中抜き&巾広襖のDIY、貼ることばかり考えていませんか?後で取り返しがつかなくなる「貼り方」と回避策
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はい、皆様こんにちは。岩手県盛岡市で60年以上続く前田たたみ店の二代目店主です。
30年にわたり襖や障子、畳の施工に携わってきた職人の視点から、本日は少し専門的でありながら、DIYに挑戦される皆様にとって非常に有益な情報をお届けしたいと考えています。
今回取り上げるテーマは「中抜き襖(なかなきふすま)」、そして通常のサイズよりも横幅が広い「巾広襖(はばひろふすま)」についてです。
※今回は本襖ではなく戸襖についてです。
中抜き襖とは、襖の中央部分などにガラス窓や障子が組み込まれているタイプの建具のことです。そして巾広襖とは、通常の横幅(約90cm)を超え、110cmやそれ以上の幅がある大きな襖のことを指します。
これらが組み合わさった「幅広の中抜き襖」の張り替えとなると、プロの職人でさえ少し身構える難易度の高い作業となります。
多くの方が、ホームセンターで襖紙を買ってきて、あるいはネット通販で材料を揃えて、「さあ貼ろう」と意気込まれるのですが・・
実はこの「貼る作業」に取り掛かる前の段階で、仕上がりの美しさ、そして作業後の清掃の労力が決まってしまうといっても過言ではありません。

特に中抜き襖に関しては、ある決定的な準備を怠ると、後で取り返しのつかない事態を招くことになります。
本記事では、前半部分でなぜ私が「壁紙(クロス)」での代用を推奨するのか、そして基本的な下準備の方法を詳しく解説します。
そして後半の有料エリアでは、職人が現場で必ず行っているテクニックについて、余すことなくお伝えします。
これを読むことで、皆様のDIYが「ただ貼るだけ」の作業から、「プロ並みの仕上がりを実現する」工程へと進化することをお約束します。

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https://youtu.be/HJsPbSAKJwY
■中抜き襖と巾広襖の貼り方で最初にぶつかる「サイズとコスト」の壁
・規格外のサイズがもたらす材料選びの苦悩
まず、巾広襖をDIYで張り替えようとした際に、皆様が最初に直面するのは「材料がない」という問題です。
一般的なホームセンターで販売されている襖紙の有効幅は、そのほとんどが約95cmまでとなっています。これは一般的な住宅のサイズ(間中・けんなか)に合わせているためです。
しかし、古い日本家屋や立派な和室では、横幅が110cmや120cm、あるいは一間半(約135cm)といった大きな襖が使われていることが珍しくありません。あっても柄がかなり限られます。
襖の幅をメジャーで測ってみて「110cmある」と判明した瞬間、標準的な襖紙は使えないことになります。
そこで選択肢として挙がるのが「幅広(二間半用や三間用など)」と呼ばれる特殊なサイズの襖紙を購入することです。しかし、ここには大きな落とし穴があります。
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・コストパフォーマンスとデザインの制約

幅広の襖紙は、標準サイズに比べて流通量が圧倒的に少ないため、価格が跳ね上がります。単に幅が少し広くなるだけにもかかわらず、価格が倍以上になることも珍しくありません。
さらに悩ましいのが「選べる柄が極端に少ない」という点です。標準サイズであれば、伝統的な山水画からモダンな花柄、無地まで数百種類から選べるカタログがあったとしても、幅広対応となるとその選択肢は数種類にまで激減してしまいます。
「部屋の雰囲気を変えたいのに、気に入った柄がない」「たった2枚の襖のために、高額な材料費を払うのは気が引ける」。
このようなジレンマに陥り、作業の手が止まってしまう方が非常に多いのです。そこで、私たち職人が現場での経験から導き出した「最適解」が存在します。それが次項で解説する「壁紙(クロス)」の活用です。
※今回は本襖ではなく戸襖についてです。
■職人が推奨する中抜き襖と巾広襖の貼り方:なぜこれに「壁紙」が最適解なのか

・壁紙(クロス)を流用する絶大なメリット
私が戸襖の幅広の中抜き襖において、無理をして専用の襖紙を使うのではなく、住宅用の壁紙(クロス)を使用することを強くお勧めするには、明確な理由があります。
まず第一に「デザインの豊富さ」です。壁紙は国内外のメーカーから数千、数万という種類が販売されています。
和室に合う和紙調のものから、織物調、あるいはモダンな幾何学模様まで、皆様の好みにドンピシャでハマるデザインが必ず見つかります。
これにより、既存の枠にとらわれない自由なインテリアコーディネートが可能になります。
第二に「コストパフォーマンス」です。壁紙は一般的にメートル単位で切り売りされています。幅広の高級襖紙を購入するよりも、はるかに安価に材料を揃えることができます。
特に失敗する可能性のあるDIYにおいては、安価で予備を含めて多めに購入できる点は大きな精神的安定につながります。
・施工性における壁紙の優位性
そして第三の理由が「施工のしやすさ」です。襖紙、特に再湿切手(水で糊を戻すタイプ)やアイロン貼りのタイプは、一度貼り付けると修正が利きにくいものが多いです。
しかし、生のり付きの壁紙や、自分で糊を塗布するタイプの壁紙は、紙自体が丈夫で厚みがあり、貼り付けた直後であれば多少の位置調整が可能です。
中抜き襖という複雑な形状だからこそ、扱いやすい素材を選ぶことが成功への近道なのです。
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■中抜き襖と巾広襖の貼り方実践編:引き手(取っ手)の外し方と釘の処理
・道具の選定と引き手を傷つけないコツ
さて、材料が決まったところで、実際の作業手順に入っていきましょう。
まず最初に行うべきは「引き手(取っ手)」の取り外しです。
これを付けたまま紙を貼ることは可能ですが注意しないと下記の画像のように切り抜く際にカッターで引手に傷をつける事があるので、基本的には外す必要があります。

ただしどうしても外さないで施工する時にはこの部分にマスキングテープを厚めに貼って引手表面の保護をしておくことをおすすめします。
用意していただきたいのは、100円ショップなどで手に入る「スクレイパー」や「インテリアバール」と呼ばれる薄いヘラ状の工具、そして小さな釘抜き(ニッパーやペンチでも代用可)です。引き手は通常、上下にある小さな釘で固定されています。
まず、引き手と襖の縁の隙間にスクレイパーを慎重に差し込みます。この時、力任せに抉ると引き手の縁が曲がったり、襖の枠(縁)を傷つけてしまうので注意が必要です。
少しずつ、上下左右から優しく煽るようにして浮かせます。

ある程度浮いてきたら、釘の頭が見えてきますので、そこをニッパーなどで掴んで引き抜きます。
・外した釘と引き手の管理について
ここで重要なのが、外した釘と引き手の管理です。古い襖に使われている引き手は、現在では生産されていない貴重なデザインのものであることが多々あります。
また、釘も特殊な色味や太さのものが使われていることがあります。外した瞬間に「ゴミ」として扱わず、必ず小さな袋や箱に入れて保管してください。
特に中抜き襖の場合、ガラス窓の周りに装飾的な「木枠」がついていることがあります。これらがどのように固定されているかも、この段階でよく観察しておくことが大切です。
後で元に戻す際に「あれ?どっちが上だっけ?」とならないよう、マスキングテープなどで「上・右」などの印をつけておくことをお勧めします。
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■古い紙はどうする?中抜き襖と巾広襖の貼り方における「剥がし」の鉄則
・特に本襖の「全剥がし」はNG!下紙を残す重要性
DIYにおける最大の勘違いの一つが「古い紙は全部剥がして、骨組みだけにするのが良い」という思い込みです。
これは大きな間違いです。戸襖は下地がベニヤで下地まで剥がすと作業がとても大変になるのと、本襖に限って言うと、本襖の構造は、木の格子(骨)の上に、何層もの下貼りが施されて平滑な面が作られています。
もし、表面の紙を勢いよくバリバリと剥がし、下地まで全て取ってしまったらどうなるでしょうか。
骨組みが露出し、その上に直接新しい紙を貼ることになりますが、これでは骨の形が浮き出てしまい、ボコボコとした非常に見栄えの悪い仕上がりになってしまいます。
・残すべき「受け紙(うけがみ)」の見極め

職人が行う「めくり(剥がし)」作業は、表面の汚れた上紙だけを薄く剥がし、その下にある「受け紙(袋張りされている下紙)」は残すという、非常に繊細な作業です。
特に、過去に一度も張り替えられていない襖や、丁寧な仕事がされている襖の場合、表面の紙だけが綺麗に剥がれるようになっています。
もし、前回の張り替えで壁紙(クロス)が貼られている場合は、クロスの表面のビニール層だけを剥がし、裏紙(薄い紙の層)を襖側に残すようにしてください。
この裏紙が、新しい糊の水分を適度に吸い込み、乾燥時の収縮を助ける重要な役割を果たします。無理に削り取ろうとせず、「平滑な面が残っていればOK」という気持ちで作業を進めることが大切です。
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■中抜き襖と巾広襖の貼り方で避けて通れない「継ぎ目」の処理について
・幅が足りない現実への対処法 先ほど、壁紙を使用するメリットをお伝えしましたが、壁紙の有効幅も大抵は90cm〜92cm程度です。
つまり、110cmの巾広襖に貼る場合、どうしても「幅が足りない」という事態が発生します。ここで必要になるのが「継ぎ目(ジョイント)」を作る技術です。
襖紙であれば、2間半用を買えば一枚で貼れますが、壁紙を使う以上、どこかで紙を継ぎ足さなければなりません。この継ぎ目をどこに持ってくるかが、美観を左右します。
・中抜き襖ならではの「逃げ道」
通常の襖であれば、端の方に細いラインを入れるか、あるいは大胆に中央で継ぐか悩みどころですが、中抜き襖には有利な点があります。
それは「中央に窓がある」ということです。窓の部分は紙を切り抜くため、実質的に貼る面積は「上の壁面」「下の壁面」「左右の細い縁」に分かれます。
これにより、大きな一枚紙を貼る必要がなく、窓の上下左右で分割して貼るという方法も採用できます。
しかし、柄を連続させたい場合は、やはり一枚の大きな紙として扱い、窓の部分を切り抜く手法が一般的です。その際、足りない20cm分を左右どちらかに寄せて継ぐのがセオリーです。
ジョイントは基本的に『突きつけ』でおこないます。壁紙の両端を一直線にキレイにまっすぐにカットしてそのまま両端をあわせてジョイントローラーで継ぎ目を目立たなくさせるジョイント方法です。
それが難しい場合は重ね切りになりますが、下地や茶チリをはった場合には下敷きなど下にいれてカットしないといけないので難易度があがります。
壁紙の継ぎ目処理(重ね切り)ジョイントの場合には、カッターの刃を新しくし、定規をしっかり当てて、下の紙まで貫通させるようにスパッと切るのがコツです。
壁紙張り替えの道具なども最近ではネットで買えるよい時代となりました、下記にリンクを貼っておくのでよろしければチェックしてみてください。
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■失敗しない中抜き襖と巾広襖の貼り方:最大の難関は「糊汚れ」にあり
・なぜ中抜き襖のDIYは失敗例が多いのか
ここまで、材料選び、引き手外し、剥がし、そして継ぎ目の計画についてお話ししてきました。
これらは全て「貼るための準備」です。しかし、中抜き襖の張り替えにおいて、DIYチャレンジャーたちが最も後悔し、時には涙を飲むことになる最大の失敗原因は、実は「紙の貼り方」そのものではありません。
それは、「糊による汚れ」です。
通常の襖と違い、中抜き襖には「ガラス」や「組子(障子の格子のような細かい木部)」が存在します。
皆様は、糊がついた手でうっかりガラスを触ってしまったり、刷毛から垂れた糊が組子の隙間に入り込んでしまった時の絶望をご存知でしょうか?
・職人が恐れる「糊の固着」
襖用の糊や壁紙用の糊は、乾くと透明になるものもありますが、基本的には成分が残り、特に曇りガラスに付くと、完全には除去できなくなります。
また、繊細な木の組子に糊が付着すると、木が変色したり、拭き取る際の水分で木が毛羽立ったりして、風合いが台無しになります。
「気をつけて貼れば大丈夫だろう」 そう思うかもしれません。しかし、幅広の大きな紙を持ち上げ、位置を合わせ、撫で刷毛で空気を抜く...
そのダイナミックな動きの中で、糊のついた紙の端がペロンとガラスに触れてしまう事故は、プロの現場でも起こり得るのです。
だからこそ、私たち職人は「気をつける」という精神論ではなく、物理的に汚れない状態を作る「システム」を構築してから作業に入ります。
この「汚さないためのシステム」こそが、今回有料エリアでお伝えする核心部分です。これをやるかやらないかで、作業終了後の清掃時間がゼロになるか、あるいは数時間の苦行になるかが決まります。
ここから先は有料エリアとなります。
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