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「ゲーム機の恐怖」第三話

巨人チチオヤー


笑顔にするためには


そんなんでも週に2,3回は遊んでくれてよ。少しずつだけど笑顔っつぅか、真剣な顔っつぅか表情が出てきてよ。分かんのか、お前に。表情ねぇくせにってうるせぇよったくよ。いちいち茶々入れてくんな。だからカビくせぇんだよ、お前はよ。

まぁ、聞けよ。



分かんだよ。裕哉が少しずつ自分の世界っつぅか、自分の感覚を取り戻してんのかなって。あいつ0から1を作るのも好きだろ?多分よ自分の心を上手に鎧う方法が見えてきたんだよ。そう、見えてきたんだよ。

あいつが頭で描いた理想を、ゲームの中で作る。そいでよ、それをさらに発展させんだよ。すげぇんだよ、あいつはよ。


ほら覚えてるかぃ?あいつの作った町をよ。

あいつ、自分の家(市長)の周りだけ公園作りやがってな。あはは。詳しくねぇから分かんねぇけど、”チカ”ってやつが上がって住民が引っ越してくるんだってよ。面白いよな。人口が増えたら税収が上がるからって難しいこと言ってた。

俺にはサッパリ分かんねぇ。分かんねぇけど、嬉しかったね。それで裕哉が笑顔になんだからな。おぅ。俺は市長だとか竜騎士とかよく分かんねぇけど、裕哉が笑顔になるんだったら何でも読み取る(受け入れる)覚悟ができたね。

そいでよ、人間様ってのはエガオになるために気分転換が大事だっとか言うけどよ、なかなか上手くいかない時あるだろ?嫌なことばっかり思い出しちゃったりよ。
そういう時は俺みたいなやつが役に立つわけよ。

自分の世界に没入出来てよ。

限度っちゅーもんはあるかも知れねぇけどよ。

多分だけどよ、気分が滅入るってときはよ、やっぱり現実世界で自分の世界が壊れてんのよ。

だからそれを繋ぎとめなきゃいけねぇの。

俺たちはそれができんだよ。
お前もそうだろ?たまにかも知れないけどよ、みんながお前を見て笑顔になるだよ。そりゃよ、泣くときもあるかも知れないけどよ、幸せにできるんだよ。笑顔にできるんだよ、俺たちは。

な。

な。


出現


あれからどれだけ経ったかなぁ。

その日も勇者様やってたんだよ。そしたらチチオヤーってデカい奴が急に入ってきて裕哉に何か言ってんだよ。
俺?俺は読み取ってる最中だからなんもできやしねぇよ。

そのチチオヤーが俺のところにドスドス歩いてくるんだよ。
バスク大佐かクッパだね、あの顔は。体型は魔人ブウだけどよ。あはは。

そしたらチチオヤーが俺を掴んでブンブン振り回してよ。

そいで、プツンよ。


真っ暗。


あれーってな。


最後に見たのが、裕哉の悲しそうな顔。

そんで気付いたら、ここにいるんだよ。
裕哉の野郎、元気にしてるかな。
それが心配でならねぇよ。


効果


ところでよ?俺を隠す意味あるのかね。
いやね、聞いたことあんのよ。不登校になったからってよ、親がゲーム機を隠すっていう話をよ。俺ぁそれがどうも腑に落ちねぇんだよ。

さっきも言ったけど、ほら、どっちかっていうとよ?俺たちは笑顔にするのが仕事じゃねぇか。アルバムは泣かすのもある意味一つの仕事かも知れねぇけど。まぁ細けぇことは無しにしてよ。

どんだけ考えてみても、やっっっっぱり笑顔にするのが仕事なんだよ、俺たちは。

裕哉が学校に行かねぇからって俺を取り上げたって何にも変わらねぇ。

裕哉がますます孤独になるだけなんだ。誰も話を聞いてくれねぇ。誰も笑顔にしてくれねぇんだよ、今は。

だからよ俺だけはと思ってよ、あいつの目をガーっと見て真剣にあいつと向き合うんだ。
俺にたくさん話しかけてくれてんだよ。俺は聞き役だからなんも言わねぇぜ。だからこそ、あいつは少しずつ話しかけてくれんだよ。言葉じゃねぇぞ、心でな。



俺を隠す意味あんのかねぇ。

誰があいつの言葉を拾ってくれてんのかねぇ。

誰があいつの真剣な顔を見てくれてんのかねぇ。

誰があいつと本気で向き合ってんのかねぇ。

誰があいつの心を読み取ってんのかねぇ。




ガタン!!!




ガタンっじゃねぇよ、ギターさんよ!
今、俺が良い話してんの!音出すならジャーンだろ、お前はよ。何が”ガタン”だよ、間抜けな音出しやがってよ。弦張ってねぇガキは黙ってろてんだ、この野郎。


んあ?何の話だっけ?ほらみろ!てめぇのせいで良い話が台無しじゃねぇか。

あぁ。そうそう。

俺を隠したところで、あいつが学校へ行くと思うか?

まぁ俺が魅力的なことは分かる。面白いし、かっこいいし、容姿だっていいし、声(音)も良い。また会いたいわ~なんてよく言われるよ?
あとあとあと…え?もういい?ぅるせーなったく。


俺を隠したってよ、何にも始まらねぇんだよ。その前の問題を片付けなきゃいけねぇ。え?そうだろ?


腹が減ったら食いもん探すだろ?先に箸だけ構えるようなやつはいねぇ。

眠くなったら布団を敷くだろ?先に電気を消して眼鏡を取るやつはいねぇ。

じゃあ、なにか?学校へ行かなくなったなら、学校が来ればいいじゃねぇか。え?違ぇだろ?そう!そういうことじゃねえだろ?

問題はもっと別のところにあるんだよ。

裕哉もそうだけどよ、心がざわついてる時はよ、俺がいるじゃねぇか。少しくらい笑顔にさせることできるし、心の充電の足しにできるぜ?

アルバムもよ。お前の場合は今すぐにはできねぇかも知れねぇ。だけどよ、いつか俺の後輩が来る時にはよ、裕哉にこの”今”起きていることを見せることはできんだよ。目でよ。んで、今は。今は涙がこぼれて仕方ねぇけど、未来のあいつを笑顔にできんだよ。
そう!そういうこと。俺たちは笑顔にできんだよ。うん。お前にも役割があんだよ。あはは。ダテにカビ臭くねぇな、お前はよ。あはは。



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