「ゲーム機の恐怖」第四話
眩しい
外の灯り
しかしよぉ、いつまでここにいるんだろうなぁ俺は。アルバムは盆正月くらいには出番あるしよぉ。ギターは弦次第ってとこか…
俺は後輩来たらしめぇだってんだ。先代もそう言ってた。仕方ねぇってな。仕方ねぇけどな。え?そりゃそうだろうよ、お前はいつまでも見られるだろ?だけど俺たちの世界ではよ、次の世代はもう別モノなんだよ。先代と俺とではガタイも頭も違ぇんだよ。知ってるだろ?
俺もよ先代よりビシッとしてて優越感に浸ってたけどよ、なんつぅか、先代はドッシリしてたね。俺より小せぇなりしてんのに、俺よりでかく見えたね。ああぁぁ、いつまで俺はここにいれるんだろうなぁ。
なによりよ、このまま裕哉の寂しい顔が最後で終わりってんじゃぁ情けねぇ。後輩に合わせる顔がねぇ。それこそ恥ずかしくて読み取りレンズが曇るってもんだ。
とはいえ、どうしようもねぇな、この状況。
よしっ!そうだ!裕哉に見つけてもらおう!そうしよう。
ギターさんよ、おめぇはさっきみたいにガタガタと音鳴らすことできるかい?お?いいね。できるってよ。
アルバムよぉ、ここにある俺の Openボタン 押せるかい?今じゃねぇぞ。おぃ、今じゃねぇって。やめ・・・
はからひっはほえぇか、いははへぇっへ!(だから言ったじゃねぇか、今じゃねぇって!)
はやふひへへくへ(早く閉めてくれ)
ったくよぉ、せっかちなんだからよぉ。歯車(アゴ)いてぇよ。機械の話は最後まで聞けってんだよ。まぁいいや。開けれることは分かったからよ。
よし。作戦会議だ。いいか?次に裕哉が近づいてきたらギターさんよ、おめぇさんができる限り大きな音を立ててこの扉ってやつを開けさせるんだ。
ほいでよ、開いたらアルバム、てめぇの番だ。俺と一緒に下まで崩れ落ちるんだよ。なんで俺もって面すんじゃねぇよ。分かるだろ?俺がそのまま落ちたら壊れちまうだろうがよ!え?だからおめぇが先に落ちて、その後、俺がその上に落ちる。そうしたら俺は壊れない。そういうことだよ。え?痛ぇとか情けねぇ事言ってんじゃねぇぞ、この野郎。裕哉のためだと思って我慢してくれ。
落ちたらすぐにこの Openボタン を押してくれ。俺の力を振り絞ってレンズ動かすから。
コントローラー、俺を引っ張んな、この野郎。コントローラーてめぇは運命共同体だからな。俺と一緒に落ちる。あはは。諦めな。それにおめぇは痛ぇの慣れてるだろ。あはは。
っし。これで行こう。
しっ!聞こえてきたぞ。裕哉の足音だ。
しっ!
とっとっとっ。
まだ待てよ。
とっとっとっ。
今だ!!!
ガターーーーン!!!!!
おぉ良いね、その暴れっぷり!
ガチャ。
開いたぞ!行くぞアルバム!!!
意外と高ぇじゃねぇか。おいおいおいおいおいおいおい。
ドスドスン。
・・・。
・・・。
大丈夫か?おぃ、アルバム。
・・・。
眩しくてかなわねぇな。
・・・。
おい、アルバム!
ダメだ。目ぇ回してやがる。
しまったな。おめぇが俺の下にいるってことは誰も Openボタン 押せねぇじゃねぇか。自力でなんとかするか。
よいしょ。よいしょーーーーーーっと。
パカッ。
なんとも情けねぇ音だね、頑張った割りにはよ。
ずっと暗い中いたから眩しくてかなわねぇ。
次はレンズっと。良いかぁ、裕哉、気づいてくれよ。
この動き、メタルギアのディスク2の交換の時みてぇだろ。覚えてるか?え?
よしっ!気付いたぞ、手が伸びてきた。しめたしめたしめた。
作戦成功じゃねぇか。
コントローラー、大丈夫か?なにニヤニヤしてんだよ、この野郎。なに?バンジージャンプみてぇだと?馬鹿なこと言ってんじゃねぇよ、大事な時によ。
アルバム見てみろよ。真ん中のページからおっぴろげで伸びてやがる。大丈夫かね。
そんなことよりもだ。作戦せぃ…。
おいおいおいおいおいおいおい。
どうしてまたしまうんだよ!
おいおいおいおいおいおいおいおい。
再び埃っぽい場所
ふりだしだよ。いつつつつ。廃熱パネルしこたま打った。いや大丈夫だ。大丈夫大丈夫。てめぇみてぇにヤワじゃねぇんだよ。
アルバム、悪かったな。大丈夫か?久しぶりにチチオヤーに見てもらえたから嬉しい?呑気なこと言ってん・・・。もいっぺん言ってみろ。チチオヤー?あれ、チチオヤーだったのか?
なんだよなんだよ、何でもっと早く言ってくれねぇんだよ。完全に早とちりじゃねぇかよったく。俺のせいだってのか?あぁあぁあぁ、悪かったよ。チチオヤーの足音を裕哉のそれと勘違いしたよ、悪かったよ。るせぇな。
あいつは過去のことグチグチうるせぇんだよな。だからいつまで経っても過去の写真しか飾れねぇんだよ。たまには未来の写真を飾ってみろってんだ。
ギターさんよ。おめぇにも悪いことしたな。弦もないのに音出せって無理させちまった。すまなかった。なぁ。
ギター?相変わらず無口だねぇって、おい。
おいおいおいおいおい、ギターの奴、いなくなっちまったぞ?どこ行きやがった?
ついにお払い箱になっちまったな、あいつ。仕方ねぇ。音の出ないギターって必要ねぇもんな。怒りのねぇ”サイヤ人”みてぇなもんだ。お払い箱でも仕方ねぇ。いい奴だったよ。おぼっちゃんみたいな喋り方だったけど、意外と反った性格してやがったな。ロケンローなやつだ。今までありがとよ。
ギターさんよ、おめぇの仇は必ず討ってやっからな!
”窓風吹かば 匂ひおこせよ 闇の中 ギターなしとて 静けさ変わらず”
ってなもんよ。おめぇのことは忘れねぇからよ。きちっと成仏してくれよ
でもよ、アルバムの上に落ちれば壊れねぇってことは分かった。したらば次はどうしたものか…。
未来を語るアルバム
え?何言ってるか聞こえねぇよ。
なに?俺に任せろ?初めてだね、良いねその意気。えぇ?アルバム、あの後ろ向きのてめぇからそんな前向きな言葉出るなんて知らなかった。恐れ入ったよ。そいでよ、どんな作戦なんだ?ちょいと聞かせてくれぃ。
おう。今度はてめぇだけ落ちると。よし、俺は押すだけだな。そういう仕事、得意だぜ。また足音が聞こえたら押せってことだな。
おぅおぅなるほどな。ダテに年取ってねぇな。
つまりはだ。
足音が聞こえたら俺が自力で Openボタン でディスクトレーを開くと。ほいで、その開いた勢いでてめぇが押されて落ちる。良いじゃねぇか。
アルバムがドーンと落ちて気付いてもらう。扉が開く。てめぇが拾われる。そこにはゲームをして笑う裕哉の写真があると。
良いじゃねぇか、良いじゃねぇか。ニヤついてんじゃねぇよ。褒めてんだよ、こっちはよ。
写真で思い出してもらって、ゲームをしてもらえるって寸法だな。よし分かった。ククッ。てめぇを押すのは心苦しいが…ククク。俺?笑ってねぇよ。なんだな?アルバムを落とすのがこんなにワクワクすることあんだな。てめぇもニヤついてんじゃねぇかよ。
ああぁ、楽しみで仕方ねぇ。大丈夫だって。分かってる分かってる。ゲーム一族に恥ねぇ押しっぷり見せてやっからよ。
てめぇは見れねぇか。あはは。
おめぇも過去ばかり引きずってるやつかと思ったら、未来を語れるんじゃねぇか。なぁにまだニヤニヤしてやがんだよ、おめぇも。しかしやるもんだねぇ。感心した。ああぁ感心した。
そうと決まったらやっちまおぅ。
アルバムの本気
おめぇは俺の前に立っててくれ。もうちょっと奥だな。おうおう。おぅ、それでいい。
よっしゃ、後は裕哉の足音がぁぁぁって。
聞こえる。足音が聞こえるよ。まるで漫画みてぇな展開じゃねぇか、この野郎。
しっ。
とっとっとっ。
次はチチオヤーじゃねぇだろうな。
とっとっとっ。
まだ引き付けるからな。急かすんじゃねぇぞ。俺ぁ、緊張すると接続不良を起こすからな。急かすんじゃねぇぞ。
とっとっとっ。
もう少しだ。
とっとっとっ。
・・・。
今だ!!!
バターン!!!
良いねぇ。押す感じ。えぇ?いつも押されてばっかりだから知らなかったけどよ。押すのも悪くねぇ。って言ってる場合じゃねぇな。
おーーーーーい。
アルバム、生きてるかぁ?
おーーーーーい。
・・・。返事がねぇよ。あいつも伸びちまったか?
おーーーーーい。
あっ。こっち向きやがった。しめた!生きてやがる。運の強ぇやろうだよ
扉が開くぞ!構えろよぉ!!!
今度こそ
眩しいね、外は。いけねぇ、こうしちゃいらんねぇな。しっかり目を据えてと。
あの顔は…裕哉じゃねぇか。久方振りだねったく。懐かしいよ。
よしよし。見てるぞ見てるぞ。裕哉のやつアルバムをしっかり見てやがる。それにしてもアルバムの野郎、良い開きっぷりだねぇこりゃ。すっからかんのガマ口財布みてぇな姿だな。
よしよし。見てるぞ。この調子で…。
・・・。
・・・。
おぃ。どこへ行くんだよ。
アルバム!裕哉!
どうしたってんだよ。どこへ行くんだよ。俺を置いて行かないでくれよ。
・・・。
行っちまった。
アルバムの奴、笑顔でどっか行きやがった。
あいつ、そういえば作戦思いついたときから二ヤついてやがったもんな。チキショー。そこで気付けばよかった。んのやろう、謀りやがって。なぁにが「俺に任せろ」ってんだ。あいつてめぇだけ助かろうと…。かーっ悔しい。
それにしても俺はマヌケだな。ギターは捨てられちまうし、アルバムには裏切られる。悔しいねぇ。
どうしたもんだねぇ、この状況。
ったく情けねぇ。先代に顔向けできねぇ。
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