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アナログでなにが悪い 〜 プログラマー気取りの自分が不動産屋に入って選んだ「タスク管理」

今は3月の終わり、不動産業では繁忙期も終わりに近づき、特に賃貸におかれましては皆が死んだような顔をしているのではないかとご想像申し上げます。

なんどか触れてきましたが、私は異業種から訳あって不動産業に入りまして・・・今はまた離れてしばらく経っているのですが、毎年この時期になると色々と思い出します。

そんな不動産の業務におけるタスク管理なのですが、世の中には「業務のタスク管理ツール」なんてのは沢山あって、ウェブベースのものからスマホのアプリのものまで色々あります。しかも、自分はバリバリのデジタル人間でありますから、「なんなら自分でアプリ作ったるわ」気取りだった訳です、当初は。

しかしですね・・・。

不動産の業務を行いながら数年に渡るあれやこれやの試行錯誤をした結果、結局行き着いたのは「手書きメモ」。それも実際のところは「ウラ紙の走り書きの束」w

そりゃリマインダーぐらいは使っていました。何月何日何時にどこそこで会合または会議、とか。でもそういうのはGoogleカレンダーでも使ってスマホに同期させるだけで十分。それ以外はウラ紙。

なんでかっていうとですね、私がいた不動産会社は売買と賃貸の管理と仲介をやるという、幅広めな業務を行う会社でありました。(なので、自分も全部をやらされていました>良い修行)

不動産屋といっても色々で、売買のみ、賃貸のみ、それも仲介のみ、管理だけ、またはどれかの組み合わせ、なんていうタイプの会社もありえます。面白いのは、それぞれ営業さん達のノリや態度も違えば使う言葉までもちょっと違ったりします。

特に、売買と賃貸では、スピード感がまるで別の時空にいるかのように違います。売買は少しどっしりと腰を落ち着けてやりますが、賃貸の繁忙期はまるでお祭り騒ぎです。

といっても賃貸の業務を舐めちゃいけませんわ、あれ。特に繁忙期の3月とか。先物の賃貸仲介だけとかの会社ならまた別ですが、自分がいた所は管理物件数もそこそこある会社だったので。

賃貸の繁忙期とは、春の引っ越しシーズンで、主に地方から東京の大学に進学する学生の一斉移動がある時期です。これは大学の多い東京の不動産屋限定の話しかもしれませんが、アメリカのようにセメスター制で分散する国と違って、皆が一斉にしかも3月中旬に入居を希望しますから、この時期に賃貸の入退去が極端に集中するのです。

そうするとですね、普通に片手で携帯で喋りながら反対の手でパソコンでタイプしつつ肩で固定電話の受話器を支えながら電話を掛けている、みたいな状況が起きるわけです。繁忙期の賃貸の仲介と管理は、ピークになるとそんな感じであります。

まず、一つの物件の入退去だけで、退去立会い、オーナーへの報告と交渉、リフォーム業者への見積もり・発注・確認、退去者への退去精算、新たな募集、新入居者の案内と申込み審査・契約、があります。これだけで、4者と交渉して話しを取りまとめつつ、非常に多くのタスクをこなしていかなければなりません。しかも契約に仲介業者が絡むと5者間の調整になりますね。そしてこの入退去が一日に何件も重なるわけで・・・。しかも、毎回まったく別の5者が絡むわけです。

これは入居日っていうタイムリミットもある契約ごとですので、いちいちメールなんかで相手の返信を待つ、なんて悠長なことはやっていられません。返事をくれる人かもどうかも分かりませんし、メールを送ってやったつもりになったまま忘れてしまう、なんてのがオチです。

電話を受けたら話しながらメモを走り書きするのが精一杯で(同業同士はこの時期みな単刀直入早口用件のみ)、受話器をおいた瞬間にまた別の電話が掛かってきます。しかも、電話中にお客さんが来店し、目の前に来るので無言のプレッシャーを受けるなんてこともしばしば(路面店ですから)。だから電話で受けた用件はその場でメモしないと忘れちゃいます。気がついたら走り書きのメモの山です。

つまり、「タスク管理」なんてしている余裕ねぇって話しです。いちいち「タスク管理」に入力している暇があったら、さっさと電話を掛けるなり動くなりしてその用件(タスク)を片付けろ、っていう・・・。でないと自分の業務が破綻します。

メールだけで済んでいた前職とはまるで違う世界。こういうのは実際に業務をやってみないことには分からないこと、だったりするんですよね。

結果、自分にあった「タスク管理」とは、走り書きしたメモを起点に「一枚のメモ=一タスク」としてそれらのメモを束にします。一番優先度が高いものが一番上に来ます。一息ついたタイミングでこのメモの束を順番に見直して、そのタイミングで出来ることや必要なことを処理したり、または追記して更新していく、という感じになりました。

このメモ束の厚みがビジュアル的に嫌でもプレッシャーになり、ぶ厚くなってくると「これはヤバい」とお尻に火が付くわけです。

因みに、「ウラ紙」って何かというと、不動産屋には物件情報が同業他社から紙で大量に回ってきます。いわゆる「マイソク」という図面ですが、これが紙の図面やFAXで大量に(それも勝手に)来るので、紙だけは大量にあります。これを何分割かにして、その紙のウラを使うのです。

で、何よりも気に入っていたのは、「一枚のメモ=一タスク」を無事処理し終わった時に、手のひらでクシャクシャっと丸めて、ゴミ箱に放り込んでやる行為そのものであります。面倒な案件だったらなおさらのこと「よっしゃー一つ完了!」、と・・・。

この快感は、デジタルの「タスク管理」では再現不可能かと思われます。

アナログでなにが悪い。

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