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有名シェフによる学校での食育レッスン~ミクニレッスン(東京都世田谷区)

※本記事は、2024年3月に一財)都市農地活用支援センターが発行した事例集「ポスト2022年の都市農地」の記事を、抜粋して紹介するものです。


すでに有名だった三國シェフ

 1998年、NHK総合テレビの「課外授業ようこそ先輩」にフランス帰りの三國清美シェフ(以下、三国シェフ)が出ていた。ふるさと北海道の増毛小学校の後輩たちに郷土の食材で調理指導をしていたのが印象に残った。

 2004年に、スローフードや地産地消といったテーマの雑誌・ソトコトの企画で、「三國シェフの食育講座」として、地産地消を前提に旬の野菜の勉強をしようと編集部は、季節毎に野菜栽培をしている生産者を紹介してもらいたいと、JA東京中央会に電話があった。

 東京の農業が紹介されるならと、3月号で3~4月が旬の亀戸大根、4月号は5~6月が旬のアスパラガス、7月号は5~6月が旬の初夏産キャベツ、9月号は7~8月が旬のトマト、10月号は東京産の野菜と卵を使って料理しよう、11月号は8~10月が旬の栗、1月号は11 ~1月が旬のブロッコリー、2月号は11 ~1月が旬の里芋、3月号は12 ~2月が旬の白菜を紹介した。「旬の味はホンモノ 東京編」は三國シェフが生産者を訪ね、旬の野菜を収穫し、それを持って厨房に戻り料理するという見開きページで、三國シェフの鬚の顔が載っていた。

ソトコトの連載「三國シェフの食育講座」

東京の農家の栽培姿勢に魅かれた三國シェフ

 生産者と話す中で、そのまじめな栽培姿勢と、生産された野菜の味に引かれた結果、自給率アップにひと肌脱いでいただいた。三國シェフに始めてお会いしたのは、2009年5月に新宿御苑で開催された三國シェフのイベントだった。江戸東京野菜についてお話をさせていただいた後、三國シェフが江戸東京野菜の東京ウドを調理して会場の皆さんに食べていただいた。三國シェフは、東京の生産者の真摯な作物づくりが強く印象に残っていたようで、9月に大手町に開店するミクニマルノウチ店を、「地産地消」の東京の食材にこだわった店にするので、東京の農家を紹介してほしいと依頼された。開店以来14年、新鮮な東京の農産物が使われている。

アドバイザーとして参加したミクニレッスン

 2011年4月から世田谷にある東京都市大学付属小学校の4年生に対して「ミクニレッスン」が始まった。毎月一回の食育のレッスンは、江戸東京野菜の座学に、種まきと収穫して調理する栽培実習3回を加えていただいた。都市農地活用支援センターによる、「農」の機能発揮支援アドバイザー派遣事業は、2013年から開始されたので、三國シェフサイドと同校から感謝されていた。野菜の授業と調理実習は、公開授業となっていたことから、東京産野菜や江戸東京野菜を生徒だけでなく、保護者にも知っていただく良い機会でもあった。4年生に対するミクニレッスンは13年の歴史を重ねたが同校の都合により2022年度で終了した。

 高等学校の食育授業としては2021年度から実施している東京女子学院高等学校のフードカルチャーコースの2年生に対して江戸東京野菜の復活普及授業で、座学と調理指導を行っていて、アドバイザーの渡邉和嘉さんが栽培指導している。三國シェフに調理実習をお願いすると、これまでのアドバイザーとしてのご縁で、協力をいただけた。

 2023年12月に三國シェフがプロデュースするレストランが日本一の超高層ビル・麻布台ヒルズ森JPタワーにオープンする。三國シェフの意向で、江戸東京野菜を始め東京の食材を使うことから、シェフやサービスマンに対する勉強会をアドバイザーとして、要請されている。

 アドバイザーとして派遣された公立の小中学校の授業では、必ずノートを用意させていて、自己紹介の中で、生徒たちに江戸東京野菜を多くの人に知ってもらうために、はじめて聞いたこと、驚いたことなどは、必ずメモをして、お家の方に、「知ってる?」と聞いてくださいと伝えている。

ミクニレッスンで指導するシェフの三國清三氏

SDGsと江戸東京野菜

 2015年に国連総会で持続可能な開発目標(SDGs)の推進が決議された。2020年頃から、正規の授業の中で取り入れられるようになったため、江戸東京野菜に関わるSDGsについて説明している。

● 食の問題として、江戸東京野菜の栽培は
「1. 貧困をなくそう」「2. 飢餓をゼロに」「3. すべての人に健康と福祉を」
● 伝統野菜に対する「4. 質の高い教育をみんなに」
● 町おこしに活用して「11. 住み続けられるまちづくりを」
● 一代雑種を「12. つくる責任 つかう責任」
● 二酸化酸素の抑制から「13. 気候変動に具体的な対策を」
● わさびなどの山の産物が「14. 海の豊かさを守ろう」
● 江戸東京野菜の栽培は「15. 陸の豊かさも守ろう」
● 生産者と消費者の「17. パートナーシップで目標を達成しよう」
が関連してくる。

 特に、「13. 気候変動に具体的な対策を」では、今日の種苗業界おけるF1の交配種の採種に当たっては、諸外国で行われていて、タネ袋の裏に明記されている。アジアでは韓国、中国、台湾、タイ、インド。ヨーロツパではスペイン、イタリア、デンマーク、トルコ。それ以外にアメリカ、チリ、南アフリカなど、一代雑種の交配種からはタネが採れても、そのタネからは同じものが出来ないので、常に交配種のタネを買うことになる。しかし、伝統野菜は、自分でタネが採れるから二酸化炭素の排出抑制につながる。

 東京都教育委員会が今年の6月に、東京都内の小中学校に対して発信した「地域人材・資源活用推進事業」では地域の人材を活用するようにと、アドバイザーとして出前授業を行っている写真を掲載した。

地域人材・資源活用推進事業」の通信
地域人材・資源活用推進事業」の資料

 なお、アドバイザーとしての取組みは、ブログ「江戸東京野菜通信」(http://edoyasai.sblo.jp/)で日々情報発信をしている。

(文・構成:大竹 道茂 /江戸東京・伝統野菜研究会代表)



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