3年毎に自宅を買い替える戦略【実話】
不動産仲介の本質は、いつの時代も「情報」です。そしてその貴重な情報は、業界内でも特定の人にだけ、真っ先に集まる仕組みになっています。
今から30年ほど前、私がまだ若手だった頃に出会った「敏腕」と名高いA先輩。彼のもとには、同業者から「Aさん、実はこんな物件が出まして……」と、表に出る前の優良な売買情報がいつも一番に舞い込んでいました。
なぜ彼ばかりに情報が集まるのか。A先輩は、ただ知識が豊富なだけでなく、とにかく人間的な魅力に溢れ、敵が少なく味方が圧倒的に多い人でした。だからこそ、周りが「あの人に一番に教えたい」と思ったのです。
そんなA先輩と、ある日交わした雑談の記憶が、今でも鮮烈に残っています。
「あ、俺さ、最近引っ越したんだよね」 「えっ? またですか!?」 「いやぁ、もう3年住んだから飽きちゃってさ」
信じられない軽さで言う先輩に、私は思わず突っ込みました。 「先輩、そういえばその前の家も、確か3年くらいで買い替えてましたよね?」 「お、よく覚えているね! そう、値上がりするたびに買い替えてるんだよ」
当時の私は一瞬、頭の中で計算しました。 (いくら値上がりしたって、そんな短期間で売ったら、短期譲渡所得の税率が適用されて所得税と住民税で約39%もかかるはずじゃ……)
そこまで考えて、ある強力な特例の存在に気がつき、ハッとしました。 「……あっ!『3年』って……もしかして、居住用不動産売却の3,000万円特別控除ですか!?」
A先輩はニヤリと笑いました。 「お〜、よく気づいたな! 俺はキャッシュで家を買っているから、住宅ローン控除の有無は関係ない。だから、マイホームを売ったときの3,000万円控除が3年ごとに使えるルールをフル活用して、どんどんいい家にステップアップしてるんだよね」
「でも先輩、そんなに都合よく値上がりする物件が、毎回見つかるものですか?」 「それはさ、いわゆる『職権』ってやつだよ。同業者から一歩早い情報がくるし、競売物件だってプロの処理の仕方を知っている俺たちなら、いくらでも料理できるでしょ?」
言葉を失いました。当時、先輩が約4,500万円で手に入れた自宅は、本当に7,000万円ほどで売却されていたのです。
今の時代、ここまでの買い替えは難しいかもしれません。しかしこの時、私は「不動産業界は情報が命である」ということ、そして「正しい知識と情報が結びついたときの爆発力」を、身をもって思い知らされました。
そして何より、情報というものは、優れた営業スキルと深い知識を持ち、さらに「人から応援される人間性」を備えた人のところにこそ、自然と集まっていくものなのだと、若き日の私は大切な本質を学んだのでした。
やはり、プロの世界の情報格差、そして「人間力の差」は凄まじいものです。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
不動産や住まいに関するお悩み、また「納得感のある決断」のためのセカンドオピニオンなど、個別のご相談も承っております。 35年の実務経験をもとに、解決策を一緒に考えます。
▼ お仕事の依頼・ご相談についてはこちら
[お仕事依頼】不動産と人生の「納得感ある決断」を支える、実務35年の伴走コンサルティング|toshiki_sunlime]
