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『続 社長外遊記』(1963年・松林宗恵)

 快調、社長シリーズ第19作。「夢のハワイ」を舞台に、森繁社長一行が浮気にビジネスに観光にハッスルする。これぞプログラムピクチャーの楽しさ満載。1963(昭和38)年5月29日、円谷英二特技監督、加山雄三さん・夏木陽介さん・佐藤允さんの『青島要塞爆撃命令』(古澤憲吾)と二本立て公開された。

 前作のラスト。ライバルの福助屋がハワイ進出を目論んでいることが明らかになり、負けてはなるまじ!と、丸急デパート社長・風間圭之助(森繁久彌)、常務・大島源太郎(加東大介)、第一営業部長・珍田文治郎(三木のり平)、そして秘書課長・中村宏(小林桂樹)たち。一刻も早く、ホノルルの一等地で建設予定地を決めたい。そのコーディネイトを引き受けたのが、日系三世・ジョージ沖津(フランキー堺)。「エニータイムO K」と安請け合いしているが、いささか心許ない。

 アロハシャツを着て、誰もが観光気分で締まらない上に、風間社長は「さくら亭」のマダム、紀代子(新珠三千代)と連日楽しく過ごしている。中村課長は、東京にいる店内アナウンス係の会田春江(藤山陽子)との関係が怪しくなって荒れ気味。ジョージは、自分の土産物屋の店員、キャサリン(ハヌナ節子)と中村が急接近しているのではないかと、嫉妬に悶々としている。誰も彼もが、仕事そっちの気で「おいおい」という感じである。

 一方、真面目ひと筋の大島常務は、せっかくハワイアンビレッジに滞在しているのに、日本から電気釜を持ち込んで、毎食自炊。洗濯もランドリー・サービスには出さずに、テラスで干している。その越中褌が風に待ってヒラヒラと飛んでいってしまう。すわ「日本の恥になる」と大慌てする常務。幸いに褌を拾ったのが、ハワイアンビレッジで老後を悠々自適で暮らしている松本老人(柳家金語楼)で、明治時代に移民してきた松本と大島常務は意気投合、碁敵となる。

 と言うわけで、そんな「ハワイで楽しく過ごす」社長一行のエピソードが展開される中、会社のために(不謹慎きわまりないけど)粉骨砕身頑張るのが、珍田部長。フラダンス大会に飛び入り出演して、珍妙なフラダンスで万場の爆笑を得る。さらに優勝が決まると、丸急デパートのハワイ出店を発表、それを記念して「ミス・丸急」オーディションを開催すると独断で発表。

 社長の逆鱗に触れるも、水着姿の参加者に鼻の下を伸ばして、社長自ら、参加者の3サイズを図ることに。この美人コンテストは『はりきり社長』(1956年)のミス・太陽自転車、『社長太平記』(1959年)の下着美人コンテストなどでおなじみのパターン。

 こうした脱線がおかしいのは、助平な森繁社長に、お株を取られてクサっているのり平さんの表情など、レギュラー陣、それぞれの芸達者を眺めているだけで楽しいからである。

 楽しいハワイの日々だったが、「さくら亭」のマダム、紀代子と「最後の夜」を過ごそうとしたときに、彼女が本気で風間社長との結婚を望んでいることを知って、旅の恥は・・・のつもりだった社長の腰が引けてしまい、それがビジネスに大打撃を与えることになる。

 肝心の土地は、松本老人の所有で、ジョージの交渉が出遅れて、すでに紀代子が仮契約をしてしまっている。なんとか紀代子を口説きたいが、社長に失恋した傷心の貴代子は東京へ。東京に戻ってからは、社長の五人の娘、めぐみ(中真千子)、ひろみ(桜井浩子)、はるみ(岡田可愛)、未子(相原ふさ子)、留子(上原ゆかり)たちが、パパの浮気疑惑のリサーチを始めたり、これまた騒々しくも微笑ましい。

 さらに、春江にフラれた(と思い込んでいる)中村課長、傷心の紀代子、そしてキャサリンに失恋したジョージの三人が、麻耶子(草笛光子)の店「ローズマリー」で酔っ払うシーンがおかしい。泥酔した三人が意気投合。

 とにかく『社長外遊記』は、終始、こうした「くすぐりの笑い」シーンの連続で物語が進行している。でいよいよ大団円。社長室のシーンで、急転直下、全てのトラブルが解決、すべてが丸くおさまる。そこで森繁社長、カメラ目線で観客に向かって「ちょっと話がうまく出来過ぎていると、思わんかね?」と捨て台詞。

 パラマウント映画のボブ・ホープのようでもあるが、森繁さんがブレイクしたきっかけが昭和20年代のラジオ「愉快な仲間」。ここで森繁さんはラジオから映画へ進出したボブ・ホープを意識していた。映画主演デビューが、ボブ・ホープの『腰抜け二挺拳銃』(1948年)の時代劇版『腰抜け二刀流』(1950年・新東宝)だった。そんなことを思い出させてくれる。

 大ヒットシリーズとなっていた「社長シリーズ」だったが、藤本真澄プロデューサーは、次作で打ち止めにしようと、最終作として『社長紳士録』(1964年1月3日)を企画する。

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佐藤利明(娯楽映画研究家・オトナの歌謡曲プロデューサー)の娯楽映画研究所 よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。