広告費をムダにしないためにやるべきことは?
「広告を出しているものの、成果につながらず、手応えを感じられない。」
「広告の種類が多すぎて、どれが自社に合っているのかわからない。」
広告運用を担当していると、こうした悩みに直面することも少なくありません。
特に近年は、広告の種類や配信するプラットフォームの選択肢が増えたことで、「とりあえず出してみる」だけでは効果を得ることが難しくなっています。
そこで今回は、広告費をムダにしないために押さえておきたい広告出稿・運用のポイントや知っておくべき広告のトレンドについて、Web広告の運用を担当しているAさんにお話を伺いました。
広告を見直したい方やこれから広告の活用を検討している方にとって、ヒントとなる記事をお届けします!
自己紹介
―入社に至るまでの経緯を教えてください
Aさん:元々はプログラマー志望だったのですが、学生時代にHTMLに出会い、コーディング作業にハマっていました。その延長線上でWebデザイナーとして他社に就職したことがキャリアのスタートでした。その後、転職する中でデザイン以外にもコーディングやWeb制作のディレクターを経験した上で、最終的にこの会社へ入社しました。
― 現在はどのような仕事を担当していますか?
Aさん:この会社へ入社した際にデジタルマーケティング部門へ配属され、MAツール活用とともに、デジタルマーケティング施策の一つとして、Web広告の運用も担当するようになりました。
Web広告については、検索連動型広告を中心にディスプレイ広告、YouTube広告など幅広い種類の広告を扱っています。特に検索連動型広告は初期コストが安く、ユーザーにも理解しやすいものなので需要が高いと感じています。
― 趣味を教えてください
Aさん:ボーダーコリーを飼っているので、ペットが趣味かつ好きなものです。
休日は犬と散歩したり、犬に顔をうずめて吸っていたりすると気づいたら、すごく時間が過ぎています(笑)ボーダーコリーは運動量が多いのですが、凛々しい見た目がかっこいいです。触れ合うことでストレスを解消し、癒されています!
広告の種類と概要
― 広告の種類もとても多くなりましたよね、どのような種類があるのでしょうか?
Aさん:大きく分けると、オフライン広告とWeb広告があります。
オフライン広告で代表的なものは、テレビCMです。音と映像を使って商品やサービスの魅力をわかりやすく伝えられる点が特徴で、芸能人が起用されるケースも多いですね。費用は高額になりがちですが、一度に多くの人へ届けられる影響力があります。
テレビの視聴率低下が話題になることもありますが、近年はインターネットに接続されたテレビ(CTV※1)の視聴者が増えています。
テレビCMと並んで、新聞・雑誌・ラジオといったマスメディア広告も多くの人にとって馴染みのある広告手法です。媒体自体の信頼性が高く、特定の読者層や聴取者に届きやすい点が特徴ですね。最近では、紙媒体とWebを組み合わせた形で広告を展開するケースが増えています。
また、広告を目にする機会は、必ずしも自宅の中だけではありません。通勤や外出時には、駅のポスターやタクシー車内のモニターなどで交通広告を目にしたり、買い物中にショッピングモールのデジタルサイネージを見かけたりすることも多いと思います。こうした広告は、日常生活の中で自然と目に入りやすいというメリットがある一方で、ターゲットを細かく絞りにくく、交通機関や施設の利用状況によって効果が左右されるという特徴もあります。
※1 CTV:Connected TVの略称でインターネット接続テレビのこと。
― オールドメディアという言葉が流行語大賞にノミネートされていたものの、依然として影響力はあるのですね!続いてWeb広告の種類を教えてください。
Aさん:一口にWeb広告といっても、さまざまな種類があります。中でも多くの人が目にしているのは、検索連動型広告とディスプレイ広告ですね。
検索連動型広告は、ユーザーが検索したキーワードに連動して、検索結果の上部などに表示される広告です。商品やサービスに関する情報を探している、購買意欲の高いユーザーに届きやすく、効果測定がしやすい点が特徴だと感じています。
一方、ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリ上に表示されるバナー広告です。不特定多数のユーザーの目に触れやすいため、商品やサービスの認知拡大を目的とした施策に向いています。
その他にも、YouTubeなどで配信される動画広告や、X、Instagram、TikTokといったSNSに表示されるSNS広告も身近な存在です。最近では、縦型のショート動画を活用した広告が増えていて、これらの領域は広告費も伸びています。ただし、広告がどの程度表示されるかは、SNSごとのアルゴリズムの影響を受けやすい点も特徴です。
近年、特に注目されているのがリテールメディア広告です。ECサイトなどの自社メディア上で配信される広告で、ユーザーの購買データを活用して精度の高いターゲティングを行います。
これ以外にも、記事などに自然に溶け込むネイティブ広告や、成果報酬型のアフィリエイト広告、ポッドキャストなどで挿入される音声広告など、Web広告には多くの選択肢があります。
広告出稿・運用のポイント
― Aさんが主に扱っているのはどの広告でしょうか?
Aさん: 弊社で最も多く取り扱っている広告は検索連動型広告です。ディスプレイ広告や動画広告の場合、バナーや動画の制作が必要になるため、どうしても初期費用が高くなりがちです。その点、検索連動型広告は比較的初期コストを抑えて始めることができ、イラスト制作や動画制作の専門知識がなくても運用しやすいという特徴があります。
そのため、広告配信が初めてのお客様からは、「検索連動型広告から始めたい」という声をいただくことが多いですね。広告に対するハードルが低く、試しやすい点が支持されていると感じています。
一方で、商品やサービスの魅力を視覚的に伝えたいという場合には、ディスプレイ広告をご提案することもあります。画像を活用することで、検索連動型広告とは異なるアプローチが可能になります。
お客様がSNSを運用している場合は、SNS広告を配信することもありますね。
また、弊社には映像制作を専門に担当する部門があり、動画広告を制作するケースもあります。中には、マンガやアニメ作品をPRする動画広告を手がけることもあり、コンテンツの特性に合わせた表現ができる点が強みですね。
― 広告出稿・運用のポイントを教えてください
Aさん: 弊社で広告を出稿・運用する際には、五つのポイントを意識しています。
まずは、広告の目的と目標数値を明確に決めることです。
広告を配信する前に、「何を達成したいのか」という目的を一つに絞り、その効果を測定するための目標数値もあらかじめ設定するようにしています。目的が曖昧だったり、複数あったりすると、広告の成果が出ているのか判断できず、どのように改善すべきかが見えにくくなってしまいます。
例えば、自社やサービスの認知拡大が目的であれば、「1カ月でインプレッション数◯◯回を目指す」といった具体的な数値目標を設定します。Webサイトへの集客が目的の場合はクリック数の増加を、商品購入や申し込みを促したい場合には、広告経由での注文数やコンバージョン数を指標にします。
このように、目的と数値をセットで考えることが、広告費をムダにしない運用の第一歩です。
― 二つ目のポイントはなんでしょうか?
Aさん: 二つ目のポイントは、「誰に広告を見せるのか」というターゲット設定です。
年齢や性別、居住地域、趣味・嗜好といった軸でターゲットを設定することで、配信する広告の種類や配信プラットフォームを選定しやすくなります。その結果、不要なユーザーへの広告表示を抑えることができ、ムダな広告配信を減らすことにもつながります。
例えば、商品やサービスに興味・関心がありそうなユーザーに向けて広告を配信した方が、誰にでも向けて配信するよりも広告を見てもらいやすく、結果として購入や申し込みにつながる可能性も高まります。
ただし、すべての広告でターゲットを細かく絞ればよいというわけではないのですよね。自社やサービスの認知拡大を目的とし、インプレッション数の増加を重視したい場合には、あえてターゲットを絞らずに広く配信するケースもあります。
また、「ターゲットは絞った方がいい」という考えから、過度に絞り込みすぎてしまうと、広告が配信されるユーザーの母数が極端に少なくなってしまう点にも注意が必要です。
弊社では、過去の広告出稿・運用実績や分析ツールのデータをもとに、どこまでターゲットを絞るのが最適かというバランスを意識しながらWeb広告を運用しています。
― これで広告を配信する準備は万端な気がするのですが…
Aさん:いえいえ、ここからが広告運用の本番ですね。三つ目のポイントは、効果測定を行い、広告を改善し続けることです。広告は出して終わりではありません。あくまでもマーケティング施策の一つであり、「手段」なのですが、いつの間にか広告を出すこと自体が「目的」になってしまうということが少なくないと感じています。
広告配信後には、必ず効果測定を行い、どのような結果になったのかを分析する必要があります。クリック率が悪かったなどのように結果が悪かった場合、「失敗してしまった」と落ち込んでしまう方も多いのですが、個人的にはそこまでがっかりする必要はないと思っています。
結果が悪かったのであれば、その理由を考え、広告文や画像を変えたり、配信するプラットフォームを見直したりすることで、次の改善につなげることができます。反対に、上手くいった点については、次回の配信でも積極的に活かしていく。こうしたPDCAサイクルを回し続けることで、広告の質が徐々に高まり、効果をより伸ばしていくことができると考えています。
―PDCAサイクルを回し続けることは広告以外の施策でも大切なことですよね。
Aさん:四つ目のポイントは、広告を見るユーザーの「意図」を考えることです。
広告を見た人が、今どのような状態で、何をしたいと考えているのかを意識することはとても重要だと思っています。同じ商品やサービスの広告であっても、ユーザーの意図によって響く内容は大きく変わります。例えば、「○○ 比較」といったワードで検索している人は、複数の企業や商品を比較・検討している段階にあると考えられます。この場合は、他社との違いや自社商品の強み、選ばれる理由などをしっかり伝えることが大切です。
一方で、「○○ 購入」と検索している人は、購入を前向きに検討している状態であるため、価格や在庫情報、申し込み方法といった具体的な情報を提示する方が効果的です。
また、広告に記載している内容が、リンク先のLPにも正しく反映されているか、広告とLPの間で情報に矛盾がないかを確認することも欠かせません。
―それでは、最後のポイントを教えてください。
Aさん:最後のポイントは、広告運用の自動化やツールを積極的に活用することです。現在では、入札調整や配信設定の自動化は多くの広告プラットフォームで一般的になっています。
それに加えて、GA4などの分析ツールや、Account EngagementといったMAツールを活用し、広告データを可視化して改善に役立てることも重要だと考えています。数値を感覚ではなくデータとして捉えることで、次の施策につなげやすくなります。
最近はAIへの注目も高まっていますが、過去の配信結果をもとにAIに分析を任せることで、広告文のよい点・改善すべき点についてのフィードバックを得たり、クリック率が高くなりやすい時間帯や傾向を把握したりすることもできます。
配信の調整やデータ分析といった、機械に任せられる部分はできるだけ自動化し、人のリソースは「広告の目的をどう設計するか」「どんな訴求がユーザーに響くのか」といった、より本質的な部分に使っていくことが大切だと思います。
以上が、広告を出稿・運用する際に意識している五つのポイントです。ただし、広告の分析や改善だけで成果を最大化するには限界があります。広告とあわせてLPを改善したり、必要な分析ツールを整えたりと、全体を見据えた施策を行うことも欠かせません。
広告業界のトレンド
― 広告業界のトレンドを教えてください
Aさん:まずは、先ほども少し触れましたが、CTV広告の急成長です。従来の地上波やBSの視聴は減少傾向にありますが、ネット接続テレビでの動画視聴は増え続けています。家庭のテレビ画面でCTV広告を見る仕組みが一般化し、前年比10%以上の成長が見込まれています。CTV広告は、ブランド認知から購入までの流れをつくりやすいという特徴があり、今後さらに注目される領域だと思います。
次に、リテールメディア広告の拡大です。購買意欲の高いユーザーに精度高く広告を届けられるため、売上へのつながりを直接確認しやすい点が強みです。スーパーやECサイトの広告枠は増加しており、世界的に大きな成長を遂げています。こうした動きにより、広告と販売の境界線が薄くなってきていると感じます。
さらに、広告運用の自動化も進んでいます。入札やターゲット設定、広告文の切り替えなどを自動で最適化する仕組みが広がり、人は戦略や広告の質に集中できるようになっています。これにより、運用スピードと精度が向上しているのは大きな変化です。
動画広告では、15〜60秒のショート動画(YouTube Shorts、TikTok、Instagram Reels)が、商品を知るきっかけとして広がっています。特に若い層では主要な形式になりつつあり、企業はショート動画の制作体制を整える必要があります。最近では、ショート動画を生成AIで簡単に制作できるようになってきていますが、AIで制作した動画には独特の「AIらしさ」が残ることや、広告で伝えたい本質を打ち出すのが難しい場合もあります。AIを使えば全部が上手くいくのではなく、あくまで手段の一つとして上手に活用することが重要だと思います。
― 以上でインタビューは終了となります。最後に一言、お願いします!
Aさん:リテールメディア広告のような新たな形態の広告が急成長したり、データの活用方法に変化があったりと広告業界は移り変わりが激しいからこそ、常々広告への学びを深め、新たな方法を試すことを続けていかなければと思っています!
今回のインタビューでは、広告費をムダにしないための考え方や、出稿・運用のポイント、そして広告業界のトレンド情報について伺いました。
広告は「出すこと」が目的ではなく、目的達成のための手段です。明確な目的設定やターゲット設計、効果測定と改善を繰り返すことで、広告の効果が高まります。
今回の記事が、皆様の広告出稿・運用の課題を解決できる、きっかけとなれば幸いです。
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