映画『鳩の撃退法』| 願いと現実の狭間で揺れる
絵を見て「え、ホラー?!」と思った方、安心してください、『鳩の撃退法』はホラーじゃありません。
ちなみに鳩には主演の藤原竜也に似た髪の毛が生えてます(何故)。
さて、在宅勤務の日の始業前(朝食を食べながら)と昼休み(昼食を食べながら)の時間を数回使って、なんとなく気になっていた映画『鳩の撃退法』を見ました。
夫が興味なさそうだったので、こういう時に1人で見るかと軽い気持ちで見始めた数分後、
おや……?と思いました。
これ、難解なやつじゃね?
この映画は「なんとなく」「軽い気持ちで」「何かしながら」見るとわけがわからなくなります。(あ、私です)
どこまでが現実でどこまでが小説の中の出来事なのか。
現実と虚構が入り混じる不思議な話です。
あらすじはこちら↓
都内のバー。かつて直木賞を受賞した天才小説家・津田伸一(藤原竜也)は、担当編集者の鳥飼なほみ(土屋太鳳)に執筆中の新作小説を読ませていた。その内容に心を踊らせる鳥飼だったが、津田の話を聞けば聞くほど小説の中だけの話とは思えない。この小説が本当にフィクションなのか検証を始めた鳥飼は、やがて驚きの真実にたどり着く。
公式サイトに
「第一五七回直木賞受賞作『月の満ち欠け』やNHKで連続ドラマ化された『身の上話』など、佐藤正午の数ある傑作のなかでも最高到達点との呼び声高い『鳩の撃退法』。」
とありました。
おしい、『月の満ち欠け』も『身の上話』も読んでるのに『鳩の撃退法』は読んでなかった……私は佐藤正午の「最高到達点」を読んでないのか……いやだってタイトルが特徴ありすぎて……でも「最高到達点」なら次はこれを読むか……
ということで、原作未読の感想です。
この先は映画の結末に触れるので、これから見ようかな〜という方はご覧になった後でまた見に来てください!
と書こうとしたのですが、映画『鳩の撃退法』公式サイトには
「この物語の結末は、誰とでも話してほしい。ネタバレはすべてOKだ。」
とありました。
映画をご覧になっていない方でも結末知っちゃって大丈夫みたいです!よかったよかった!
……と言いつつ、個人的にはやっぱりネタバレしない方がいいと思うので、是非映画をご覧になってからまた来ていただければと思います!
まずは藤原竜也。
困った顔が日本一似合う男。
悪いことをしてても何となく憎めない童顔とその笑顔、意外にも高身長である妙なアンバランスさとオーラで「この役は藤原竜也じゃないでしょ」と見た人に不満を言わせない、特殊な存在感。過去に見た色んな役が頭にチラつきつつ、普通なら不要なそれすら何故か味になっているような、いい意味で現実離れしている感じが、掴みどころのない津田伸一という人物によく合っています。
そして風間俊介。
どう考えてもいい人そうな見た目なのに、その表情ひとつで絶対ただのいい人じゃない感を出すのすごいですよね。
この映画でも、出演シーン自体はそこまで多くないと思うんですよ。それでも映画全体に底知れない風間くんの存在感が充満しています。
映画は、津田伸一(藤原竜也)が実際の出来事から想像を膨らませて書いた小説の中身と、現実の出来事が交差しながら進んでいきます。
ここからが現実、ここからが小説の中身、という区別は曖昧で、冒頭から本当のことだと思った見ていたら小説の中の出来事で、でも実際に起こってることならやっぱり本当のことなの?という感じ。
個人的には幸地秀吉(風間俊介)の妻・奈々美(佐津川愛美)を呼び出して3時間くらい説教したい。
秀吉と出会った時、奈々美は前の男の子供を妊娠してたんですよ。で、そして秀吉たちはその男を殺し、生まれてきた子供と3人家族なった。
そして現在、奈々美は不倫して妊娠。
……奈々美ぃ!!!!!!
お前何してんだよ!
もちろん、秀吉っていう夫がいながら浮気したこともそうなんだけど、そもそも秀吉や倉田(豊川悦司)たちが子供の父親だった奴を殺したって知ってたんだよね?
奈々美が平和に生きていられたのはさ、秀吉がいたからじゃないの?子供の父親と一緒に殺される可能性だってあったのに、きっと秀吉が止めてくれたんでしょ?俺が子供の父親になる!とかなんとか言ってさ。
秀吉は優しい男かもしれないけど、秀吉のバックには倉田っていうめちゃくちゃ怖い男がいるじゃん。それなのに他の男と不倫して妊娠して、秀吉の子供って言えば大丈夫だって思ってたの?
……いや、どんだけ怖いもの知らずだよ!!!
お前の向こう見ずな行動が怖いよ。
かわいい娘もいるんだろ?
もっと「家族」を大事にしてよ!!!
あのかわいい茜はどうなったんだよ涙!!!
そうなのです。
この映画、結末は見た人に委ねられています。
よくあるじゃないですか、ラスト中途半端なところで終わって「ラストはご想像くださ〜い」みたいなやつ。
もちろんいいやつもあるんですけど、結末がはっきりせず不満に思うことも、ええ?!ここで終わり?!と消化不良になってしまうことも多々ありますよね。
映画『鳩の撃退法』が他の映画と違うのは、結末まできっちり描き、きっちり終わらせているにも関わらず、見た人の中にそれぞれの結末が見えるところです。
ためしにいくつか『鳩の撃退法』に関する記事を読んでみたんですけど、私が「こういうことかな」と考えた結末と全く異なる結末を描いている方が沢山いらっしゃいました。
同じものを見ているのに不思議。
ハッピーエンドを信じる人もいるし、バッドエンドを想像する人もいる。
ちなみに私はバッドエンド方向だったので、余計に「奈々美〜ぃ!!!!!」となったわけです。
見えているものから何を想像するのか、
どこまで想像できるのか、
自分の見たいものだけ見るのか、
見たくないものも見てしまうのか、
その人の考え方や性格まで出てしまいそうな映画『鳩の撃退法』。
私は1人で見てしまいましたが、願いと現実の狭間で揺れる結末を、誰かと話したくなる映画でした。
おしまい。
それにしても濱田岳がめちゃくちゃちょい役だった。
もったいなくないか?
