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「ゲーム機の恐怖」第五話

自力


やるしかねぇ


こうなったら自力でやるしかねぇ。

俺だって機械だ。やるときゃやるぜ。裕哉を笑顔にするのが俺の仕事だからな。ここで眠って腐ってたんじゃあ意味がねぇ。ハードオフに行った方がマシだ。

どれどれ、誰かいねぇのかよ。ギターもアルバムもみんないっちまったからな。空の靴箱と着てねぇ服。使わねぇのに大事にしまってある紙袋。どれもこれも役に立たねぇなったく。


いけねぇいけねぇ。はなっから誰かに何とかしてもらおうなんて考えてたんじゃあいけねぇな。自力でやってこそ、ゲームたましいってもんだ。っしゃ、いっちょやるか。


道具集め


まずは、道具だな。細い紐みてぇなものあると助かんだけどな。都合よく落ちてるわけねぇか。


そうだな、さっきの紙袋、結わいて紐にしてみるか。破れたら落ちてしまうな。廃熱パネルしこたま打ち付けたばっかりだからな、体に障る。やめよう。

着てねぇ服を先に落として、そのあと俺が落ちてみるか。俺が服に埋もれちまったら気付いてもらえねぇ。音出しても仕方ねぇ。それに廃熱パネル埋まっちまったら息ができねぇ。やめよう。

掃除機の野郎に手伝ってもらおうか。だめだ、あいつは鼻息荒くてかなわねぇ。それに吸い込まれたらここより埃っぽい場所に連れていかれるらしい。やめよう。

奥の方にある本に知恵借りてみるか。あいつら賢いからな。しかしな、オベベ(服)も上手く着れねぇ女に艶っぽい言葉もじであーだこーだ言われてもな。丸っきり頭に入ってこねぇ。『ア~ら、ご主人、何してらしたの~ん』って言われても調子が出ねぇしな。それにこの本はチチオヤーが怪人マザーに見つかったらいけねぇと本気の顔してたからよ。なんとなくだけどよ、手をつけたらいけねぇ気がすんだよ、俺は。

まいったな。やっぱりあれだな。自分の力で何とかしねぇといけねぇな。


決断


よし、やると決めたからにはやるしかねぇ。


おぉ、高ぇなチクショー。まぁアルバムの野郎でも生きてたんだ。俺だって機械の端くれ、これぐれぇでくたばったりはしねぇよ。そうだ、ディスクトレー目一杯開けてゆっくり降りてみるか。パラシュート降下ってやつだな。なんかのゲームで空から人間が落ちる時にバサってやってたからよ。俺のディスクトレーでも大丈夫だろ。

もういっぺん覗いてみるか…。

高けぇな、やっぱりよ。俺の四機身くらいあんじゃねぇか。

もし壊れちまったらどうなんのかな。そのまま捨てられちまうんじゃねぇかな。ディスクトレーが壊れるくらいだったら良いけどよ、中のレンズが割れちまったらよ、何にも見えやしねぇ。真っ暗闇だ。そうなっちまったらよ、裕哉の顔も見れねぇままになっちまうな。
ほかに手立てがありゃあよ、なんとかなるけどよ。やっぱり何かで結わいてゆっくり降りたほうが良いんじゃねぇか。何かねぇのか?

おっ!?良いところにコードがあるじゃねぇか。

ちょいと前すいません。通りますよ。はいはいっと。あいあい、通りますよ。そこのコードをお借りするだけですからね。なんも怪しいモノじゃありませんので・・・。

これ使おう。

ん?これは?


黒いコード


これは先代の電源コードじゃねぇか。それじゃなにか?先代はまだいらっしゃるってぇのか?

おい、みんな薄汚ねぇ白色とあずき色した小さい箱みませんでしたか?

おい。誰か…。先代…。

居るわけねぇよな。俺が来たら早々にどっか連れてかれたからな。居るわけねぇか。なんだよ、チクショー。しけちまったな。

先代からの置き土産っつぅことで、これ使って下に降りてみるか。

懐かしいね、このコードもよ。俺が来たばっかの頃、もう画面に映すのも精一杯だったけどそれでも裕哉を笑顔にするためになんとかCPUだかなんだかに指令を送ってたからな。かっこよかった。あぁ、かっこよかった。

限界点なんてとっくに超えていたけど、あの姿見たら感動するわな。一生懸命の姿ってなんで良いんだろうな。ゲームだってよ、一生懸命にやってたら頭使うし、場合によっちゃてめぇの体動かすことにもなるだろ?
裕哉だってそうだ。勇者様やってる時はそりゃぁ真面目な顔してやるんだ。頭だって使う。そういう姿、チチオヤーにも見せてやりてぇな。

あぁ、いけねぇ。年取るとよ、同じ話を何度も何度もしちまう。あはは。悪ぃ癖だな。おぅ、気を付ける。

よいしょっと。これぐれぇグルグル巻きにしちまえば落ちねぇだろう。

あぁ、なんだか緊張してきたな。次は俺一人だもんな。



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