『次郎長三国志 第二部 次郎長初旅』(1953年1月9日・東宝・マキノ雅弘)
シリーズ第二作『次郎長三国志 第二部 次郎長初旅』(1953年1月9日・東宝・マキノ雅弘)。

前作の大喧嘩の後始末を終えた次郎長(小堀明男)は、お蝶(若山セツ子)と夫婦の盃を交わす。しかし、捕方たちの追及が迫り、次郎長一家は和田島の太左衛門(小川虎之助)や江尻の大熊(四代目澤村國太郎)らを先に逃がすため、自ら囮となる。
わずかな場面ながら、義理に厚く仲間を守る親分としての器が鮮やかに描かれる。桶屋の鬼吉(田崎潤)、関東綱五郎(森健二)、法印大五郎(田中春男)、清水の大政(河津清三郎)らを従え、旅へと出る次郎長一家。捕方に向かって進む「わっしょい、わっしょい」の掛け声が実にいい。これぞマキノ雅弘の次郎長映画である。
お馴染みの虎造節に加え、富士を望む茶畑で響く「ちゃっきり節」が作品にミュージカル映画のような高揚感をもたらす。娯楽映画の醍醐味がここにある。
旅の途中、次郎長は若い渡世人・増川仙右衛門(石井一雄)を助け、喧嘩の仲裁をしてやる。沼津では昔馴染みの佐太郎(堺三千夫)とお徳(隅田恵子)の営む料理屋に世話になるが、佐太郎は博打で無一文。お徳がなんとか酒肴を工面するなか、仙右衛門は次郎長一家の路銀を作ろうと、なんと一家の着物を質代わりに博打場へ持ち込んでしまう。
東宝ニューフェース出身の石井一雄の軽薄で調子のいい若者ぶりが実に魅力的だ。当時の観客にとっては、まさに「今どきの若者」に映ったのではないだろうか。
結局、仙右衛門も佐太郎も身ぐるみ剥がれ、次郎長一家は着物を失って「裸道中」をする羽目になる。このあたりのユーモアとテンポの良さも実に楽しい。
やがて赤鬼の金平一家との激しい川原の喧嘩となり、次郎長一家は大暴れ。その後、立ち寄った茶店で次郎長は一風変わった男と出会う。普段は吃音気味なのに、喧嘩の啖呵を切る時だけ見事な弁舌を見せるその男こそ、後に次郎長一家随一の人気者となる森の石松だった。
演じるのはもちろん森繁久彌。
お馴染みのエピソードが次々と気持ちよくはまり、物語は実にスピーディーに進んでいく。次郎長一家の仲間たちが揃っていく過程は、まるで「アベンジャーズ」を見ているかのような楽しさがある。
そして森繁久彌は終盤の登場にもかかわらず、作品のすべてをさらってしまうほどの存在感を放つ。後年の国民的スターへと飛躍する、そのホップ・ステップ・ジャンプの瞬間を目撃しているような気持ちになるのである。
次郎長一家が揃うたびに観客の期待値も上がる。このシリーズが当時の観客を夢中にさせた理由が、第二作ではよくわかる。

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