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完璧な先生をやめると学生は話し始める

この記事の続きとして、
学生が話し始める「問いかけのセリフ」を、
指導で必ず来る5つの場面ごとに
まとめました(記事の後半・有料エリア)。
無料部分だけでも、記事は完結しています。


学生にとって、
コミュニケーションが取りやすい教員とそうでない教員。

そのちがいは、
『正解』という鎧を着たまま教壇に立つか、
言葉のあいだに『余白』をつくってそっと隣に座るか、
ただそれだけなのではと感じることがあります。


「なにか質問はありますか?」

講義中にそう問いかけ、
大半の学生がその場で質問してくることはありません。
教室の空気が静まり返り、みんな下を向きます。

そんな静けさのなかで、
「まぁ、そうだよね」と思うことがほとんどです。

「今回のわたしの教え方はどうだったのか」

そんなふうに、
モヤモヤした気持ちがだけが残ります。

理学療法士をそだてる学校で
教壇に立っているわたしは、
「現場のリアルを伝えてあげたい」と
常に思っています。

しかし、その情熱を熱心に説明すればするほど、
学生たちの表情は硬くなり、
うなずくだけのロボットのようになっていくので、
伝え方はとても難しいと感じています。


ある日、自分の情熱をいちど脇に置き、
教室の空気をそのまま受け入れてみたことがあります。

そして、しゃべるのをやめて、
学生たちの様子を静かに観察してみました。

すると、見えてきたものがありました。

学生の中では、プリントの文字を
食い入るように見つめていたり、
隣の子と不安そうに
視線を交わしている子もいました。

彼らはただ、
「間違ったことを言ったらどうしよう」
「こんな初歩的なこと、聞いていいのかな」と、
情報がいっぱいで、
頭のなかがフリーズしているだけでした。

それに気づいたとき、
空気をなんとか変えたいと強く思いました。

話しかけにくい教員というのは、
もしかすると、
熱心で完璧すぎるからなのかもしれません。

だからわたしは、全体に向かって
「わかる?」と聞くのをやめてみました。

そして、机の間をゆっくり歩き、
学生ひとりひとりの表情を見るようにしてみました。

じっと考え込んでいる子には、
考える時間をすこしだけ待ちながら、

「この言葉、むずかしいよね。
 どこから迷子になった?」と、
ハードルをうんと下げて、小さな声で話しかけてみました。

そうやって、相手にあわせて
言葉の『余白』をつくってみました。

そしてもうひとつ、

「じつは先生も、学生のころは
 ここがぜんぜん分からなかったんだよ」

そうやって、教員という高い場所から降りて、
自分の失敗を笑って見せてみました。

こんなやりとりを重ねていくうちに、
学生たちの肩の力が抜けていくのが分かりました。

『評価する人』と『評価される人』という対立の構図から、
「むずかしいから一緒に考えよう」という
おなじ方向をむく関係に、
私自身が静かに変わっていくのを感じました。


「先生 さっきのところなんですけど」

こんな言葉がだんだん出てくるようになり、
学生の表情からも安心感が伝わってきました。

話しかけやすい教員になるために、
おもしろい冗談を言う必要なんてないと思います。

ただ、相手が言葉を探す時間を、
やさしく待ってあげること。

「間違えても大丈夫だよ」という
すこしの隙(すき)を見せてあげること。

それだけで、 教員と学生のあいだにある壁は、
溶けていくのかもしれません。

もし、あなたがまた講義の場に立ったとき、
なにかを教えようとする前に、
まずはとなりで一緒にプリントを見つめてみてください。

あなたのその静かな「待つ姿勢」が、
学生たちにとって、
なにより安心できる
コミュニケーションになるかもしれません。

今日もさいごまで読んでくださりありがとうございました。


ここまでが、この記事で伝えたかったことのすべてです。

ただ、書き終えてから、ひとつ思ったことがあります。

「余白をつくる」「隣に座る」「待つ」
言葉にすると、やわらかくて、きれいです。
でも、いざ教室や実習の場に立つと、
じゃあ具体的に、なんて声をかければいいのか
——そこで手が止まることがあります。
わたし自身、そうでした。
「どこから迷子になった?」という
一言にたどり着くまでに、
ずいぶん、ちがう言い方で失敗してきました。

なので、この続きとして、
わたしが実際に使っている「問いかけのセリフ」を、
場面ごとにまとめてみました。
学生が黙り込んだとき、
「分かりません」と言われたとき、考えが的外れなとき
——そういう、指導で必ず来る5つの場面で、
「つい言ってしまう一言」と
「学生が話し始める一言」を、対にして並べています。

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先に、正直に書いておきます。

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