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第7章『限界』第7節 限界の先へ【ケンタウルスストーリー】

迷言です
今週(26年8月2日~26年8月8日)は【ケンタウルスストーリー】第7章『限界』をお送りします

前節のあらすじ

それでは本編をどうぞ

この章のイメージレースBGMと同時にお楽しみ下さい

ノクティエラ「馬鹿な事を言わないで下さい!明らかに限界を超えて走り方がおかしいです!このままだとシステムによる強制処置で、彼女は走れなくなります!」

ランの表情が変わる
一瞬だけ考える
その時だった

クロウヴァ「ラン!ここは私達で引っ張ります」
リオノワール「貴女達はヴァイスノヴァ元へ……」

ランは二人を見て、静かに頷いた

ラン「……お願いします」

クロウヴァ「ノクティエラはヴァイスノヴァの状態を……」
ノクティエラ「了解」

ランは大きく息を吸う

ラン「ヴァイスノヴァ!!」

前だけを見ていた私は返事をする

ヴァイスノヴァ「はい!」
ラン「オーダー変更!!これから先は私がゴールを狙います!貴女は止まりなさい!」

ヴァイスノヴァは目を丸くした

ヴァイスノヴァ「えっ!!ランがゴールを……ですか?」
ヴァイスノヴァ「別に構いませんが……なぜでしょう?」

ランは迷わず答える

ラン「ヴァイス……君の脚はもう限界だよ……これ以上の無理は……」

私は微笑む

ヴァイスノヴァ「ラン!問題ありませんよ。確かに痛い気がしますが仮想空間ですし……」
ラン「ヴァイスノヴァ!!」

私は反射的に返事をする

ヴァイスノヴァ「はい!」

ラン「いいから止まりなさい!!一生走れなくなりますよ!!」

その言葉に……私の表情が変わった

ヴァイスノヴァ「一生……走れなくなる?」

ランは強く頷く

ラン「そうです……折角見つけた貴女の楽しみを……こんな事で失うつもりですか!!」

私は俯く
ランは少しだけ声を柔らかくした

ラン「でも安心して下さい……ここで貴女が止まっても、チームは負けません」
ラン「だって……私がゴールを取るから」

私はランを見つめる
数秒……何も言わない
やがて小さく頷いた

ヴァイスノヴァ「分かりました……ランを信じます」

私はゆっくり速度を落とし始める
同時にノクティエラはその横へ並ぶ

ノクティエラ「そのままです……急に止まらず、呼吸を整えながら速度を落として下さい」
ヴァイスノヴァ「はい」
ノクティエラ「その調子です」

私は小さく息を吐く

ヴァイスノヴァ「ノクティエラ……レース中ですよ」

ノクティエラは少しだけ微笑んだ

ノクティエラ「今はレースより優先する事があります……これでも医者ですから」

私は静かに頷いた

一方……

ランは前だけを見据えた
クロウヴァも
リオノワールも

誰一人、もう言葉は交わさない

ただ、それぞれの役目へ戻るように加速した

前方では……ランがゴールだけを見据え、静かに走り続けていた
その背中を見送りながら……私は静かに口を開く

ヴァイスノヴァ「ノクティエラ……ありがとうございます」

少し間が空く

ヴァイスノヴァ「でも……良かったのですか?」
ノクティエラ「何がですが?」

ヴァイスノヴァ「ここまで綿密に作戦を立て、それを完璧に実行した」
ヴァイスノヴァ「そして勝利目前だったのに……それを不意にして私を助けてくれた」

ノクティエラは少しだけ前を見た
そして穏やかに笑う

ノクティエラ「大丈夫ですよ……きっと……チームのみんなも許してくれるはずです」
ノクティエラ「だって……ここまで馬鹿な人がいなければ……私達が勝っていました」

ヴァイスノヴァは困ったように笑う

ヴァイスノヴァ「馬鹿な人……ですか?」

ノクティエラは優しく頷く

ノクティエラ「ええ……普通なら、あそこまで限界を超えて走る人なんていません」

少しだけ笑う

ノクティエラ「だから……その馬鹿を見抜けなかった……私達の負けです」ヴァイスノヴァ「……そうですか」

ノクティエラ「作戦は完璧でした」
ノクティエラ「でも……完璧だから勝てるとは限りません」

ノクティエラ「予想外を予想できなかった」
ノクティエラ「それが今回の敗因です」

私はゆっくり頷く

ヴァイスノヴァ「ありがとうございます」

ノクティエラは首を横に振った

ノクティエラ「お礼を言うのは私の方ですよ」
ヴァイスノヴァ「?」
ノクティエラ「貴女のおかげで……私達もまた一つ学べましたから」

二人は静かに笑う
少し沈黙が流れる
私は照れくさそうに頭をかいた

ヴァイスノヴァ「でも……馬鹿はヒドイですね」

ノクティエラは思わず吹き出した

ノクティエラ「気にしていたのですか?」
ヴァイスノヴァ「はい……褒め言葉なのか?悪口なのか?判断に困っています」

ノクティエラは笑いをこらえながら答える

ノクティエラ「ふふっ……半分ずつって所ですね」

私は少し考え込む

ヴァイスノヴァ「では……半分だけ喜んでおきます」

ノクティエラはとうとう笑ってしまった

ノクティエラ「それで十分です」

二人はもう一度前を見る

その頃……ゴール前

ヴァルネスが粘る
リオノワールは懸命に追う

しかし……その外から、一直線に伸びてきた影があった

ヴァイスノヴァから託された想いを胸に……最後まで一歩も緩めない白い馬体

そして……その白い馬体はゴール板を真っ先に駆け抜けた

歓声が響く

私はその光景を見て、小さく微笑んだ

ヴァイスノヴァ「良かった……本当に、良かったです」
ノクティエラ「ヴァイスノヴァ!おめでとうございます……ですがこれだけは忘れないで下さい」

ノクティエラ「勝つことは大切です」

ノクティエラ「ですが……無理して強引に走ってはいけません……それが原因で未来を失ってしまっては、本当の勝利とは言えません」

私は静かに頷く

ヴァイスノヴァ「はい……次は、絶対に無理はしません……その上で1番にゴールを駆け抜けます」

ノクティエラは微笑む

ノクティエラ「その意気です」

夏空の下
五つのチームが、それぞれの想いを胸に走り抜けた開幕戦

緻密な作戦
仲間への信頼
そして、誰も予想できなかった一つの決断

その全てが、この一戦だけで終わるものではない

今日得た勝利も、悔しさも、学びも
やがて次のレースで、新たな答えへと変わっていく

その開幕戦を制したのは……
チーム・ペイル・インク・トライフェクタ『ラン』だった


今回の記事で【ケンタウルスストーリーイベント・第7章『限界』】は終了です

最後に今回の勝者・ランのウイナーズライブ曲でこの章を閉めたいと思います
お聴きください……ランで『花ひらく、その先へ』


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