『相棒』シリーズ見放題の沼
J:COM加入してるんですど、ガイド誌が届かなくなってからあまりチェックをしなくなり、最近は存在すら忘れかけ、「あれ、もう契約してる意味なくない……?」と思っていたところでJ:COMの配信サービスにTELASAの見放題が加わりました。
TELASAと言えばテレ朝。テレ朝と言えば『相棒』……
『相棒』が見放題やないかい!!!!
ということで、在宅勤務の日は家事をしながら、お昼を食べながら、過去の『相棒』見てます。
わざわざTELASAを契約してまで見たいわけじゃない。でも、見れるなら嬉しい……いや、かなり嬉しい『相棒』シリーズ。
ということで、久しぶりにseason 1を見てました。
懐かしい。パソコンがでかい。携帯も古い。
テロップの古さとダサさがやばい。
画質も悪い。
正直、今よりずっと地味。
でも、なんかいいんです。
ドラマは全体的に、今よりも静かな印象です。
最近の右京さんはよく犯人に大声で怒ってますけど、昔の右京さんって声を荒げることってあんまりなかったんですよね。それが、なんだかとても懐かしくて、そうそう昔の右京さんってこうだった!という気持ちになりました。(最近の右京さんは怒りやすくなりましたね)
明るい亀山薫がいて、怒りも悲しみも、孤独も、苦悩も、すべて描いて、それでも「静」がそこにある気がします。
season 1で印象的だったのは、「殺しのカクテル」です。
◾️season 1 第7話「殺しのカクテル」
都内で飲食店を経営する倉沢フーズグループの社長・倉沢(和田周)の他殺体が発見された!倉沢はその経営不振の店の関係者ともめていたという。そんな中で唯一カクテルバー「リメンバランス」だけは黒字で、近々カクテルを缶入りドリンクにして売り出す計画もあった。そのために捜査一課では「リメンバランス」のバーテン・三好(蟹江敬三)を対象外として捜査を進めることに。そんな捜査会議にこっそり出席していた右京(水谷豊)は、そっと席を立ち…。
【ゲスト】蟹江敬三 草村礼子
【脚本】櫻井武晴
櫻井さん!私が好きなあの名作「ありふれた殺人」の脚本家です。
※上のリンクにある「拝啓、ドラマ『相棒』ファンのみなさま」で書いてます!
映画『名探偵コナン 絶海の探偵』(2012)で初めてコナン映画の脚本を担当されることを知った時は、「おお!櫻井さんがコナンの脚本やるんだ!」と驚きました。(そして映画を見た時はあまりに本格的な内容に「櫻井さん、子供たちにこれはあまりに難しくないか……?!もう私たち向けってことでいいの?」となりました。)
この「殺しのカクテル」でグッとくるのは、右京さんが犯人であるバーテンダーの蟹江さんにある種の敬意を持っているところです。
一流のバーテンダーは、客のために作ったカクテルを缶入りドリンクにしようと思わないのではないか。
一流のバーテンダーが、爪の手入れをしていないのは何かそれほどの理由があるのではないか。
一流のバーテンダーだから、それが証拠になってしまうとしても客のためにカクテルを作るのではないか。
右京さんは、全て蟹江さんが「一流のバーテンダーであること」を前提に考えます。
そのカクテルを作って欲しいと老婦人に頼まれた時、蟹江さんは断ることができました。
30年も昔の話だからそのカクテルのことを忘れていても仕方ない、と老婦人も亀山も言っていましたし、蟹江さんが断ることは容易な状況でした。
そんな中でも右京さんは、蟹江さんはそのカクテルを作ると確信していたのです。
それを作ることで逮捕されることになるとしてもこの男は老婦人のためにカクテルを作る。
なぜなら彼は、一流のバーテンダーだから。
静かに交わる右京さんと蟹江さんの視線。
その無言の、犯人と警察のやり取りがたまらない。
全てに気づいた亀山が慌てても、
右京さんは「亀山くん、せっかくの夜ですから」と亀山を制止します。
蟹江さんが作ったカクテルの名前はベストパートナー。
イギリスのジンと、日本の梅干し。
若き日の蟹江さんが、若い国際カップルの2人のために作ったカクテル。
なんという物語。
全てが蘇る、その一杯。
彼がどれほどこの仕事に誇りを持ち大事にしてきたのか、この仕事がいかに彼の天職だったのかがよく伝わってきて、余計に悲しい気持ちになりました。
右京さんが蟹江さんを犯人だと疑ったのは、爪が伸びていたからでした。一流のバーテンダーである彼が、爪の手入れを忘れるほどの何かがあったのだろうと考えたのです。
もう自分はバーテンダーではなくなっていたと話す蟹江さんに、右京さんは「自分の罪を逃れるより、客の思い出を大切にされる方だと思いました」と、彼がいまもなお「バーテンダー」であると思っている理由を伝えます。
彼の罪を知る人、
何も知らない人たちで過ごす、最後の夜。
……『相棒』、おしゃれすぎる!
んでもって、ラストに岸辺一徳さんが出てきます。
あの独特の存在感はやっぱり別格。
そう、昔の『相棒』には、こういう静かな、でも重厚な感じがあったのよ!!!
と無駄にテンションがあがりました。
騒がしい亀山薫がドラマの雰囲気を明るくしつつ、それでもドラマ全体としては落ち着いた、この感じが懐かしい……。
season 1は第10話「仮面の告白」も面白かったです。
罪を犯した犯人を無実にした弁護士に亀山が真正面から弁護士の意義を問い、
右京さんは静かに「あなたは間違っていない」と弁護士に伝える。
「無罪」と「無実」は違うということ、
警察と弁護士が2手に分かれて戦う意味について改めて考えさせられた回でした。

亀山の明るさ、視聴者に近い感覚でいてくれること、その真っ直ぐさ、
右京さんの冷静さと、フラットさ。
今ほど亀山が右京さんのことを信頼していないところも、『相棒』として未完な部分を感じられて楽しい。
過去作がいっぱいあるので、『相棒』見放題の沼をしばらく楽しみたいです。
おしまい。
岸辺一徳さんが出演すると聞くと、俄然期待値があがりません?
ということで、こちらのドラマ、とてもよかったです。
