どんな曖昧な言葉も観察に変える練習帳
「バランス能力低下」
カルテの記録に、
そんな曖昧な表現で
終えてしまうことありませんか?
いつ、どこで、どのようにバランスを崩すのか。
本来であれば、もっと具体的に書けるはず。
では、なぜ、曖昧な表現のまま終えてしまうのか。
それは、業務中に書く時間を確保できない。
次の患者さんが待っていて、合間に記録できない。
そして、カルテがたまっていく。
落ち着いたころには集中力も下がり、
その日の患者さんの評価や治療と
じっくり向き合えず、
ぼんやりした一語のまま、記録に残る――。
この記事は、その数十秒のための道具です。
曖昧な言葉(表現)に出会ったら、
四つの問いを当てるだけ。
どんな言葉でも、同じ四つで、
観察する意識が変わります。
「バランス能力低下」という一語を例に、
最初から最後まで通してお見せします。
書き込み式のワークシートつきです。
忙しくて考える時間がないときの
ツールとしてお使いいただたら幸いです。
第1章 「考える根性」ではなく同じ結果が出る「考え方の型」が大切
曖昧な言葉が生まれるのは、
あなたが雑だからではない。
時間をかけられないほどの負荷が、
思考を深める手前で止めさせている。
多忙な現場ほど、言葉は曖昧になる。
それは構造の問題で、
「もっと考えろ」という精神論では
どうにもならない。
必要なのは、「もっと考える根性」ではなく、
短い時間でも同じ結果が出る「考え方の型」。
この記事は、その型そのものになっている。
ここまで、七つの便利な言葉をほどいてきた。
感覚が鈍い。
疼痛あり。
持久性低下。
協調性が悪い。
見守りレベル。
ADL低下。
やる気がない患者さん。
毎回、曖昧な言葉を掘り下げていきながら、
具体的な観察に変えてきた。
七回もやると、見えてくることがある。
掘り下げ方は、毎回ちがうように見えて、
実は、同じことをしていた。
どの言葉に対しても、
問いていたのは、だいたい四つの視点である。
いつ。どこで。どのように。どっち向き。
「バランス能力低下」なら、
いつ崩れるか?
どの場面で?
どんなふうに?
どっちに崩れるのか?
「疼痛」なら、
いつ痛むか?
どこが?
どんなふうに?
動作のどこで?
言葉が変わっても、
当てる問いは、変わらなかった。
掘り下げるとは、この四つを、
その言葉に当てていくことである。
ということは、
この四つの問いを、一枚の型にしてしまえば、
毎回ゼロから「さて、どう考えよう」と
悩まなくて済む。
曖昧な言葉に出会ったら、
決まった四つを順に当てるだけ。
考える手数がぐっと減る。
手数が減るということは、
短い時間でできるということだ。
これが、多忙な現場で効く理由だ。
時間をかけられないなら、
かける手間のほうを、減らせばいい。
この型は、じっくり考えるための道具ではない。
むしろ逆で、考える時間がないときほど効く。
カルテを書く手が
「バランス能力低下」で止まりかけた、
その数十秒で、一段具体的にするための道具だ。
この記事では、その四つの問いを、
一枚の型として渡す。
そして、「バランス能力低下」という、
あなたも何度も書いたことのある一語を例に、
型を最初から最後まで通してみせる。
そのあと、協調性でも、やる気でも、
同じ型が回ることを見せる。
最後に、あなた自身が明日から使える、
書き込み式のワークシートを渡す。
読み終わるころには、
どんな曖昧な言葉が出てきても、
「とりあえず、四つ当ててみるか」と
手が動くようになっているはずだ。
逆に言えば、この型がないままだと、
また同じことが起きる。
忙しい日に、手が「バランス能力低下」で止まり、
そのまま流れていく。
掘り下げられたはずの言葉が、
何もされないまま、記録に残る。
その繰り返しを、ここで断ち切りたい。
第2章 四つの問い
型は、これだけ。
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