!といった無責任な感覚をどことなく顧客、開発、の双方で持っていた。

しかしそういう曖昧さ、都合の良さを前提とした平穏はすぐに崩壊する。結婚直後の新鮮さに隠されていた違和感が日常によって洗い出され徐々に尖鋭化していくみたいに。具体的にどんな機能、画面が必要か?といった段階になると、顧客は抽象という霧が取り払われ日常の実務の話になるため、今まで通りを具体的に要求し、開発ボリュームは膨張しまくった。開発側は、このように運用を変えることで代替出来ますよね?もしくはこの機能は開発コストが随分とかかる割に業務を改善する効果は小さい、だから人力でカバーして欲しい、みたいなことで予算と時間を節約しようと試みたが、顧客は「現状機能保証」を主張し、平行線のまま膠着に陥った。中には業務担当者がExcelなどにより密かに作っていた隠れツールのようなものが埋蔵されていることも発覚した。そのようなものまで「現状機能保証」ですか?トホホ・・・な状態だ。

初期の大きな方向性を定める段階で「現状機能保証」という都合の良い言葉に逃げることなく、今出来ていることに依らないゼロベースで現状に即したあるべき姿を定め、それに対して必要な機能を洗い出すべきだった。もうはるか遠い昔の「現状」に基づいて作られたシステムの忠実な再現に頑張りすぎるのは残念だ。初恋は過去の記憶に留め、再会なんて野暮なことは考えない方がいいみたいに。もうあの時は過ぎ去り、通信、ソフト、ハードといったシステムを支える諸技術から顧客のビジネスを取り巻く環境、さらには業務を担っている顔ぶれといったことまで一変しているのだから。システムの姿も今にそぐうものでなければならない。今を正確に把握し、今に即した絵を描き顧客を導いていけなかった自分に不甲斐なさを感じてしまった。

もう、失敗しない!
以上、2つの例を挙げて「面倒につけ込むズルいヤツ」の汚さ、怖さ、について取り上げた。では、このような残念に陥らないために僕たちは一体どうしたらいいのか?まずは面倒だからといって安易に先送りすることなく、その場その場で丁寧に確認、対処していくことだ。僕も失敗した経験がある。会計アプリのサポート費用が初年度無料との甘い誘いに乗り必要に乏しかったにも関わらず加入した。その1年後に自動課金されていることに暫くの間、気づかなかった。「課金を始めてもいいですか?」そんな確認があるものだと勘違いしていた。しかもネットで解約手続きが出来ない仕組みだったものだから電話による解約手続きに随分と手間取った記憶がある。「ただし」の長文を慎重に確認していなかった為だ。ダークパターンといったテクニックを駆使する面々は人の面倒とか不注意、無知に狡猾につけ入る。だからしつこいくらいの確認で丁度いい。逆にそういった姿勢をウザがるようだったら怪しい、ダークと思った方がいい。

人は面倒な時ほど都合よく考え失敗する。

もう一つは、そもそも、そのようなテクニックに接しないようにする、つまり付き合いを避けることだ。昨今、企業の姿勢として、株主利益に的を絞った短期的な思考から、SDGsという言葉に代表されるような従業員、顧客、環境、株主、取引先といった幅広いステークホルダーの長期的な利益重視が問われるようになった。そういった潮流の中、顧客をちょろまかして足元の利益を拾っていくスタンスの継続は困難な時代になりつつある。だから薄っぺらい都合の良さとは距離を置き、相互に利益を享受しながら長く付き合っていけるパートナーを時間をかけて探していくことに尽きる。手間暇かかるけど、結局はそれが一番マシだ。契約にサインした瞬間に態度を変える営業マンから買った車は今回で最後にしたい。

伝えるべきことを伝えないで後悔したことない?僕にはある。だから常に可能な限り誠実でありたく思う。たとえそれがブレーキになったとしても。

都合の良さに怒っているsex pistols

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