小西マサテル『名探偵じゃなくても』|史上最高の告白のような言葉を聞いた
本屋で「続編の文庫出てるじゃん!」とテンションがあがった小西マサテル『名探偵のままでいて』の続編『名探偵じゃなくても』。
『名探偵のままでいて』を読んだのは偶然でしたが、ミステリーでありながら全体に流れる優しく穏やかな雰囲気や、椅子に座ったまま様々な事件を鮮やかに解決していく認知症のおじいさんと主人公に好意を寄せる2人の男性のキャラクターが魅力的で、すっかりこちらのシリーズのファンになりました。
ということで、小西マサテル『名探偵じゃなくても』のあらすじはこちら。
〝密室状況からの消失〟〝学校の七不思議〟――謎を解くのは認知症を患う、私の祖父。クリスマス直前、居酒屋で〝サンタクロース消失事件〟について議論していた楓たちは、紳士然とした男性・我妻に声をかけられた。
彼は、かつて小学校の校長を務めていた楓の祖父の教え子なのだという――。
〝連続自殺未遂事件〟や〝泣いている死体〟など、楓や我妻が持ち込む不可解な謎を、レビー小体型認知症の祖父が名探偵のごとく解決する。
しかし、その症状は一進一退を繰り返しており……。
第1作『名探偵のままでいて』で、いつも明るい岩田先生と、屁理屈ばかり言っている舞台俳優の四季から好意を寄せられていた主人公の楓。
今回の続編は【楓は岩田と四季どっちと付き合うのか】という点が1つのポイントになってます。
だいぶ後半まで引っ張られたので、「ウジウジすんな!さっさと返事しろ!!!」と、僻み全開でイラっとしました。(←女は自分より格上の女に厳しくなりがち)
メインはおじいさんの謎解きなんですけど、やっぱり楓がどちらを選ぶのか気になります。
これがなかなかはっきりしない。
どっちか決めてる感じはあるんですよ。
でもそれをはっきり言わない。言えない。
……か〜え〜で〜!!!!
決めてんならはっきり言え!!!2人の男の気持ちを弄ぶな!!!!
※この先は【楓は岩田と四季どっちと付き合うのか】問題の結末に触れてますので、未読の方は是非読んでから戻ってきてください!!!
ちなみに、私は『名探偵のままでいて』から岩田先生派でした。
何度も言いますけど、楓は過去の暗い出来事に引っ張られがちだから、岩田先生みたいに「陽」の男の方が絶対いい!と思ってました。
岩田先生も過去はいろいろあったんですよ。それこそ過去に囚われて影ありまくりになる可能性もあったと思うんですけど、それでも岩田先生はそれを乗り越えて、あの明るさを身につけてるんです。すごいことですよ。
楓も以前に比べると前向きになってきていますが、たぶん一生過去の出来事を消化することはできないと思います。そんな時、岩田先生のような100%の明るさで一緒にいてくれる人がいたら楓は何度でも暗闇から引っ張りあげてもらえる。
だから岩田先生を選ぶんだ!
四季より岩田先生の方が楓は幸せになれる!
四季みたいな男に惹かれるのもわかる!
でも楓には四季じゃない!
岩田先生を選んでくれ!
そう思ってました。
でも、皆さま、ご覧になりましたよね?
陳腐な言葉なんですけど、
なんつー愛だよ!!!!
と圧倒されました。
なんて一途で、
なんて無敵で、
なんて必死で、
なんて無謀で、
なんて真っ直ぐな愛なんだ。
あんな姿見せられたら何も言えない。
何となくいけ好かなくて、斜に構えた話し方もムカつくと思ってましたけど、あそこまで楓のことを思ってることがわかったら、もう何も言えない。あんな、史上最高の告白のような「メリークリスマス」を聞いたら、何も言えない。
岩田先生派だった過去をビリっと破いてグシャグシャにして丸めてゴミ箱に捨てて、「おめでとう」って言うしかない。
おめでとう、楓。
幸せになるんだぞ!
そしてやっぱり『名探偵のままでいて』と同様にあの男が出てくると胸クソ悪いんですけど、物語のギアが一気にあがりますね。
マジで気持ち悪いし、お前何で出てきてんだよ!と本気でビビりましたけど、主人公のトラウマを抉る展開はどうしたって盛り上がります。
流石に次はこの展開はもう使えないでしょうし、次作『名探偵にさよならを』は謎解きのピークをどこに持っていくのかな、と想像してます。
……そう、悲しいことに『名探偵のままでいて』シリーズは第3弾『名探偵にさよならを』で完結らしいです。
『名探偵にさよならを』っていうタイトルがもう悲しいんですけど!もうさよならなんですか?
今作『名探偵じゃなくても』でも少しずつ病気が進行していたおじいさん。ずっと名探偵でいてほしいけど、名探偵じゃなくても生きていてほしい。ゆっくりでいいから物語がずっと続いてほしい。さよならをしたくない。
早く文庫化してほしいけど、読むのも少し怖いような複雑な気持ちです。

椅子に座ったまま様々な事件を鮮やかに解決していく認知症のおじいさん。
おじいさんの凛とした雰囲気。
立ち上る煙草の煙。
推理が始まる前のじりじりとした焦燥感。
『名探偵にさよならを』が文庫化されるまで、もう少し『名探偵のままでいて』シリーズの空気に包まれて、おじいさんの推理を楽しみにしていたい。
そんなことを思って、『名探偵じゃなくても』を読み終わりました。
おしまい。
実写化するなら主演は原菜乃花か福本莉子がいいかな〜
岩田先生は仲野太賀のイメージだけどもう少し若い方がいいかな。うーん……保留!
四季は永瀬廉か神尾楓珠で。
