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初回商談の30分が「会社説明」で終わるなら、見直すべきは話し方ではない


初回商談で30分の時間をもらったのに、気づけば20分以上こちらが話している。

「まずは会社紹介から」「続いてサービスについて説明します」「こちらが過去の実績でして……」と進めて、ようやく相手の話を聞こうと思った頃には残り5分。「では最後に、御社のお悩みを少しだけ」となってしまう。

これでは、悩みを聞きに来たのか、会社説明を聞いてもらいに来たのか、だんだん分からなくなってきます。もちろん会社説明が悪いわけではありません。初対面なら「どんな会社なのか」「信用できるのか」を知ってもらう必要があります。

でも、商談でしかできない会話まで会社説明に押し出されているなら、少しもったいない。初回商談の30分は、「どれだけたくさん説明できたか」ではなく、相手のことをどこまで理解できたかで設計した方がいいのではないか。僕はそう考えています。

Netflixは、最初の数分で続きを見るか決めている

少し話は変わりますが、僕はNetflixをよく見ます。

夜に「今日は1話だけ」と再生したはずなのに、自動再生で次の話が始まり、「まあ冒頭だけ見よかな」と思っているうちに3話目。Netflixの自動再生は、こちらの意志力を静かに持っていきます(笑)。

ただ、どんな作品でもそうなるわけではありません。サムネイルを見る。タイトルを見る。冒頭を少し見る。その時点で「面白そう」「自分の好きな感じかも」と思えば続きを見ますが、ピンとこなければ別の作品へ移ります。

後半にものすごい展開が待っていたとしても、入口で興味を持てなければ、そこまでたどり着きません。

これ、仕事でも同じやなと思いました。商談相手も最初から「御社のことを全部知りたい」と思って座っているわけではありません。

まず知りたいのは、「自分たちに関係がありそうか」「この人は自分たちの課題を理解してくれそうか」「この30分に時間を使う価値がありそうか」ということです。

だから最初から会社の沿革やサービスの特徴を順番に説明するより、相手が「これは自社の話かもしれない」と思える入口をつくった方が、その後の話も聞いてもらいやすくなります。

会社説明が長くなるのは、営業担当者が悪いからではない

会社説明が長くなる理由は、営業担当者の話が長いからとは限りません。むしろ真面目な人ほど、「これも説明しておかないと」「あれも伝えておかないと」と情報を足していきます。

会社概要も必要。サービスの特徴も必要。実績も必要。他社との違いも必要。どれも大切だから削れず、結果として本来聞きたかった相手の課題が最後に追いやられます。

たとえば30分の商談が、

・会社説明 20分
・サービス説明 7分
・課題ヒアリング 3分

になっているとします。

3分では「今どんなことで困っていますか?」と聞くだけで、ほぼ終わってしまいます。本当はそこから、「なぜそれが起きているのか」「誰が困っているのか」「今まで何を試したのか」「社内ではどう判断されるのか」まで聞きたいところです。

初回商談で本当に価値があるのは、むしろこの部分ではないでしょうか。

「説明する時間」から「確認して相談する時間」へ

では、会社説明を全部やめればいいのかというと、そうではありません。

ポイントは、商談中でなくても伝えられる情報と、商談でしか聞けない情報を分けることです。

たとえば毎回ほぼ同じ内容を説明しているなら、

・会社やサービスの基本情報
・よくある相談内容
・導入までのおおまかな流れ
・参考になる事例やよくある質問

こうした情報は、商談前に見られる形へ整理できるかもしれません。

すると商談当日は、「最初から説明する」のではなく、「どこが気になったかを確認する」から始められます。

「事前に見ていただいた中で、御社に近いと感じたところはありましたか?」

ここから入れるだけでも、会話はかなり変わります。相手から「実は、このケースがうちと近くて」と話が出れば、その背景を掘り下げられる。一方的な会社説明ではなく、最初から相手の会社について話せるようになります。

たとえば30分を、

・現状や課題の確認 10分
・方向性についての相談 15分
・次のアクション確認 5分

と使えれば、同じ30分でも中身は大きく変わります。

もちろん、この時間配分が正解というわけではありません。大切なのは、商談時間の中心を「こちらが説明する時間」ではなく、相手と一緒に考える時間へ移すことです。

事前コンテンツは「宿題」にしてはいけない

ここで一つ、現実的に考えておきたいことがあります。

商談前に資料やコンテンツを送れば、全員がきちんと見てくれる。これは少し期待しすぎです。

メールを開く時間がなかった人もいます。途中まで見た人もいます。単純に忘れていた人もいるでしょう。僕自身も「あとで見よう」と思って保存した資料が、そのまま静かに眠っていることがあります。人のことは言えません。

だから事前情報は、「見ていないと商談が成立しない宿題」にするのではなく、見ていれば商談がより早く、深くなる補助線として設計した方がいいと思います。

見てもらえなかった場合でも、要点だけ短く確認して本題に入れる。逆に見てもらえていれば、説明を飛ばして相手の話から始められる。そのくらいの設計が現実的です。

見込み客によって、最初に知りたいことは違う

もう一つ難しいのが、見込み客全員が同じことを知りたいわけではないことです。

ある人は「自社でも使えるのか」を知りたい。別の人は似た事例を見たい。費用感が気になっている人もいれば、社内でどう説明すればいいのか悩んでいる人もいます。

それなのに、全員へ同じ順番で同じ説明をすると、どうしてもズレが生まれます。

事例が知りたい人に会社沿革を長く説明したり、社内説明に困っている人に細かな機能の話を続けたりすると、説明自体は間違っていなくても、その人が「今知りたいこと」には届きません。

大切なのは情報を増やすことではなく、相手が自分に必要な情報へ早くたどり着ける状態をつくることです。

目次から必要な項目を選べる資料でもいいですし、Webページ上で課題別に情報を分けてもいい。相手が画面上で関心のあるテーマを選びながら進める見せ方が合うケースもあります。

何のツールを使うかより、一方通行ですべて説明する状態から、相手の関心に合わせて情報を出せる状態になっているか。僕はそこを先に考えた方がいいと思っています。

文字だけでは伝わりにくい情報もある

商談前に伝える内容を整理していくと、「これは文章だけだと少し分かりにくいな」というものも出てきます。

たとえば実際のサービス利用イメージや現場の雰囲気、担当者の表情や声などは、文章を何ページも読むより、短い動画で見た方が理解しやすい場合があります。

一方で、料金や条件、細かな仕様のように後から何度も確認したい情報は、文章で残っている方が便利です。

つまり、「何でも動画にすればいい」という話ではありません。伝えたい内容によって、向いている形は変わります。

ここを飛ばして先に「何か動画を作ろう」と考えてしまうと、見栄えのいいコンテンツはできたけれど、結局商談の課題は何も変わっていない、ということも起こります。

作るものを決める前に、商談を3つに分けてみる

初回商談を見直す時、僕ならまず情報を3つに分けます。

「商談前に伝えられること」

毎回ほぼ同じ説明をしている情報です。ここを整理できれば、商談中の説明時間を減らせます。

「商談でしか聞けないこと」

相手の事情、課題の背景、優先順位、これまで試したこと、社内事情などです。商談では、できるだけここに時間を使いたい。

「商談後に決めること」

次に何を確認するのか、誰を巻き込むのか、どんな情報が必要なのか。ここまでお互いに確認できると、「話して終わり」ではなく次の行動につながります。

この3つを整理すると、「商談前に何を伝えるべきか」も自然と見えてきます。

逆に、ここが整理できていない段階で制作物やツールだけを決めても、根本的な改善にはなりにくい。

最初に決めるべきなのは見せ方ではありません。「誰に、何が伝わっていないのか」「その情報は、商談前・商談中・商談後のどこで伝えるべきなのか」。まずここを整理することが、初回商談を変える出発点だと思います。

初回商談の30分を、もっと「相手のための時間」にする

初回商談が毎回会社説明で終わってしまうなら、営業担当者の話し方を改善する前に、一度商談全体を分解してみてもいいかもしれません。

商談前に渡せる情報まで、その場で毎回説明していないか。相手が知りたいことより、こちらが伝えたいことを優先していないか。そして、本当に30分使いたいのはどんな会話なのか。

ここが整理されるだけでも、商談の景色はかなり変わると思います。

もし「うちも毎回同じ説明をしているな」「どこまで事前に伝えて、何を商談に残せばいいのか分からない」と感じたら、僕(安井)と一度整理してみるのも一つです。

何かを作ることを前提にする必要はありません。話してみた結果、「まず営業資料を整理した方がいい」「今は新しいものを作らなくていい」という結論でも大丈夫です。

45分ほど、今の商談の流れと“どこで何が伝わっていないのか”を整理する壁打ち相手として使ってください。

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