ノーラン・マクリーン入門
こんにちは。灯火管制です。
先日、WBC優勝候補筆頭であるアメリカのイタリア戦&決勝戦で、ノーラン・マクリーンなる謎投手の先発登板が確定したというニュースが世界を駆け巡りました。
多くの方は意外に思われたでしょう。このノーラン・マクリーンなる投手は何者だ?と。MLB2位の年俸を擁しつつPSを逃したお笑いチーム出身のようだが大丈夫か?と。
そういう方向けに、今回ノーラン・マクリーン入門と題して詳しく紹介するnoteを書くことにしました。当初は2000字ほどの軽い記事のつもりだったのですが、楽しくて筆が乗ってしまい、気づけば10000字を超えてしまいました。
目次を適宜ご活用いただき、気になる部分のみをお読みいただくことをおすすめします。入門と謳っておいて全く初心者向けではない世間の入門書みたいになってしまって心外ではありますが。
1. 来歴
1.1 幼少期-大学時代
ノーラン・マクリーンはノースカロライナ州で生まれ、高校まで同州で育ちました。トライアウトからレッズとマイナー契約したほどの根性ある父に育てられた彼は、幼少期から強い競争心と体力を持ち、勝つことにこだわる可愛げない子供だったようです。インタビューで以下のように語っています。
"We competed at everything: We played one-on-one in the driveway, we’d tackle each other out in the yard playing football. And when he’d throw BP to me, he’d stand about 35 feet away, trying to get me out.
"He had his own baseball experience and some of his buddies coached college baseball, so he had a good idea how to coach me. There were times when I’d push that envelope when I was competing, but I was never a jackass or anything. I just really wanted to win, and my dad would coach me up on how to control my emotions in those situations."
訳:何でも競争でした。ドライブウェイで1対1をしたり、庭でフットボールをしてタックルし合ったり。父がBP(打撃練習の投球)を投げるときは、35フィートくらいの距離から、本気で僕を打ち取ろうとしていました。
父自身に野球経験があり、友人には大学野球のコーチもいました。だから僕をどう指導すればいいか分かっていたんです。競争の中で少し行き過ぎることもありましたが、無礼だったことはありません。ただ本当に勝ちたかっただけです。父はそういう場面で感情をコントロールする方法を教えてくれました。
競技者としての英才教育を受けて育った彼は、高校では野球だけでなくスター・アメフト選手としても活躍。オクラホマ州立大学 (OSU) にリクルートされ、1年次にはアメフトのクオーターバックと野球のリリーフを兼任するという化け物のようなアスレチックさを見せます。
知らない方に説明すると、クオーターバック (QB) とはアメフトにおいて攻撃の司令塔、要するに最も大変かつ重要なポジションであり、チームの顔です。バスケでいうポイントガード、カーリングでいうスキップ。アメリカスポーツ史におけるGOAT🐑とされるトム・ブレイディもQBです。
スポーツ名門高たるOSUで1年次からQB、RPなんて、ボー・ジャクソンかよという感じで普通に引きますね。アメフトは2年次から野球に専念するために辞めますが、QBを務めることで養われた強い "ブルドッグ・メンタリティ" (投手コーチ・ウィーラード談) が彼の今を形作っています。
アメフトは辞めたとはいえ2年次以降も3B/CLのTwo-way playerであり、あだ名は「Cowboy Ohtani」でした。実際にBBrefでOhtani🔍 と検索すると、以下のようなページが表示されます。少し前に界隈ではネタにされましたね。

「Cowboy」はオクラホマ州立大学運動部の名称である「Cowboys」から取られています。女性の運動部は「Cowgirls」。なぜカウボーイかというと、オクラホマ州は地理的にアメリカ大陸中央南部にあり、このエリアがカウボーイ発祥の地だからです。

1.2 ドラフト-メッツ時代
さて、大学では投打で大活躍して順調に2023年ドラフトにかかるわけですが、彼の特筆すべき点はTwo-way playerとしてメッツに入団することです。タレントの集中するMiLBにおいてもTWPを許可される時点で、フィジカルエリートだったことが伺えます。
とはいえ流石のカウボーイオオタニもMiLBでは単打しか打てず、Aでフルタイムの投手へと転向します。フィジエリたる彼が投手に専念するとその才能は一気に開花し、高速でマイナーリーグを駆け上がります。
2025年時点でAAAまで到達していたマクリーンは、7月以降メッツで地獄の釜の蓋が開いた影響で急遽コールアップされます。釜の中身とはモンタス、ブラックバーン、マナイア、千賀ら5バカのことです。
デビュー戦は8月16日、強豪マリナーズ相手に6回途中無失点8奪三振という圧倒的な成績を見せ、当時3回6失点が日常茶飯事だったメッツファンを気絶させます。マクリーンはその投球内容だけでなく、マウンド上での立ち振る舞いでもファンを魅了しました。
NOLAN McLEAN GOES BEHIND THE BACK TO START THE DOUBLE PLAY! pic.twitter.com/3Xu9PRV9om
— SNY (@SNYtv) August 16, 2025
↑初登板で満塁の中初ゲッツー、ホームに投げたくなるところを落ち着き払って2塁に送球、逸れもせずゲッツーを取るんですから大したもんです。
メンドーサ監督も試合後にマクリーンを「マウンドでの存在感、振る舞い、攻めの姿勢。感じるんだ。何か特別なものがある。」と大絶賛。フロントも「彼を際立たせるのは落ち着きと競争心だ。まだフットボール魂が残っている。近くで時間を過ごせば、それを感じるはずだ。」とほめ散らかしました。
本人も「打者がボックスに入ったら、あとはただの勝負です。」と10年目のベテランが言うようなことをデビュー&初勝利試合のヒーローインタビューで言っていました。他の試合でも「ここにいる打者が世界最高なのは分かっている。でも自分の球もいいと分かっているので、多くの打者をアウトにできる。」なんて言ってます。鋼のメンタルですね。
その後メッツ連敗→マクリーンが連敗ストップ→連敗→マクリーンが連敗ストップというルーキーにおんぶにだっこに膝枕な戦績を繰り返し、結局メッツはマクリーンブーストをもってしてもプレーオフにたどり着けないといううんちを披露してしまいました。
が、彼自身は48回、57奪三振、ERA2.06の大車輪の活躍を見せ、ファンにとっては地獄に差す一筋の光となったことでしょう。
2. 人となり
マクリーンの特筆すべき点はなんといっても、メンドーサやチームメイト、フロントに "ブルドッグ・メンタリティ" として絶賛される自信と競争心です。競争を是とする家庭で育ったことと、冷静さが求められる高校&大学のQBとしての経験、オクラホマで培われれた不屈のフロンティア・スピリット、これらが合わさってこのメンタリティが生まれました。
同僚であり、彼のメンターでもあるホームズはこう評しています。
"He’s just a guy who is very sure of who he is," Holmes said, "and as a quarterback you probably have to carry yourself that way. Walking into a college locker room where you have older guys with more experience, but you’re expected to be a leader because you’re a quarterback, you have to be very self-assured.
"And that’s who he was when he was called up last year. It’s cool to see, a guy who comes up with that type of presence, who doesn’t change who he is or how he goes about his process and has success right away. It’s something that should help him as he goes into this season."
訳:「彼は自分が何者かをよく分かっている選手だ」とホームズは言う。「クオーターバックなら、そういう振る舞いが求められる。大学のロッカールームに入れば、自分より年上で経験豊富な選手がいる。でもクオーターバックというだけでリーダーを期待される。だから強い自己確信が必要なんだ。」
「昨年昇格してきたときも、まさにそうだった。ああいう存在感を持って上がってきて、自分を変えず、自分のプロセスを貫き、すぐに結果を出す。あれは本当にクールだし、今季に向けても大きな助けになるはずだ。」
STでもそれが見られる一幕がありました。詳しくはこの記事を読んでいただきたいですが、マクリーンがライブBPでソトと対決した時、微妙な判定について口論になり、じゃんけん勝負で決めることになりソトが勝利。その後マクリーンは7球連続でソトに速球を投じました。ソトはそのうち5球をファウルで粘った末、最後の1球で一塁へのゴロに打ち取られました。
要するに判定のじゃんけんで負けたことが悔しく、速球勝負を挑んだわけです。超がつくほどの負けず嫌いであることが伺えますね。その直後のインタビューでは「簡単に譲るつもりはない」「本当に勝ちたいんだ」と述べ、Losing isn't an optionの精神を見せています。二刀流といい勝ちへの執着といい、大谷と繋がるものを感じませんか?
WBCアメリカ代表マイク・デローサ監督やマイケル・ヒルGMはこういうマクリーンの性格を見越し、決勝戦へ先発させることを決めてくれたのではないでしょうか!!(スクーバルの影響を受けてローテーションが崩れたのは内緒)
まあ決勝は置いといて、既にイタリア戦での登板は確定しています。イタリアの野手にはティール、キャンゾーン、パスカンティーノ、カグリオン、ニック・モラビトと強力なメンバーが揃っていますけども、彼ならその闘志であっさりと抑え、よしんば打たれても慌てることなく次につなげる投球をしてくれるでしょう。ファンたる私が太鼓判を押します!!

3. 投球メカニクス&アーセナル解説
アーム角度27度のサイドスローで、横の変化で戦う典型的な回外 (Supination) 投手です。
球種としてはシンカー、スイーパー、カーブ、フォーシーム、チェンジアップ、カーブの6種類をアーセナルとして持ちます。以下で1つ1つ順に解説します。また、ゴロを打たせる球種であるシンカーを武器にするピッチャーであるため、リーグ屈指のゴロ率を誇ります。
ちなみに回は足りていないものの三振率30%&ゴロ率60%以上の30-60はかなりレアな組み合わせらしく、ロールモデルは同じような率で好成績を残してきたランス・マッカラーズJrですね。

アーセナルからもわかる通り、左打者に対して有効な球が少ないです。実際に、去年は左打者に対する与四球率が右打者の3倍に達していました。そのためカーブ、チェンジアップ、カッターらの左打者対策の球種のコマンド向上が望まれます。
フォームの特徴として、マクリーンはプレートから三塁側へ大きく外れた位置に立ち、プレートより約1m (約3.7ft) 以上も横からボールをリリースします。2025年に投げた先発右投手の中で、これよりリリースポイントが右にある投手はいません。

このため打者は非常に見慣れない場所/角度から出てくる多彩な球を警戒し、その結果本来振るべき球でも見送るケースが多くなります。実際、マクリーンは先発投手の中ではかなりバッタースイング率が低く、わずか42.0%しかありません。
3.1 シンカー
マクリーンは大学時代はフォーシームをメインで投げる投手でした。プロ入り後自分が回外タイプであることを投手育成ディレクターのエリック・ジャガーズより学び、回外タイプに適合する速球であるシンカーを投げ始めてこれが大成功。全投球の30%を占める主力球に進化しました。
※回内、回外の概念をご存知ない方は、Namiki Baseballさんの記事がわかりやすくておすすめです。
特筆すべき点は、マクリーンは右打者の内角を突くシンカー(フロントヒップ・シンカー)を武器としている点です。下にシンカーの投球分布図をsavantから引っ張ってきました。

よくコントロールされているのが見てわかりますね。MLBで一番三塁側に離れたリリースポイントからシンカーが大きく食い込んできたと思えば内角低めにシンクするわけです。普通は見逃してしまい、捉えたと思っても落差が大きくバットがボールの上を叩いてゴロに。これがマクリーン最大の戦法ですね。
左打者に対してもマクリーンはシンカーを結構投げており、右打者相手ほどではないものの有効なようです。左打者のブライアン・ストットはシンカーが自分に向けて飛んでくるように見えたといい、「まるでエアベンダーだ」と語りました。つまり、フォームと変化量だけでプラトーンを無視した効力がそれなりにあるということですね。↓
The Tigers Broadcast Reaction To Nolan McLean K’ing the Side Is Hilarious 🤣 #LGM pic.twitter.com/SfWgX0s7cf
— Nathan (@NYMNathan) September 3, 2025
Pitching Ninjaに出演した際、本人がシンカーの用法について語っています。初対決の際シンカーをJ-RODに褒めてもらったとか。凄いですね ↓
3.2 スイーパー
マクリーンは大学時代、自分がスイーパーを投げているとは知らずにこの球種を投げていました。彼がやろうとしていたのは、単にカッターにもっと変化を加えること。ドラフト後にメッツ関係者と話した際、「それはスイーパーだ」と言われて初めてその存在を自覚したようです。
スイーパーは彼の投球割合の26%を占め、主に右打者に対して使われます。特筆すべきは速度で、平均より2mph上の85mphが平均速度です。これより速い球速のスイーパーを投げるのは今のMLBに5人くらいしかいません。
とはいえ、空振りが取れずxwOBAconがの悪いので、たくさん投げてる割に大きな武器になってはいません。カウント球として使用されるくらいでしょうか。本人もこの球がそこまで上手く使えていないことを自覚しているらしく、インタビューでその旨を語っていました。
“It’s kind of something I’m known for, but it’s also been the pitch I’ve given up the most damage on as well, which makes it a risk-reward thing, but it’s something I am comfortable with,” McLean said. “I can’t lose confidence in something over a few swings. You kind of have to look at the overall effect. There’s a lot of foul balls on it, a lot of takes on it to left-handers, and just my ability to throw it for strikes.
訳:「自分の代名詞みたいな球だけど、一番痛打されている球でもある。だからリスクとリターンのある球。でも自分は信頼している。」とマクリーンは語る。「数スイングで自信を失うわけにはいかない。全体的な効果を見ないといけない。ファウルも多いし、左打者が見逃すことも多いし、ストライクに投げられる能力もある。」

3.3 カーブ
おそらく最もやばい球です。使用率16%。
StatcastがTrackManからHawk-Eye へとアップデートされた2020年以降、この球より総変化量が大きい球はわずか2球種(パオロ・エスピーノとリッチ・ヒルのカーブ)しか存在しません。
これほどの変化は、非常に高い回転数を持ち、かつその回転のほぼすべてが有効回転(Active spin)として働いているカーブを投げたときにしか生まれません。マクリーンのカーブは3200回転/有効回転率97%。メジャーで一番カーブの回転数が高い選手です。ちなみに山本由伸の魔球ヨーヨーカーブが2700回転/有効回転率95%。
さらに特筆すべきは、エスピーノとヒルのカーブが平均70mph台だったのに対し、マクリーンは平均80mphと10mphも高速化している点です。これは投球エネルギーの多くを回転に割きつつ、なおかつ130km/h近い前進速度を維持できるという、驚異的な筋出力と指先の感覚が両立して初めて成立する稀有な球種です。その人のためだけの魔球といってよいかもしれません。
本人も「まあ、自分に与えられた才能みたいなものだと思います。ある意味運が良かったんです。」と言い、前メッツ投手コーチのヘフナーも、教えて出来るものではなく天性のものだ、と評しています。
とはいえあまりに魔球すぎて残念ながら、彼自身もまだコントロールできていないようです。それでもなお、2ストライク時点でに使われる決め球でゾーン率はわずか21.%と極端に低いにもかかわらず、空振り率(SwStr%)は上位87パーセンタイル、xwOBA.101と相手にとっては絶望の数字を記録しています。理由は単純で、変化量がデカくて速い球を打つのは無理だからですね。
文字通り (?) 、シンカーやスイーパーで対応できない左打者を刈り取る死神の鎌なわけです。自分で言っててなんですが、めちゃくちゃかっこいいですね。コントロール出来た暁には最強ピッチャーになれるでしょう。
3.4 フォーシーム
シンカーと相互補完の関係にある球種ですね。使用率13%。ほぼ同じ腕の角度とスピン方向からリリースされる2種類の速球が、縦方向に11インチもの差を生みます。
彼はアーム角度が低いため、フラットなVAA (ホームプレート上の球の入射角、フラットなほど伸びるボールと錯覚させ三振を取れる) を生みやすく、それ自体は武器になり得ます。しかしマクリーンのフォーシームはIVB、要するにホップ量がそれほど大きくないため、球質だけを見るとフォーシーム単体で圧倒的な武器になるタイプではありません。
しかし、シンカーとの相互補完によってフォーシームの価値を最大化することも可能でしょう。シンカーと併用することで、常に上部へのフォーシームと下部へのシンカーをちらつかせて相手の意識を上下ゾーン11インチに振ります。
その結果、打者がどちらかに意識を振られた瞬間に、ゾーン上部へ投げ込まれる98mph前後のフォーシーム/あるいは下部に滑り込むシンカーが有効に機能する、という構図になっています。アーセナルを円滑に回すための潤滑油のような球(就活生)ですね。

3.5 チェンジアップ
左打者対策の球で、使用率9%。通常、チェンジアップは回内の動作で投げ込む球種のため、マクリーンのような回外投手には向いていません。チェンジアップを試したことのある方ならすぐ想像つくと思います。
従来のチェンジアップを投げてはいたものの簡単に攻略されて困っていた彼はマイナー時代に自宅でクレイ・ホームズの投球映像をX(旧Twitter)で見て衝撃を受け、回外投手向けチェンジアップであるキックチェンジを投げるようになりました。
まあ要するに、指を立てて(スパイクして) 回外させて蹴りだすような球種であるため、キックチェンジと呼ばれているわけです。ヘイデン・バードソングが投げ始めたことで一気に話題になりましたね。メッツでは同じく回外投手であるホームズが最初に取り入れました。

キックチェンジの握り
もっとキックチェンジを詳しく知りたい!と思われた方は以下のような記事をお勧めします。
状態が良いときのマクリーンのキックチェンジはウィッフルボールのように不規則に動きますが、常にコマンドを発揮できる球ではありません。実際は主力球のシンカー/スイーパーの効き目が薄い左打者に対してカウントを稼ぐ球であり、打ち損じのゴロを狙う球でもあります。今オフはコマンド向上に努めたようで、さらなる武器になることが期待されます。
3.6 カッター
これも同じく主力球の効き目が薄い左打者対策の球であり、使用率9%。大学時代から投げているジャイロ気味に変化するスライダーであり、サインの混同を避けるためカッターと呼ばれます。
プロ入り後カッターの握りをおよそ12種類も試したようですが、最終的に落ち着いたのは、人差し指と親指でしっかりレバレッジをかけられるグリップだったようです。ポイントは、自身の自然な回外運動を信頼してボールを左方向へ動かすこと。無理に左へ曲げようとすると、縦の変化が少ないスライダー寄りの球になってしまい、理想の形から外れてしまうと本人談。
左打者に対する決め球だがゾーンに入らないカーブのために、チェンジアップと共にカウントを整える前座のような球です。
ピッチトンネリング (deception)
最後に、各球種がどの程度他の球種と誤認させれているかについて、Baseball Prospectusのモデルが推定した表を以下に示します。

表の一番左の列は実際に投げられた球種を表しています。そして右側の各列は、実際の球が他の球種として打者にどの程度誤認させているかを示す確率です。高いほど誤認性が高い=騙せているということ。
例えば4シームは20%シンカーと誤認させることが出来ていますし、カッター (スライダー表記) は30%シンカーと誤認させることができています。あくまでシンカーを軸に戦う投手ということがわかりますね。マクリーンは。
4. おわりに
ここまではノーラン・マクリーンの来歴、人となり、投手としての特徴について解説をさせていただきました。長くお読みくださり、ありがとうございます。イタリア戦に間に合エーッ!!と突貫工事で作成したため雑になった部分も多くあると思います。申し訳ありません。🙇
マクリーンが、伝説のフランチャイズこと故トム・シーバー氏の背中に手を伸ばす日が来ることを願いつつ、本noteを締めくくりたいと思います。お疲れ様でした。以下、おまけになります。
【おまけ1】宣材写真が下手過ぎる
On the world stage 🌎
— New York Mets (@Mets) March 7, 2026
First up: Juan Soto and Huascar Brazobán for the Dominican Republic 🇩🇴 pic.twitter.com/fXbjMRFHmR
ソトやとブラゾバン、バット持って顎クイしてみたり、ボール浮かせてみたり工夫が感じられる。緑の背景に道具の色もカラフルで目が楽しいし、カリブ海の熱を感じる。
Mark Vientos for Nicaragua 🇳🇮 pic.twitter.com/ReDTSdrJ5w
— New York Mets (@Mets) March 7, 2026
Swaggy V、渋い。アルゼンチンの駅で出待ちするタクシー運転手みたいな顔をしているのに、腕を組んで仁王立ちしているものだから妙な貫禄がある。背景も陰影がついていて、強者感◎。
Nolan McLean and Clay Holmes for USA 🇺🇸 pic.twitter.com/ogAGDKmdZi
— New York Mets (@Mets) March 7, 2026
↑ これは何?なんか1人だけ写真違くない?
みんなスタジオで光を当ててもらって、光沢を足したり色味を強くしてもらったりして、いかにも“プロが撮りました”という仕上がりなのに、マクリーンだけ家の壁で直撮りした免許証の更新写真。陰影は汚いし、ポーズもしょうもない。隣のホームズと並ぶと落差がひどくて思わず鼻水が出ました。
せっかく将来のエースになりえる人材ですし決勝投げるかもしれないんですから、良いカメラマンを雇えなかったんでしょうか。メッツメディア部門、それともWBCメディア部門?もっと予算を配分してください。以上、宣材写真への愚痴でした。
【おまけ2】オクラホマの歴史について
マクリーンが大学時代を過ごしたオクラホマについて、調べているとなかなか面白かったのでアウトプット/メモとして残します。
この一帯の広大な平原地域は19世紀の西部開拓時代に多くの開拓者が競って集まった地域で、いわゆる西部開拓の舞台でした。牛を追いながら広大な平原を移動するカウボーイ文化もまさにこの一帯から広がっていきます。オクラホマにとってカウボーイとは、単なる職業ではなく州のアイデンティティなわけです。
真下にあるテキサスの保安部隊テキサス・レンジャーの西部開拓のイメージが強すぎてオクラホマ=カウボーイとすぐ結びつく方は少ないと思いますが、実際のところオクラホマもかなりのものです。
一方でオクラホマは西部開拓とカウボーイ文化の象徴でありながら、もう一方では先住民の苦難の歴史が刻まれた場所でもあります。それはネイティブ・アメリカンの強制移住です。1830年代、アメリカ政府の政策によって多くの先住民族が故郷を追われ、西へと移住させられました。その過酷な移動はTrail of Tears(涙の旅路)と呼ばれ、この悲劇の旅路の終着点がオクラホマでした。
オクラホマに閉じ込められた (インディアン居留地) ネイティブ・アメリカン達ですが、苦難はそこで終わらず、アメリカ政府による度重なる法改訂とランドラッシュに伴いカウボーイたちに土地を奪われ、コミュニティを解体され、虐殺され、踏みにじられました。彼らの人権回復は公民権運動を経て、2020年のマクガート対オクラホマ判決でオクラホマ州の約半分がネイティブアメリカンの土地であると決定され今に至ります。
つまりオクラホマという土地は、一方では西部開拓とカウボーイ文化の象徴でありながら、もう一方では先住民の苦難の歴史が刻まれた場所でもあるわけです。州都オクラホマシティにはマカロニウェスタン風味を楽しみつつインディアンの歴史について学べるNational Cowboy & Western Heritage Museum (国立カウボーイ&西部歴史博物館) がありますよ。

ちなみにこういうフロンティア・スピリッツ、とかマニフェスト・ディスティニー、とかアメリカをアメリカたらしめる思想の発祥のような場所なので、共和党が非常に強いです。MAGA一色の赤い州です。
マクリーンの母校であるOSUは元はOklahoma Agricultural and Mechanical Collegeといい、要するに農工大ですね。故に昔より牧場/農場と結びいており、州の特性も相まってカウボーイが大学自体の象徴みたいになったわけです。

ちなみに、OSUはアメリカ大学スポーツ界におけるレスリングの聖地でもあります。近年はペンシルベニア州立大学の後塵を拝しているようですが、元はレスリングといえばオクラホマと称されるような超名門であり、ジョン・スミス、上武洋次郎といった名だたる金メダリストを輩出しました。
