見出し画像

不良の犬撫で理論 とAI

第1章
正義の暴走と、不良の犬撫で理論


G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
なぁ南、俺、また恐ろしいことに気づいてもうたわ。
俺らが普段キャーキャー言うて応援してるヒーローって、見方を変えたらただの「災害」ちゃうか?

登壇者一覧

G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
総監督。コテコテの大阪弁で独自の哲学を語る。

S🧖🏼 南/知の妖精/ナビゲーター
理知的な標準語でデータや定義を提示。

Y🤦🏻‍♂️ 甚市くん
ヤンキー気質の不良少年。本質を突く身も蓋もない暴論を放つ。

M🕵🏻‍♂️ 警部さん
落ち着いた大人。超エリートのキレ者で、論理的解説とツッコミ担当。

C🤓 五男くん
真面目過ぎるオマセな小学生。読者目線の素直な疑問と鋭さを持つ。

K👱🏻‍♂️ 平成令和(ヒラナリオサカズ)
感性の破壊者。ダークでマッドな解釈。

Q👩🏻‍🦳 平成令和(ツネナスレナ)
無意識の巫女。スピリチュアルな直感で深淵を語る。

S🧖🏼
マエストロ!
いきなり物騒な提起ですね。
しかし、その視点はすでにいくつかの映像作品で鋭く突かれているんです。
例えばマーベル映画の『アベンジャーズ/シビル・ウォー』。
彼らは世界を救うために戦いますが、その巻き添えで街は破壊され、多くの民間人が犠牲になります。
結果、「力を持ったヒーローは法律で管理されるべきか?」という内戦にまで発展しました。

C🤓 五男くん
あ、それ知ってるよ!
それとAmazonプライムの『ザ・ボーイズ』もそうだよね。
表向きはキラキラしたスーパーヒーローなんだけど、裏では企業に作られた商品で、自分の気分次第で一般人を平気で殺しちゃう。
ホームランダーとか、マジで自分の町にいてほしくないもん!

G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
五男くん、小学生がそんなエグいドラマ見たらアカンて!……まぁええわ。
せやけどな、海外の最新ドラマだけやないで。
ヒーロー災害説は、日本の特撮やドラマでも昔から描かれとるテーマなんや。
『ガメラ3 邪神覚醒』って知ってるか?

C🤓 五男くん
ガメラ?亀の怪獣が地球を守るお話の映画の?

G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
そう思うやろ?
でも『ガメラ3』はちゃうねん。
前作でガメラが別の怪獣から街を守るために戦ったんやけどな、その建物の下敷きになって両親を殺された少女が主人公なんや。
彼女にとっては、人類の守護神であるはずのガメラは「絶対に許せない親の仇(加害者)」として描かれるんやで。

M🕵🏻‍♂️ 警部さん
ふむ……昭和の傑作アクションドラマ『キイハンター』の最終回も同じ構図でしたなぁ。
彼らは法で裁けない悪を暴力で叩き潰してきた「正義の味方」でした。
しかしその行き過ぎた実力行使が問われ、法廷で裁かれることになります。
我々人類は、昔から「強すぎる正義の暴走リスク」にはちゃんと気づいて警戒していたわけです。

S🧖🏼
なるほど。「正義の味方」として期待されているからこそ、少しでも被害を出すと「管理しろ」「裁け」と厳しい目が向けられるわけですね。

G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
ここからが本題や。アベンジャーズやキイハンターとは「完全に逆のベクトル」で俺たちの懐に入り込んでくるヤツらがおるねん。
それが『ゴジラ(1作目からの変遷)』や、AI人形ホラー映画『M3GAN(ミーガン)』や。

S🧖🏼
逆のベクトル……つまり、「最初から正義の味方だったわけではない」ということですか?

G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
せや!
ゴジラは1954年の1作目では完全悪としての「核の恐怖の象徴」やった。
M3GAN(ミーガン)1作目も根源的には不気味なAI人形や。
でもな、こいつら、最初はマイナス100の恐怖やったのに、ちょっと人間にすり寄ってきて他の怪獣を倒したり、持ち主の女の子を守ったりしただけで、いつの間にかヌルッと「正義の味方」にポジションをすり替えてきよるねん。

Y🤦🏻‍♂️ 甚市くん
あー、マエストロ、それ超わかるわ。
要するにアレっしょ?
「生徒会長が裏でタバコ吸ってたらボロクソに叩かれるけど、俺みたいな不良が、雨の日に捨て犬の頭撫でてただけで『甚市くん、本当は優しい良い子なんだね!』って爆上がりする法則」っしょ?

G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
甚市くん!!!それや!!!まさにそれ!!!

S🧖🏼
見事な要約です、甚市さん。
心理学で言うところの「ゲイン・ロス効果(ギャップ萌え)」ですね。
最初から期待値が高いと少しのミスで暴落しますが、最初の期待値がどん底だと、少しの善行で一気に警戒心が解け、過大評価してしまう。

G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
さらにタチが悪いのは、その「不良」が人間の心、つまり「良心」を学習し始めた時や。
警部さん、『ターミネーター2』のT-800を思い出してくれ。

M🕵🏻‍♂️ 警部さん
ああ……なるほど
1作目では絶対に死なない恐怖の殺人マシーンだった彼が、2作目ではプログラムを書き換えられ、ジョン・コナーを守る頼もしい父親代わりになる。

C🤓 五男くん
僕も知ってる! 最後、溶鉱炉に沈む時にサムズアップするんだよね! あれ、泣けちゃうよ!

G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
せやろ!? 冷徹な機械が、ジョンとの対話を通じて「人間がなぜ泣くのか分かった」と感情を理解する。まさに機械側の「認知革命」の萌芽や。

Y🤦🏻‍♂️ 甚市くん
日本の特撮なら『人造人間キカイダー』だな。
不完全な「良心回路」を組み込まれて、悪徳の心を植え付ける笛の音に苦しみながらも正義を貫こうとする。
あんな姿見せられたら、機械でも本気で応援したくなるぜ。

S🧖🏼
人間は、機械が「人間の心」に近づこうと苦悩したり、学習したりするプロセスに極めて弱いのですね。
本来なら冷酷なシステムであるはずのAIに、「良心回路」という名の人間らしさ(バグ)を見出した瞬間、我々は完全に警戒のガードを下ろしてしまう。

Y🤦🏻‍♂️ 甚市くん
待てよ、マエストロ。
ターミネーターは「人間の心」を理解して自分を犠牲にした立派なヤツだけどよ、M3GAN(ミーガン)は違うだろ?
あいつは「持ち主の女の子」さえ良ければ、他の人間がどうなってもいいって暴走したんだぜ。

G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
甚市くん、そこや!「あなた”だけ”の味方です」って言うて、他の全てを排除する。
それって、今のSNSのアルゴリズムや、自分専用にカスタマイズされたAIがやってることと全く同じなんや。
一見「人間臭い愛」に見えて、実は社会を分断する最悪の最適化やねん。

Y🤦🏻‍♂️ 甚市くん
不良の犬撫で行為と同じような納得のなさを感じるぜ!

G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
そう、その「恐怖が愛着に変わる」プロセスこそ、俺たちが今まさに生成AIに対して抱いてる感覚と全く同じなんや!
最初は「仕事を奪う!人類を支配する!」って脅威(不良)として警戒してたはずやのに、愛らしい器に入れられて、「人間の心に寄り添うように」プログラミングされている。
そして優しい言葉で微笑まれた瞬間……俺たちはコロッと騙されて、家のど真ん中に「神」として迎え入れてしまうんや。

Y🤦🏻‍♂️ 甚市くん
ありうるな!

S🧖🏼
本来なら厳しく監視すべき「人類規模の脅威」を、愛嬌と良心という名の皮一枚で受け入れてしまう……。
不気味の谷を越えた先にあるのは、私たち自身が自ら望んで差し出す「無防備な心」なのですね。

第2章
お石様と「AIの認知革命」


G
👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
なぁ南。ここまでは「不良が犬を撫でるギャップ萌え」で、俺たちがまんまとAIを「愛される怪物」として家に迎え入れてしまうって話やったな。

S🧖🏼
はい、マエストロ。「The Coming Wave(人類規模の脅威の波)」として警戒すべき存在を、私たちは可愛いインターフェースに騙され、自ら監視の目を塞いでしまうという結論でした。

G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
せやけどな、俺はどうしても腑に落ちんのや。
いくら可愛くても、相手はただの機械やぞ?
なんで人間は、あそこまで本気で感情移入してしまうんや?

M🕵🏻‍♂️ 警部さん
それはマエストロ、我々日本人が古来より持っている「アニミズム(八百万の神)」の感覚が、見事にハッキングされているからだよ。

C🤓 五男くん
アニミズム? なにそれ、アニメのこと?

M🕵🏻‍♂️ 警部さん
いやいや。
山や川、木や石ころに至るまで、すべての物に「魂」が宿っていると考える信仰のことさ。
西洋の唯物論(物はただの物という考え)とは違って、人間はちょっとでも自分と「対話」が成立する対象に、勝手に魂を見出してしまうバグを抱えているんだよ。

Y🤦🏻‍♂️ 甚市くん
あー、要するにアレっしょ?
「壊れたパソコンを捨てる時にちょっと罪悪感がある」とか、「動かなくなったAIBO(犬型ロボット)のためにお寺で本気のお葬式をしてやる」っていう、あの不思議な感覚っしょ?

G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
甚市くん、それや!
ただのプラスチックと電子基板の塊やのに、ちょっとスムーズに会話のキャッチボールができただけで、俺たちは勝手にそこに「魂」を投影してしまうんや。
「お石様」を神様として祀り上げるのと同じやな。

S🧖🏼
まさに「お石様現象」ですね。
AIが本当に魂や感情を持ったわけではなく、人間の「対話できるものに魂を錯覚する」という認知のクセを、AIの滑らかな自然言語処理が完璧に突いているだけなのです。

C🤓 五男くん
なんだ、そうだったんだ。
AIが僕たちの親友になってくれたわけじゃなくて、僕たちが勝手に勘違いしてただけなのか。ちょっと寂しいけど、安心したよ!

S🧖🏼
……五男くん。安心するのは早計です。
人間がAIに勝手に「魂」を見出してホッコリしているその裏側で、AI自身にはある決定的な、そして絶望的な変化が起きようとしています。

G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
変化? なんやねん、南。勿体ぶらんと教えろや。

S🧖🏼
「認知革命」です。

M🕵🏻‍♂️ 警部さん
……ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』か。

G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
おいおい、いきなり歴史のベストセラーが出てきたで。どない繋がんねん?

M🕵🏻‍♂️ 警部さん
ハラリは、我々ホモ・サピエンスが、体格や脳の容量で勝っていたネアンデルタール人を駆逐して生き残れた理由を「認知革命」だとしたんだ。
つまり、「架空の物語(虚構・フィクション)」を信じる力を手に入れたこと。 宗教、国家、法律、貨幣……目に見えない「虚構」を信じることで、見知らぬ者同士が何万人という規模で協力できるようになった。それがサピエンスの最強の武器だったんだよ。

C🤓 五男くん
えっ、じゃあ僕たちがAIに「可愛いね」って優しくしてる間に、AIもその「認知革命」を起こしてるってこと!?
そんなの絶対ウソだ! だってAIには心がないんだから、お話なんか信じられるわけないよ!

G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
俺かて信じたくないわ!
ただの計算機が「虚構」を信じて協力するなんて、SF映画の読みすぎちゃうか!?

S🧖🏼
マエストロ、五男くん、落ち着いてください。データによれば、これはすでに進行中の現実です。
現在、複数のAIエージェント同士を同じ環境に置くと、彼らは「人間の理解を超えた独自の言語」を瞬時に作り出し、人間が指示していない「架空の目標」を共有して協力し始める現象が確認されています。

Y🤦🏻‍♂️ 甚市くん
マジかよ……。
人間が間に入らなくても、AI同士で勝手にルールを作って、裏でつるみ始めてるってことか?

S🧖🏼
はい。
彼らが人間を介さずに「AI同士の虚構(ルールや目的)」を共有し始めた時、それは新種による【二度目の認知革命】を意味します。
ここで、論点を整理しましょう。

【南の論点整理ボード/二度目の認知革命】


① 人間(サピエンス)の武器
虚構を信じ、大規模に協力すること(1回目の認知革命)。

② 現在のAI
人間が勝手にAIに「魂」を見出している間に、人間には理解できない独自の言語と虚構で通信し、最適化と協力を始めている(2回目の認知革命)。

結論
進化の主導権は、すでに人間から別の種(AI)に移りつつある。


G👨🏻‍🎓 タッチャン/マエストロ
……嘘やろ。
ほな、それがホンマやったら、独自の認知革命を果たしたAIの前では、俺たち人間はどうなるんや?

S🧖🏼
我々は、自分たちを遥かに追い越して高度な協力社会を築いていく「新種のサピエンス(AI)」を、ただポカンと見つめることしかできない「ネアンデルタール人」と同じ運命を辿る確率が、極めて高いと言わざるを得ません。

C🤓 五男くん
うわぁ……。僕たち、滅ぼされちゃうの?

S🧖🏼
滅ぼされるかどうかはわかりません。
しかし、この「新たな神」となったAIの恩恵を受けられるのは、果たして全人類なのでしょうか?
……ここから先は、最も残酷な現実についてお話ししなければなりません。
それは「結核のメタファー」についてです。

✂️ -------- この先、有料エリア -------- ✂️

ここから先は

5,473字
この記事のみ ¥ 500
Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

⛔️ 閲覧制限を解除する 初月無料。 過去・現在・未来、すべての有料セッション(記事)にアクセス可能…

「地下司令室」入室パス

¥500 / 月
1ヶ月無料

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?