カラスは置いて帰らない。
そろそろ「喫茶 YUGE」も、完結に近づいてきました。残すところ、あと二杯☕️☕️♨️です。
「おばさん探偵団」は、もともと連作短編の二杯目に置いている作品で、先月中旬には、ステキブンゲイに更新(初稿ver.です)していました。ただ、noteに出すには少し退屈すぎるのではないか——そう思い、記事にはしませんでした。
「おばさん探偵団」。タイトルからして、賑やかだけど、ーー肝心の問題は何も解決しない。
でも私は、こういう“何も起きない日常”の物語が、個人的にとても好きです。
これまでいくつか作品を書いてきましたが、実は一貫しているテーマがひとつ。
それは、「悪い人が出てこない」こと。
悪者がいない物語は、ともすれば単調になりやすく、「作品」として読むと弱く見えてしまうかもしれません。それでも私は、悪者のままで終わらせない書き方を、どこかで選び続けてきました。
童謡「七つの子」の詩を書いた野口雨情さんは、カラスという不吉だと忌み嫌われがちな存在さえ、子どもの世界では愛される存在であってほしいという思いを込めたといわれています。
そして弟子の中村雨紅さんの「ゆうやけこやけ」には、「カラスもいっしょにかえりましょう」という一節があります。
嫌われている存在も、置いていかない。
そのまなざしのやさしさに、どこか心を打たれます。
私が作り出す物語も、できるだけ優しい世界でありたい。だって、普通に日々を生きているだけで、人はもう十分に悩み、疲れ、悲しさを抱えているから。
せめて創作の世界くらいは、現実よりも、少し、温かい場所であってほしいと思うのです。
読む人の心の温度が、ほんのわずかでも、
0.5度くらい、上がることを願って。
榊編集室 mashiro

