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第6章『初陣』終節:終わったレースと始まる戦い【ケンタウルスストーリー】

サクラミストの逃げ切りで幕を閉じたデモレース第2戦

ゴール板の前には大きな歓声が響いていた
私は息を整えながら、勝者となったサクラミストの元へ向かう
そこには既にチームの仲間達が集まっていた

サクラミスト
「やったー!」
ラン
「お疲れ様」
ルナヴェイル
「見事でした」
ユキハク
「……速かった」

私は小さく頷く

ヴァイスノヴァ
「上手くいきましたね」
サクラミスト
「うん!」

満面の笑みだった
その様子を見ていたランも小さく微笑んでいる
作戦は成功した

それだけでなく、チームとしても大きな一勝だったと思う
すると後方から足音が近付いてきた
振り返ると、サイレント・レイヤーとジェントル・ヴァーディクトの面々がこちらへ向かって来ていた

最初に口を開いたのはネクシアードだった

ネクシアード
「……完全に騙されました」
ヴァルネス
「……最後まで見えていませんでした」
アステリス
「いや、あれは無理でしょ!」
クロミツ
「最後までランとヴァイスノヴァを見ていた」
ノクティエル
「私も同じです」
ノクティエル
「終盤まで、本命はどちらかだと思っていました」
アステリス
「だって普通そう思うじゃん!」
アステリス
「意地が悪い事に終盤になって二人とも動いたし!」
ネクシアード
「私も同じ判断をしました」
ネクシアード
「だからこそ、してやられました」
クロミツ
「気付いた時には先頭との差がかなりあった」
ヴァルネス
「……マークする相手を間違えました」

誰も言い訳はしない
だからこそ、その言葉には悔しさが滲んでいた

ラン
「実は……最初からサクラミストを通す予定だったんだよ」
ラン
「彼女は私達と違って適正距離が短距離だから」
アステリス
「最初から!?」

私は補足する

ヴァイスノヴァ
「私とランは囮役です」
クロミツ
「囮か……」
ネクシアード
「なるほど」
ネクシアード
「私達は、その囮を最後まで追い続けた訳ですね」
ラン
「見てくれて助かったよ」
アステリス
「うわっ!」
アステリス
「その言い方めちゃくちゃ腹立つ!」
サクラミスト
「えへへ」
アステリス
「褒めてないって!」

ヴァルネス
「……つまり」
ヴァルネス
「私達は先頭ではなく、互いばかり見ていた」
ノクティエル
「綺麗に誘導されましたね」
クロミツ
「完全に術中だったな」
ヴァイスノヴァ
「作戦としては成功です」
ネクシアード
「完敗です」
サクラミスト
「えへへ」
アステリス
「だから褒めてないって!」
サクラミスト
「勝ったからいいのー!」

その言葉に、思わず周囲から笑いが漏れた

ネクシアード
「ですが、良いレースでした」
ヴァルネス
「……次は負けません」
クロミツ
「次は対策を用意しよう」
ノクティエル
「またご一緒しましょう」
アステリス
「今度は絶対騙されないからね!」
ラン
「うん」
ヴァイスノヴァ
「次もよろしくお願いします」

勝負は終わった
だが、不思議と敗者達の表情は明るかった
全力で戦ったからこそなのだろう

その時、会場に司会の声が響く

司会
「それでは勝者によるウイナーズライブです!」

歓声が一段と大きくなる
照明が灯る
サクラミストがステージへ向かう前に振り返った

サクラミスト
「行ってきます!」

ラン
「楽しんで」
ヴァイスノヴァ
「頑張ってください」

そして勝者のステージが始まった

ライブ終了後
熱気の残る会場を後にする

帰り道
隣を歩くランが私へ声をかけた

ラン
「これで今回のチーム戦は終わりましたね」
ヴァイスノヴァ
「そうですね」
ラン
「次は明日の個人戦です。ヴァイス」

私は少し考える

今日のレース
初めてのチーム戦
そして明日行われる個人戦

胸の奥から自然と高揚感が湧いてきた

ヴァイスノヴァ
「そう……ですね」
ヴァイスノヴァ
「相手は強敵ばかりですが……」

私は静かに笑う

ヴァイスノヴァ
「正直、楽しみでたまりません」
ラン
「ふふ……ヴァイスらしいですわ」

チーム戦は終わった

だが、明日には新たな戦いが待っている

個人戦

今度は自分自身の力だけで挑むレースだ
私は……胸の奥で高鳴る期待を感じながら夜空を見上げた

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